江戸時代のスパイ「密偵」に関する新たな発見。熊本藩から鹿児島藩に送り込まれ、報告書を作成した密偵の正体が判明したと熊本大学が発表した。

5月発表の密偵・村田門左衛門に新情報

2023年5月、熊本大学は、熊本藩・細川家の家老衆から鹿児島藩に送り込まれた江戸時代のスパイ「密偵」の村田門左衛門による報告書が、熊本大学所蔵の「松井家文書」の中から見つかったと発表した。

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報告書は、細川家が鹿児島藩を監視する重要な役割だったことがうかがえる貴重な資料だが、文書をまとめた門左衛門の正体はわかっていなかった。

しかし、前回の会見をテレビで見た門左衛門の子孫・梅下俊克さんから資料の存在についての情報提供があり、それらを調査した結果、村田門左衛門は細川家に仕えた侍ではなく、芦北地域で武士の身分を与えられた住民、いわゆる「地侍」だったことが分かった。

熊本大学永青文庫研究センター長・稲葉継陽教授:
多くの報道機関に前回の研究発表を報じていただき、決定的な情報が提供され、資料の所有者などに芦北の歴史文化や文献資料の重要性に再度気づいていただいて、やり取りができたことに大変感銘を受けた

子孫・梅下さん「親戚からの昔話が…」

村田門左衛門の子孫・梅下俊克さん:
親戚から昔話として聞いてきた話が、このように実際の歴史史料との関連性が確認され、当事者として関わることができたことを非常にうれしく思う

鹿児島藩の監視という重要な役割は、芦北の住民が支えていたといい、熊本大学永青文庫研究センター長の稲葉継陽教授は「今回の発見は幕藩体制下の日本における地域住民の重要性を再認識するきっかけになる」と話した。

(テレビ熊本)

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