太陽光発電施設からの金属ケーブル盗難が、全国で多発する中、福岡県内でも約1.2kmの銅線ケーブルが盗まれていたことがTNCの取材で分かった。
“消えた”ケーブル1.2km
取材班が向かったのは、福岡県の中央部に位置する筑豊地方の中心都市、飯塚市。かつて炭鉱で栄えた街だ。車で市街地を抜けると太陽光発電施設が見えてくる。設置されたソーラーパネルは、約4000枚。上空から見ると、黒い絨毯が広がっているように見える。

この施設では8月、突然、発電が止まる異変が起きていた。

「8月12日から発電計測データがゼロになっていた。機器の不調かなと思い、九州電機保安協会に緊急出動してもらった」と太陽光発電施設を管理する男性は当時を振り返る。

しかし、機器に問題はなく、異常の原因は、まさかのケーブル窃盗だったのだ。

送電用の銅線のケーブルは、かなり太いが、長さにして約1.2km。何者かによって切断され盗まれていた。

“消えた銅線”。施設を管理する男性は、その規模から集団による犯行ではと推測する。

「多分、パネルの上に登って銅線を引っ張り出していると思う。そして、道路側にトラックを停めて運び出したのでは」。

修理費用なども含めると、被害額は約1500万円。施設を管理する男性は、警察に被害届を提出したと話す。

福岡県内でも相次ぐ銅線窃盗
TNCの取材では、付近の太陽光発電施設では、前の年の9月以降、他にも3件の「銅線窃盗」が発生。更に福岡県内では、2025年5月から8月にかけて、筑後地方で少なくとも13カ所の農業用ハウスからも銅線が盗まれている。

警察庁によると、太陽光発電施設の金属ケーブルを狙った窃盗事件は、2024年は7054件に上り、前年より1693件(3割)増加している。
特に、外国人による太陽光発電施設での金属ケーブル窃盗が全国で多発しており、警察庁は、「同じ国籍の知人関係を通じ、犯行手口や盗品の売却先などの情報が伝わり犯罪グループが形成されている」と指摘。2024年に太陽光発電施設からの金属ケーブル窃盗で検挙された147人のうち、110人が外国人で、内訳は、カンボジア人が74人、タイ人が19人だったと明らかにしている。
「金属盗対策法」施行で取締り強化
再生可能エネルギーの設備などでの需要増加などを受け、銅の価格が、5年前と比べ2倍以上に高騰していることなどが、背景にあるとみられている。

国は、金属の買い取り業者に対し、取り引きの際に顔写真付きの書類で本人確認を義務づけることなどを盛り込んだ新しい法律、「金属盗対策法」を施行し、本格的な取締り強化に乗り出している。
(テレビ西日本)