2024年夏にフランス・パリで開催されるオリンピック。3年前、東京オリンピック出場を逃した悔しさを糧に、夢の舞台を目指す1人のラガーマンがいる。

「人生で一番勝負の年になる」

福岡市出身の津岡翔太郎選手(27)は、パリオリンピック、7人制ラグビー「セブンズ」の日本代表候補で、現在はセブンズ専属のプロ選手として東京を拠点に活動している。

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「セブンズ」日本代表候補・津岡翔太郎選手:
間違いなく、人生で一番勝負の年になると思っているので、身も心ももう一段階、上のステージに行けるように。そのスイッチを入れる良いきっかけになったのではないかなと

新年は、福岡の実家で迎えた。実家に帰る楽しみは「ムギ(愛犬)と家族との時間」だと話す。

「セブンズ」日本代表候補・津岡翔太郎選手:
東京の時は割と張り詰めた生活というか、時間の流れも早い。糸島や福岡は時間がゆっくり感じる

「究極の鬼ごっこ」ともいわれる7人制ラグビー

中学生の時に先輩の勧誘でラグビーを始めた津岡選手は、高校、大学では名門校でレギュラーを目指して奮闘。社会人チーム時代に実力を認められ、オリンピック強化指定選手に選ばれた。

2016年のリオオリンピックから正式種目となった7人制ラグビー「セブンズ」は、通常の15人制とは違いスピード勝負が見どころで「究極の鬼ごっこ」ともいわれている。

津岡選手の強みは、40メートル4秒7の快足!さらに181cmの長身を生かした空中戦だ。3年前の東京オリンピックでは最終選考メンバーに残っていたが、落選の憂き目にあった。

15人制ラグビーへの誘いを断り「セブンズをやる」と決めた
15人制ラグビーへの誘いを断り「セブンズをやる」と決めた

「セブンズ」日本代表候補・津岡翔太郎選手:
自信があった分、落ちた時はやっぱり悔しかった。本当は東京オリンピックが終わったら15人制に行くと決まっていた。誘いを全部断ってセブンズをやると決めた

次こそオリンピックの舞台へ―。
目標に向けて突き進んでいた2023年、立て続けに両足首の靱帯にけがを負った。それでも、周囲のサポートを得ながら元通りに近い状態まで回復してきた。

けがを乗り越え、日本代表優勝に貢献
けがを乗り越え、日本代表優勝に貢献

そして、パリオリンピック出場を決めた2023年11月のアジア予選では、「日本代表の優勝」に貢献したのだ。

チームメイトやファンから見た津岡選手

福岡市で行われた合宿では、期待を寄せる地元ファンの姿も。

地元のファン:
スピードある走りは見ていて興奮するくらい、本当に応援したくなるようなすごい選手。成長を願っています

一方、チームメイトから見た津岡選手の印象は?

津岡選手を「クールを装った熱い人間」と話すチームメイトの加納遼大選手
津岡選手を「クールを装った熱い人間」と話すチームメイトの加納遼大選手

東京五輪代表・加納遼大選手:
「ここぞ」というところにバチっと行ってくれる。クールを装った熱い人間です。すごい熱いハートを持った男です、彼は

合宿所の部屋では、真剣な表情でタブレットを見つめる津岡選手の姿があった。

強豪国との対戦で考えた将来
強豪国との対戦で考えた将来

「セブンズ」日本代表候補・津岡翔太郎選手:
栄養について学んでいて、将来は日本の子どもたちの成長に対して、栄養の部分からサポートしていきたいというのがある

強豪国との対戦で、日本人の体の小ささを痛感した津岡選手は将来、「栄養の面から次の世代を育成する活動がしたい」と考えている。

「自分より考えが大人だなと思いますね」(植田和磨選手・近畿大学3年)と話す後輩に「年齢が上やもん」と笑って応えた。

「ラグビー人生一番のパフォーマンスを」

津岡選手にとってのオリンピックは、パリが“ラストチャンス”。日本代表として出場する12人のメンバーは、大会直前に発表される予定だ。「選出される可能性」を聞くと、「正直50%くらいだと思っている」と話す。

「セブンズ」日本代表候補・津岡翔太郎選手:
選ぶのは僕じゃないし、チームのその時ベストなメンバーを選ぶのは、自分もわかっているので。それよりも毎日毎日努力して、自分のベストなパフォーマンスに近づけていく。むしろそれが日本のためになるとは考えています

ひたむきな姿を見続けた母親の純さんも応援する。

母親の純さんも応援
母親の純さんも応援

津岡選手の母・純さん
親としては体が一番大切なので、もちろん頑張ってほしいけど、自分のことを一番に考えてほしいというのがありますね

「セブンズ」日本代表候補・津岡翔太郎選手:
この半年はやれることは全部やって、自分の体と心と相談しながらできることは最大限やって、自分の限界をちょっとずつ超えていって、パリでラグビー人生一番のパフォーマンスが出せるように。チームに必要不可欠な存在として試合に出たいですね

津岡翔太選手、27歳。これまで積み上げてきた努力によって、オリンピックという大舞台に手が届くところまで来ている。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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