1月30日から行われる四大陸フィギュアスケート選手権に出場する“りくりゅう”こと、三浦璃来・木原龍一組。

今シーズンは木原の腰のケガの影響により、GPシリーズや全日本選手権を欠場。シーズン後半となる今大会が2人にとって復帰戦となる。

年間グランドスラム達成!偉業を成し遂げた昨シーズン

結成5年目を迎える“りくりゅう”。

“世界でもトップクラス”と言わしめるスピード感と、スケートの楽しさを表現しているという“笑顔”が持ち味の2人は「最初に滑った瞬間から絶対にうまくいく」と確信したそう。

その言葉通り、2022年北京五輪団体で日本史上初の銅メダル獲得に大きく貢献した。

続く2022-23シーズン、主要国際大会を全て制覇する年間グランドスラムを達成。

世界選手権で優勝し年間グランドスラムを達成
世界選手権で優勝し年間グランドスラムを達成
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日本フィギュア界の歴史を大きく塗り替えた2人が目指すのは「五輪」だ。

2023年12月、トロントでリハビリやトレーニングの日々を送る2人に話を聞いた際も、2026年の五輪の話題が挙がり、木原は「オリンピックの個人戦で自分たちの求める結果を出すことが今の大きなゴール」と話していた。

ショートで自己ベストを更新し、驚いた2人はキスクラで号泣
ショートで自己ベストを更新し、驚いた2人はキスクラで号泣

2022-2023シーズンは、出場したGPシリーズ2戦で優勝を飾り、GPファイナルでも日本ペア勢初の優勝を果たした。

その勢いのまま四大陸選手権で頂点に立つと、日本開催の世界選手権で金メダルを獲得した。

東京五輪金メダリスト・水谷隼からのエール

そんな2人は2023年4月、年間グランドスラム達成の報告会として所属の木下グループを訪問した。

激励にかけつけたのは、同所属で卓球界のレジェンド、水谷隼さんだ。

水谷さんとは初対面だったが、木原は水谷さんのこんな言葉を胸に、2022年の北京五輪のシーズンを戦い抜いたと語った。

「トップの選手は常に勝たなければいけないプレッシャーと戦っている。それに比べたら自分は追う立場。自分は自分の練習の成果を出せばよい」

“卓球界のレジェンド”水谷隼と初対面したりくりゅう
“卓球界のレジェンド”水谷隼と初対面したりくりゅう

そして、東京五輪で混合ダブルスとして自身初の金メダルを獲得し、有終の美を飾った水谷さんが、2人にエールを送った。

「『五輪の借りは五輪でしか返せない』と、自分はずっと一生懸命やってきて、4回目にして金メダルを獲得することができたので、ぜひともこれから先も一生懸命頑張って、オリンピックで金メダル獲得してほしい」

今シーズンはケガにより大会に出られない日々を送ったが、2人はその期間を前向きに捉え、「強くなるための試練」だとさらなるパワーアップも狙っている。

そして、その先にある2026年のミラノ・コルティナ五輪を見ている。

年間グランドスラム達成の偉業を達成してもなお、2人にはその実感が湧かないと語っていた。

だが「もっともっと上に上がっていけるように」「このままでは本当にだめ」と、“世界に一つだけのペア”になるべく向上心を抱き続けている。

コロナ禍で強くなった2人の信頼関係

2023年7月、日本に一時帰国していた際に行ったインタビューで2人は「追いかけられるより、まだ追っている」と話していた。

結成5年目を迎え、お互いの存在について聞くと、三浦は「たくさんの方に支えられていますが、やっぱり龍一くんがいなかったら、ここまで来られなかったので、本当にかけがえのない存在」だと語る。

木原も「お互いそういう思いはあると思います。僕も引退しようと思っていましたし、そういった時に声を掛けてくれたので、本当に感謝しています」と話した。

カフェでメニューを見る2人
カフェでメニューを見る2人

2人で歩んだ5年間を振り返ってもらうと、「大変なことは多かった」と口にする。

その中でも一番大変だったと語るのが、拠点のカナダで体験した“コロナ禍でのロックダウン”だ。

「リンクに日本人も2人しかいないですし、例年に比べてすごくつらい状況で2人とも過ごしてきた。つらさは分かったし、お互い支えあったことが、スケートにも信頼関係にも出てきているんじゃないかなって思います。

家族や周りの人から、信頼関係がすごく目に見えるようになったと言われるようになった。それは言われてから実感するようになりました」(木原)

過酷なコロナ禍の状況も2人の絆を深めるきっかけに変え、さらに強くなった“りくりゅう”。

年間グランドスラム達成も、その肩書を「意識していない」と話す。

「追いかけられる立場よりも僕たちはまだ追っているから、その意識の方が強いです。歴代ペアの方たちを追いかけ続けているので、一緒になって追いかけているのかな。

“挑戦者”という気持ちの方が強いですね。新しいことにも挑戦していますし、まだ守りに入っている感じはないかなって感じです」

フィギュアスケート取材班
フィギュアスケート取材班