開校から40年の2023年に再始動した“沖縄アクターズスクール”
夢への第一歩を踏み出した未来のスターたちの中に、病を乗り越えステージに立ったメンバーがいた。
今こうしてステージに立てることが奇跡
11月に開かれたレッスン生49人によるグループ“B.B.WAVES jr.”のファーストライブのチケットは即完売!結成からわずか半年とは思えない圧巻のパフォーマンスで、会場を沸かせた。
この記事の画像(14枚)桃原琉維さん:
本当に奇跡だと思っている
Q.何が奇跡なの?
桃原琉維さん:
今こうしてステージに立てる事が。それと僕は小さい頃があれだったかなー…
桃原琉維(るい)さん(12歳)。
弟の結仁(ゆいと)さんと兄弟2人でアクターズスクールに通っている。
歌とダンスの経験は全くなかったが、2023年4月のオーディンションで秘めた才能を見出された。
チーフインストラクターの牧野アンナさんは、「オーディションの時にあんなに曲の中に入り込んで、あんなに楽しむ子は今まで見たことがない。オーディションである事すら忘れている。この子天才だなと思った」と琉維さんの才能を高く評価した。
桃原琉維さん:
人を、お客さんを喜ばせたい、歌手になりたい
3歳のときに小児がんに 2年間入院治療
本格的にレッスンがスタートした2023年5月。
母・アンナさんが、2人を指導する牧野アンナさんのもとを訪ねた。
桃原アンナさん:
琉維が幼少期に病気にかかっていたという報告です。3歳のときに “神経芽細胞腫(しんけいがさいぼうしゅ)”という小児がんになり、その中でも一番重いステージ4でした。わかったときには転移もしていました
副腎、そして骨への転移も発覚。抗がん剤治療を続けながら4歳の時には10時間にも及ぶ副腎の摘出手術を受けた。
牧野アンナさん:
ずっと入院していたんですか?
桃原アンナさん:
2年間
牧野アンナさん:
3歳で見つかってから?
桃原アンナさん:
見つかってからずっと入院で
入院中も体に負担のかかる治療にも前向きに取り組み続けた琉維さん。
2年間入院治療をしている時はどこにも行けず、ベッドから動けない状態であった。そんな中、たまたま体調もよく、次の治療の合間に1日だけ外に出られる日があった。
桃原アンナさん:
おもちゃを買いに行くでも、ちょっと公園に行くでも、おうちに帰るでもいい。一日どこに行きたい?と聞いたら”カラオケ”って言いました
小さい頃から歌や人を楽しませる事が大好きだった。
勇気や幸せを歌で伝えたい
退院後は筋力が落ち、一人でランドセルを背負う事すらできなかったが、月日の経過とともに順調に回復し、日常生活を送れるまでになった。
そして再発のリスクが下がる治療終了から5年が経過したタイミングで偶然アクターズのオーディションに出会い、大好きだったエンターテインメントの世界に飛び込んだ。
桃原琉維さん:
(レッスンが)楽しすぎてやばいですよ。心の底からバーン!といきそうです。周りにいるみんなを楽しませるために頑張っています
日々のスクールだけではなく、兄弟で自宅での練習も欠かさない。
そんな琉維さんの原動力は…
桃原琉維さん:
僕が歌手になってスターになったら、僕の最初に目指す事は、いま僕と同じか別の病気にかかっている人たちに、勇気や幸せを歌で伝えたり与えたいと思います
こんな日が来る 未来が来るとは思わなかった
ライブには琉維さんの治療を担当した医師も駆けつけた。
南部医療センター・こども医療センター 比嘉猛 小児科部長:
元気になってくれるだけでうれしいんですが、こんな晴れ舞台で、駐車場も停めきれないくらい一杯ですごいなと思います。やりたい事をやってくれていたら良いと思うので。踊ったりするんですかね?それを見たいです
ステージを鑑賞した比嘉猛さんは、「琉維くんすごいですね、目立っていて。躍動していましたね。うれしかったです。本当にすごいなと思いました」と感想を述べた。
母の桃原アンナさんは、「信じられない。あの時はこんな日が来る、こんな未来がくるとは思わなかった」と驚きを隠せない。「(当時は)精一杯だったから、生きてくれているだけで良いと思っていた時代もあったが、まさかたくさんの人たちの前で、歌やダンスを踊ってみんなを喜ばせる。夢を持った事もすごいのに、夢を叶えるために努力して」と琉維さんの成長に感心した。
桃原アンナさん:
諦めない強さ、何度でも立ち上がる強さは親としてもすごいなと思う。こんな日に立ち合わせてくれて。親孝行だよね。ありがとうと言いたいです
桃原琉維さん:
最高、楽しい、喜びがたくさんありすぎてパーフェクト!体が溶けそうなくらい楽しかった。今よりもぐんぐん上げていって(観客を)楽しませていきたい
困難を乗り越え、心の底から音を楽しんでいるからこそあふれ出すエネルギー。
琉維さんはこれからも光り輝くステージで夢を追いかけ続ける。
(沖縄テレビ)