2025年の最新土地価格が公表された。全国でもトップクラスの上がり方が目立っていた福岡の地価だが、今回、大きな変化が見られた。

ランドマーク『ワンビル』効果

2025年7月1日時点の住宅地や商業地の土地の価格を調べた「基準地価」。福岡県内全体の地価は10年連続で上がっていて、商業地は前の年から5.1%、住宅地は2.7%上昇した。

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県内の商業地で最も価格が高かったのは、福岡市中央区天神1丁目。明治通り沿いの一等地だ。1平方メートルあたり915万円と福岡県内で最も高い地価となった。

2025年に開業した天神の新たなランドマーク『ワンビル』の効果もあり、9年連続でのトップだ。

不動産鑑定士の納富久雄さんは「駅に近くて繁華性が高い、その中で店舗であったり、あとオフィスも需要が十分に高いエリアだったりということで、価格としても高い」と解説する。

また、県内の住宅地で最も高い1平方メートルあたり65万円の値をつけたのは福岡市中央区地行3丁目。商業施設の『マークイズ福岡ももち』や福岡ソフトバンクホークスの本拠地『みずほペイペイドーム』のすぐ近くという利便性が価格を押し上げた。

納富久雄さんによると「文教地区としてもいいエリアだと思いますので非常に人気が高いエリアです」という。

住宅地で最も上昇率が高かったのは福岡市東区の箱崎3丁目で13%以上のアップ。“福岡最後の大開発”ともいわれる九大箱崎キャンパス跡地に近く、その期待感から土地の取引が加熱している。

一方で、2025年の福岡の土地価格には或る“大きな変化”がみられた。

福岡では5年ぶりに上昇率が縮小

「福岡は、地価の上昇が早めの局面から起こってこともあって、福岡については上昇幅の縮小局面に至っているのかなと思います」(納富久雄・不動産鑑定士)。建築費の高騰や住宅ローン金利の上昇などがブレーキとなり、福岡では5年ぶりに上昇率が縮小。ついに、その伸び方が鈍くなってきたのだ。

福岡市早良区西新2丁目。西新地区でも特に落ち着いたエリアの広い角地。取得するだけでも相当な価格だったと思われる場所に今、注目の高級マンションが建設されている。

県内でも福岡市の住宅地に関しては東京23区に次ぐ全国2位の伸び率となっていて、今も、地行や西新、大濠など地下鉄空港線の沿線を中心に不動産業者による“土地の争奪戦”が続いているのだ。

西新エリアで100平米1.5億円

西新駅から徒歩7分という一等地に建設中のマンション。いったい、どんな物件なのか。モデルルームを覗いてみた。

最近の新築マンションでは珍しくなった広々とした空間。圧倒的な解放感だ。リビングとダイニング、キッチンを合わせて約30畳、55平メートルという贅沢な造りになっていて、さらにアパレルショップのようなガラス張りのクローゼットに蛇口が2つあるダブル洗面台。そして浴室も高級感のある仕様となっている。

販売開始は2025年の3月。気になる、その価格は日鉄興和不動産の坂本真奈さんによると「こちらのお部屋が、102平メートルのお部屋になっていまして、大体1.5億円前後の価格帯になっています」という。

このマンションでは一般的な広さの3LDK、81平メートルの部屋でも1億円を超えているというのだ。ちなみに販売状況を尋ねると「販売は非常に好調でして、こちらのお部屋も完売しているのと全体(43戸)でも8割程度、成約に至っている」という。さらに投資として買っている方はいないということだ。

5年ぶりに上昇率が縮小したとはいえ、まだまだ高騰を続ける福岡の地価。ますます庶民には手が届きにくくなりつつあるようだ。

(テレビ西日本)

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