徳島県佐那河内村の保育所で、保育士が園児に吐き出した食べ物を無理やり食べさせるなど、虐待や不適切な保育が30件あったことが分かった。
虐待や不適切な保育は30件、関わった保育士は5人
佐那河内保育所 梯卓義所長:
30件もの事案が出てきて、大変申し訳なく思っています
子供たちの声が響く保育園で、虐待や不適切な保育は起きていた。
事態が発覚したのは、2022年12月。匿名の情報提供で、佐那河内保育所の保育士が、園児にこぼれた牛乳を飲ませるなどしていたことが分かった。これを受け佐那河内村は弁護士などに第三者による調査を実施。11月1日、その報告書の内容が公表された。
報告書によると、保育士が園児に吐き出した食べ物を無理やり食べさせたり、しかる際に背中や尻をたたいたりしていた。さらには抹茶プリンを嫌がる園児の口を手のひらで抑えつけるなど「虐待」にあたる行為が15件も判明した。 また、絵本を読んでほしいという園児には、「うるさい」などと言ったり、園児の食事を減らしたりするなど、虐待や不適切な保育は合わせて30件、関わった保育士は5人いるということだ。
報告書では保育士の倫理観の欠如や、減った職員の数を増やさなかったなど、所長の職責が果たされなかったという指摘があった。
佐那河内保育所 梯卓義所長:
労働環境、人員の絡みでちょっとストレスはだいぶ抱えとったと言われたらそうやなって
保護者「保育所が機能しなくなるのは困る」
村で唯一の保育所で起きた問題に村長は…
佐那河内村 岩城福治村長:
非常に深刻に受け止めています。保育所を信頼して預けていただいている保護者の皆さんに本当に申し訳なかったなと
保護者からは不安の声が聞かれた。
保護者:
不安ではあるんですけど、やっぱり先生がいなくなったら子供も預けれないのでね。保育所が機能しなくなるのは困る
村は11月1日、保護者会で謝罪していて、保育士の処分や再発防止策の検討を進めるとしている。
背景に「保育士不足」もあったか
今回、調査によって園児への虐待や不適切保育が30件確認されたということだ。報告された事案の一部をまとめた。
・吐き出した食べ物を無理やり食べさせる
・背中などを手のひらでたたく
・感染症の症状を示している児童とキスをさせたりして、感染症に罹患(りかん)させようとする
などがあったとのことだ。
なぜこのような事案が起き、なぜ誰も止めることができなかったのか?関わった保育士からは「力のある先輩保育士が虐待しても、それが間違っているか分からなかった」という声があったということだ。
発表された調査報告書の中で、虐待などが行われていた背景として、「保育士不足」といった記述もあった。保育所の所長は「保育士は 労働環境の問題でストレスがたまっていた」。調査員「人員不足で厳しい状態 ストレスの影響はあると思う」と述べているということだ。
発育にとって大事な時期で、園児そして保護者も含めて、心のケアを最優先で取り組んでほしいと思う。
(関西テレビ「newsランナー」 2023年11月2日放送)