乳がんを患う日本人女性は多い。最新の統計で9人に1人と推定されている。しかも女性の30~64歳では死亡原因のトップ。患者数も年々増加傾向だ。しかし日本での乳がん検診率は先進国の中でも最低レベルにとどまっているのが現状だ。

「気にはなるが…」伸び悩む乳がん検診

10月は乳がんの正しい知識や検診の大切さを広める「ピンクリボン月間」。福岡市内で『乳がん検診を受けたことがあるか?』聞いてみた。統計上、患者が増えてくるといわれる30代の女性は「もともと、がん家系なので…」と受診したことがあると回答。また70代の女性は、最近、1歳年上の友人を乳がんで失ったこともあり、毎年検査を受けていると話す。「まだ1度も受けてない」と答えた40代の女性は「気にはなるが検診が怖い」と正直な気持ちを話した。

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がんの中で日本人女性が最も多く発症している乳がん。患者数は15年間で約2倍に増え、年間9万人以上。9人に1人の割合だ。

なぜ患者数が増加しているのか?その要因を乳がん検診センターの医師は、女性のライフスタイルが変わっているのが大きな要因と話す。

「エストロゲンという女性ホルモンが関係しているがんなので。妊娠・出産・授乳でホルモン環境がガラッと変わることがない状態で過ごす方がなりやすい」と『ウェルネス天神クリニック セレナーデ』の森寿治センター長は解説する。

乳がんは30代後半から増え始め、ピークは40代後半から70代にかけて幅広く発症している。早期発見には、やはり定期的な検診が欠かせない。検診は乳房専用のX線撮影『マンモグラフィー』で行われ、妊娠中など状況に応じて超音波検査を行うこともある。

まずは早期発見!定期的な検診必要

検診で乳がん発見のきっかけとなる代表的な症状が『しこり』だ。「セレナーデ」センター長の森医師によると、長年の経験から「触ってわかるときは1センチを超えてきていることが多く、2センチを超えている人も3割くらいいる」と語る。定期的な検診を受けていれば、乳がんを発見しやすくなるのだ。

40代の時に乳がんを発症した福岡・糸島市に住む松﨑智美さん。胸に痛みのような違和感をおぼえ、すぐに病院を受診した。

「たぶん大丈夫だろうという気持ちで病院に行った」と当時を振り返る。しかし検査結果は乳がんのステージⅠと診断された。医師からやっぱり悪いものだったと聞かされた時は「え?うそでしょう。まさか」という気持ちが一番だったという。

その後、左胸を全摘出する手術を受け、今も再発防止のためのホルモン剤を服用している。松﨑さんは「早くがんが見つかったことで治療が少し楽になり、その後の経過がよかった。早めに見つかるに越したことはないと思う」と早期発見の重要性を強調する。

薬の副作用で髪が抜けた人のために

松﨑さんはいま、抗がん剤の副作用で髪が抜けた人のためのタオル帽子を作る活動をしながら、検診の大切さを呼びかけている。がん患者や経験者の居場所にもなっているこの活動には、20人近いボランティアが集まっている。

タオル帽子は、全国のがん拠点病院やSNSなどで依頼があった患者にメッセージを添えて届けている。乳がんについて、松﨑さんは「まだ、小さい子供がいる人や20代30代の人も多いかなという印象。周りの人のためにも自分のためにも検診に早めに行ってもらうのが大事かと思う」と、改めて女性に乳がん検診の重要性を訴えた。

乳がんは早期発見で、ほかのがんに比べても生存率が高い。初期の乳がんは早期発見で、ほかのがんに比べても生存率が高い。初期のステージⅠだと10年生存率は94・1%。予後がいいのも特徴なので早く見つけることが重要だが、早期発見の場合の新たな選択肢も注目されている。

『切らない乳がん治療』だ。2023年12月に保険適用になった『ラジオ波焼灼療法』というもので、適用には早期発見でがんが小さいことなどが大前提になるが、細い針状の電極を差し込んでがんを焼く治療方法だ。胸を失わずに済むのはひとつの希望になるかもしれない。ステージⅠだと10年生存率は94・1パーセント。予後がいいのも特徴なので早く見つけることが重要だが、早期発見の場合の新たな選択肢も注目されている。『切らない乳がん治療』だ。2023年12月に保険適用になった『ラジオ波焼灼療法』というもので、適用には早期発見でがんが小さいことなどが大前提となるが、細い針状の電極を差し込んで、がんを焼く治療方法だ。胸を失わずに済むのはひとつの希望になるかもしれない。

(テレビ西日本)

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