それは、某有名テーマパークの待ち時間にも匹敵する人気ぶり。「待ち時間5時間」という人気のお寺が静岡・牧之原市にあるそうだ。来訪者のお目当てだという御朱印を調査した。  

行ってみたら人がいない?!

話題のお寺は「釣り」に「徳する寺」と書いて釣徳寺(ちょうとくじ)。釣徳寺があるのは、牧之原市でも海沿いの地域だ。

歩いていくと、のどかな景色の中にお寺があった。しかし、人っ子一人いないのだ。

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あまりの静けさに情報自体に不安を抱きつつも、近づいていくと本堂の前に重要な情報があった。

にむらあつとリポーター:
「番号札をお取り下さい」「入口辺りにたまらないで下さい」と書いてあります。日によっては人が本当にわっと来るということでしょうか

人気のグルメ店でよく見る注意書きの看板、これこそ人が集まる証。

行列の理由は特別な「御朱印」

さっそく住職の児玉龍典さんに真相を聞いてみることにした。

釣徳寺・児玉龍典 住職:
(Q.5時間待ちは本当の話ですか)そんな時もありました

過去形で話し始めた住職。ただ、実際5時間待ちになったのは事実とのこと。

いまは整理券を配布して行列は緩和しているが、以前は数時間待ちがざらにあったそうだ。

みなさん何を求めてくるかというと、本堂にずらりと並んでいる色彩豊かな「御朱印」だ。

釣徳寺のイラスト入り御朱印
釣徳寺のイラスト入り御朱印

釣徳寺がかつて5時間待ちを起こした理由、それは児玉住職が6年前に始めたという、イラスト入りの御朱印だった。

人呼んで「アート御朱印」。

それがSNSで話題になり、瞬く間に全国各地にファンが増えた。

児玉住職が一枚一枚丁寧に筆を入れる
児玉住職が一枚一枚丁寧に筆を入れる

釣徳寺の御朱印には大きく分けて2パターンある。

一つは事前に住職が作ったものをプリントした「書き置き」の御朱印(600円)。

もう一つは目の前で住職がゼロから筆を入れる「直書き」の御朱印(300円~)。よりご利益が感じられそうだ。

一人一人丁寧に対応するため待つ人の行列がどんどん長くなってしまい、それが5時間待ちにつながったとのこと。

釣徳寺・児玉 住職:
特に絵の勉強をしたことはないんですが、元々音楽、美術と家庭科はとても得意な子でした

制作に約4時間 辰年用の御朱印
制作に約4時間 辰年用の御朱印

本堂には住職が描いた絵も並んでいた。辰年用の絵は制作に約4時間かかったそうだ。

目の前で描く御朱印も、最低でも10分ぐらいはかかる。

よくよく話を聞くと、なんと最大8時間待ちの時期もあったそうだ。

釣徳寺・児玉 住職:
実際その時間待っているのは大変ですので、最近は一人約10分で自分の番号札から時間を計算して、その時間になったら来てもらっています

“ギタリスト和尚”としても活動

特技を生かし、全国にファンをもつ児玉住職。実はもう1つ特技があり、町おこしにつなげているそうだ。

釣徳寺・児玉 住職:
実は私ギタリストなんです。毎月無料の定例祈祷をしているんですが、土日で人出が見込める時には本堂内で自分の曲でライブをやっております

“5時間待ち”の秘密は、アートな御朱印と住職のキャラクターにあったようだ。

■施設名 釣徳寺
■住所 静岡県牧之原市片浜2429

(テレビ静岡)