北が米朝首脳会談の取りやめを示唆
6月12日にトランプ大統領と金正恩委員長が一体どんなディール=取引をするのかなと考えていたら、早速今朝、金正恩が一発カマしてきた。
朝鮮中央通信が「米韓の合同軍事訓練は軍事的挑発だ」として、米朝首脳会談の取りやめを示唆したのだ。
北朝鮮とのディールに負けてはならない
このニュースを見て「せっかく朝鮮半島が平和になりそうなのに、どうして米韓は軍事訓練するんだ」と思った人は、すでに金正恩とのディールに負けているので、以後気をつけるように。
北朝鮮の核・ミサイルをきれいになくしたい米国と、こっそり残したい北朝鮮。
米国の後ろには日本、北朝鮮の後ろには中韓がそれぞれついている。
トランプと金正恩はディールでその間を取るのか?
たぶんそれはない。
トランプ大統領は本気で軍事攻撃を考えている
そもそも北朝鮮はなぜ対話路線に転じたか。
最近面白い話を聞いた。
昨年4月に習近平がトランプにフロリダで会った時に、トランプが本気で北への軍事攻撃を考えていることを知った習近平は、こちらも本気でそれをやめさせた、と習近平の側近が明らかにしたというのだ。
確かにその頃から急に中国の北朝鮮への制裁が本格化した。
たぶん習近平は軍事攻撃中止と引き換えに北への制裁を約束した。
これは米中のディールの成立。
米国の軍事圧力と中国の経済圧力に音を上げて北は対話に転じたのではないか。
習近平は常識が通じないトランプが本気で軍事攻撃する気があるのを今や知ってしまった。
だから北朝鮮が約束を破って核放棄に応じない場合は、制裁を解除できないだろう。
だってトランプが攻撃するのがわかってるから。
トランプは恐らく北の言う「段階方式」をある程度受け入れる。
ただし約束を守らぬ場合は攻撃するというオプションは必ず残す。
金正恩は いずれ核もミサイルも"ベタ降り"する
ディールである以上100対0はありえない。
でも最終的に金正恩は核もミサイルもベタ降りせざるをえない。
習近平もそれはわかっている。
文在寅もはしこい奴なので彼もわかっている。
みんなわかった上で少しでも自分に有利なディールを取るために「段階方式」と言っている。
それを真に受けて「朝鮮半島に平和が来るから、日本だけが強行姿勢ではダメ」とか「早く北と対話しなければ」などと能天気なことを言ってる人が、日本の政治家やメディアの中にいるが、いい加減にしてもらいたい。
みんな自らの国益のため、ディールのため、つばぜり合いの真っ最中なのに、例によって日本だけユルイことを言っていてはダメだ。
対話はもちろん結構。
でも圧力が先だ。
(執筆:フジテレビ 平井文夫 上席解説委員)
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