鍵山優真、ブレイクのきっかけとなった四大陸は「世界のトップを目指したいと考えが変わった大会」

1月30日から中国・上海で行われる四大陸フィギュアスケート選手権。

男子代表の一人、鍵山優真は2023年12月の全日本選手権で2位表彰台に。四大陸選手権、世界選手権の代表にも選ばれた。

間近に控える四大陸選手権は自身がブレイクした大会でもある。

年明け、初詣に行った鍵山はおみくじを引かず、「自分で道を決めたい」と強い意志を示した。

シーズン後半戦の四大陸選手権に向けて鍵山は「自分を信じていい演技をしたい」と意気込む。

独特な雰囲気と緊張感に「やっぱり全日本だな」

12月末に行われた全日本選手権の男子フリーは、近年まれにみる大激戦となった。

父でもある正和コーチに並ぶ日本一を目指して、並みならぬ期待を背負い、全日本での優勝を狙った鍵山。

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しかし、ショートは得点源の4回転サルコウでまさかの転倒。

それでも鍵山はそのミスを引きずることなく、続く4回転のコンビネーションをしっかり決める。

さらに演技構成点でも高得点をマークし、ショート3位で折り返した。

「“やっぱり全日本だな”という独特な雰囲気と緊張感があった。最初のサルコウが緊張や雰囲気に飲み込まれて、少し慎重になってしまったのかなと思っています。

その後しっかりと切り替えてやることができたので、まあまあかなという感想です」

続くフリーでは、最終グループの友野一希、佐藤駿、三浦佳生が滑り、それぞれがベストな演技を披露し、順位を更新していった。

3人が4回転を3本以上組み込むプログラムだったため、4回転2本構成の鍵山にはより完成度が求められた。

うれしいけど悔しい。悔しいけどうれしい。

4番滑走の鍵山のフリーは、冒頭の4回転サルコウを出来栄え点（GOE）＋4.30で完璧に決めてみせる。

続く4回転トゥループからの3連続ジャンプも高得点をマーク。

細かな指先の動きまで繊細に曲をはめるさすがの完成度を見せ、気迫を感じさせる演技で観客を魅了した。

フィニッシュで高く突き上げた両手を拳に握り替え、ガッツポーズが飛び出す。

全体2位で終えた全日本。逆転優勝こそ逃したが、“強い鍵山優真”が戻ってきた瞬間だった。

「一言で表すとしたら、うれしいけど悔しい。悔しいけどうれしいです」

表彰式後、率直な気持ちを言葉にするが、それでも正和コーチやカロリーナ・コストナーコーチと喜びを分かち合ったという。

「今日の演技に関しては、まずまずだった。ジャンプは全部一応降りられましたけど、何個かは耐える部分もあったので、そこはよく頑張ったなと思う。

最後のステップはキツすぎて足にほとんど力が入らなかった。そこはたくさん練習してしっかり、しっかり踏んでいけるように、もっともっと頑張らなくちゃいけないなと思いました」

「来年は優勝を狙うだけ」とさらなる高みを目指す決意を示した鍵山。

その後、自身2度目の四大陸、そして3度目の世界選手権の派遣が決まった。

ハイレベルな中で戦えて楽しかった

メダリスト・オン・アイスに出演した鍵山に、シーズン後半戦の意気込みを聞くことができた。

世界選手権が決まったときの気持ちを「ドキドキしながら発表を待っていて、名前を見つけたときは、すごく安心したというか、うれしかったです」と鍵山。

GPシリーズや全日本などシーズン前半を振り返り、鍵山はいくつか課題を挙げた。

「グランプリシーズンが始まってから、充実したシーズン前半を送らせていただきました。連戦だったので、すごく疲れて、間の日はとにかく休んでいました。

試合を振り返ると、本当にすごい試合だったなと、改めて感じます。その中でいい演技をする難しさもすごく感じました。今後は緊張への対策や、自分自身の練習を信じきれるかを大事にやっていきたい」

「みんなが年内のこの試合に合わせて、調子を最高潮まで持ってくる。僕も、全日本は、すごく特別な試合だと思っています。

やっぱりいい演技をしたいという思いもすごく強かったので、ハイレベルな中で戦えたことはすごく楽しかったし、気持ちも盛り上がったので、いい試合になりました」

2020年の四大陸で変わった意識

2020年の四大陸選手権で、鍵山は初めてシニア主要大会で表彰台にあがった。

この大会がブレイクしたきっかけでもある。

「当時はジュニアだったんですけど、本当にその試合のおかげというか、僕が“世界のトップを目指していきたい”と考えが変わった1つの試合でもある。

シニアになって、四大陸選手権に行くのは初めて。しっかりとピークを合わせて、新しい構成を試すいい機会になると思うので、どんどん、どんどん守らずに攻めていけたらいいなと思っています」

2020年に出場したときは3位表彰台だった。

その後、2021年には世界選手権で銀メダル、2022年には北京五輪と世界選手権で銀メダルを獲得するなど、成長し続けている。

「トップを目指したい」と意識が変わったきっかけの大会への意気込みを、鍵山はこう語る。

「今シーズンできなかったショート・フリーでパーフェクトな演技をするのは、変わらず目指している。

何より、まだ試合になると、緊張が出たり、自分を信じきれてない部分もたくさんあったりするので、しっかりと練習を積み重ねて、自分を信じて、いい演技ができるように頑張りたい。もちろん優勝も狙っているので、しっかりと意識しながら頑張っていきたいなと思っています」

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年が明け、2024年。

1月4日から7日にかけて行われた日本学生氷上競技選手権（インカレ）に出場した鍵山は、283点で初優勝を飾った。

1月1日の1日だけ休んだという鍵山は、その間の過ごし方について「全日本が終わってからフリーの構成を変えるというプランを立てていた。振付のブラッシュアップをやっていたので、ショートももちろんそうですけど、フリーの新しい構成も練習していました。

（1日は）せっかくの休みで、GPシリーズからなかなか休むことができていなかったので、しっかり寝て、熱田神宮に初詣に行って楽しみました」と話す。