静岡県沼津市の県道でごみ当番の親子2人が死亡したひき逃げとみられる事件で、警察は2人がはねられたとみられる時間帯に通行した複数の車を確認し、はねた車の特定を急いでいる。近くの住民は「母親を手伝った息子さんの優しい思いが余計につらい」と話す。なぜせまい路側帯をごみ置き場にしなければならなかったのか、自治会長が明かした。
早朝でも多い通行量

2024年1月15日午前5時40分頃、沼津市松長の県道沿いで近くに住む33歳の会社員の男性と、59歳の母親が倒れているのが見つかり、搬送先の病院で死亡が確認された。2人は骨折など車にはねられたとみられるケガをしていて、警察はひき逃げ事件とみて捜査をしている。
2人は道路脇の住宅の敷地に重なって倒れていた。

19日 親子が見つかった時刻と同じ時間帯に記者が取材すると、昼間ほどではないものの車の頻繁な通行が確認された。
通りがかったバイクの男性が降りて、現場に手向けられた花に手をあわせる姿も見られた。

近所の人によると当日はごみの回収日で、親子はごみ置き場にカラス除けのネットを設置したり、おもりを準備したりする当番だったという。作業中に車にはねられたとみられる。

近くの住民は「ここ(路側帯)はせまくてごみの収集も大変。午前5時半だとまだ暗い。お母さんを一緒に手伝っていた息子さんの優しい思いが余計につらい」と話す。
せまい路側帯をごみ置き場にしたワケ

ごみ置き場がある道路の路側帯は幅 約90cmで、道路の反対側にある歩道よりも30cmほどせまくなっている。もともと数m西側にあったが、道路沿いの住宅での工事のため1月に入り今の場所に移動したそうだ。

今の場所にごみ置き場が設置されている理由について、地元の自治会長は反対側の歩道は児童の通学路でごみを置くと、歩けるスペースがせまくなり危ないことをあげた。

さらに回収車両が市の中心部に向かって様々なごみ置き場に立ち寄っていくため今の場所が適していて、反対側に置くと回収ルートの変更が必要になり難しい点などをあげた。
反射材ベストで対策

1月22日からごみ当番に反射材付きのベストを着用してもらう予定で、さらに今は午前6時までにおこなうことになっている当番の準備の時間を遅らせることなども検討するという。

松長自治会長・高島修二会長:
今できることをやりたい。まずはこの自発光式のベストをつけて対策します。点滅するので遠くからでも見えると思う
自治会長は、事故直後に現場を見た人から2人の靴が道路の反対側まで飛ばされていたと聞き、「衝撃が大きかったのだろう」と感じたという。
現場付近を通行した複数の車を確認

警察は事件の翌日から2日間 同じ時間帯に検問を実施し、目撃者を探したり、ドライブレコーダーの提供を依頼したりした。
現場周辺の交差点に設置されている防犯カメラの映像分析などから、警察は2人がはねられたとみられる時間帯に現場付近を通行した複数の車を確認しているという。
ただ現場周辺には目立ったブレーキ痕や車の部品の破片などの遺留物はないとみられ、車両の絞り込みにつながるか注目される。
(テレビ静岡)