日本製品は関税がかかっても「売れる」?

トランプ米大統領の「関税かけたい放題」に対し、EUやカナダ、中国は「報復関税」という強硬姿勢で臨んでいるのに日本の安倍首相だけは優しい対応である。

本当にそれでいいのだろうか。

専門家に聞くと、今関税がかけられている「鉄鋼・アルミ」については、日本しか作れない製品を米国に輸出しているので、関税がかかっても「売れる」らしい。だから大事(おおごと)にしません、というのが日本の構え。

報復関税について触れない安倍首相

 
 
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でも車ではそういうわけにはいかない。
日本からの輸出車は売れなくなるだろうから、日本経済には痛手だ。

それなのに安倍首相は、「我が国への適用回避が最も重要」と言うだけ。
報復関税については触れない。
中国はともかく、他のG7各国が自由貿易の原則を守るために断固戦っているのに比べ、安倍さんのトランプへの「優しさ」が際立っている。

日本の鉄鋼・アルミは安全保障の脅威なのか

 
 

しかしトランプに対しては日米双方がうんざりしている。
なぜ日本産の鉄鋼・アルミや車が米国の安全保障の脅威になるのか、と日本の閣僚が迫ると、米国の閣僚は、最強硬派のライトハイザー通商代表を含め、全員が下を向いてしまうらしい。
そして親指を立てて「だってこの人が」と言うのだそうである。これは明らかに狂ったリーダーの独裁ではないか。

トランプの弾劾を真剣に考えよ

 
 

EUの報復関税のため、ハーレーダビッドソンが欧州に生産を移す予定だ。
これにもトランプは腹を立てているらしい。

国際競争力を失った鉄鋼・アルミ産業を助け、世界に誇るブランド企業をいじめている。トランプの保護主義のため市場も先行きに極めて悲観的だ。
米国民はそろそろこの人の弾劾を真剣に考えなければいけないのではないか。

安倍さんは言うだろう。「トランプとは戦略的に付き合わないといけないよ」と。確かに安倍さんが他国のリーダーに比べてトランプと親しいのは事実。それは日本にとって強力な武器である。
でも、こと貿易に関してはもう限度を超えている。

安倍さんはトランプに対し今すぐ、報復関税を通告すべきである。

(執筆:フジテレビ 平井文夫 解説委員)

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平井文夫
平井文夫

言わねばならぬことを言う。神は細部に宿る。
フジテレビ報道局上席解説委員。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て現職。