秋田と青森にまたがる「白神山地」が世界自然遺産に登録されてから30年。「白神」の名を冠したグルメとオリジナルグッズが数多く生まれている。白神山地の恵みが育んだ素材を使って、地域を盛り上げようという取り組みを紹介する。

地元の食材を豊富に使用した「ローストビーフ丼」

世界でも類を見ないブナの原生林が広がる白神山地。そこから流れるミネラルをたっぷり含んだ水や清らかな空気は、様々な農畜産物を育んできた。ネギにキャベツ、和牛にラムなど、白神ブランドとして数多く販売されている。

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そんな食材を思う存分楽しめるのが「白神の恵み かまし飯」だ。

白神山地の周辺市町村でつくる「あきた白神ツーリズム」が、秋田県の能代山本地域の飲食店と共同で開発したご当地グルメで、地元の食材を4つ以上使うのがルール。それぞれの店が、白神山地の恵みが育んだ食材を活用し、思い思いのメニューを提供している。

能代市の「道の駅ふたつい」のレストラン「koikoi食堂」の「かまし飯」は、ローストビーフ丼だ。メインは、能代市鶴形地区で生産されている「鶴形牛」。霜降りが目にも美しいサーロインをローストビーフに仕上げ、ご飯にたっぷりと乗せている。

このほか、ネギやキャベツなど白神山地の麓で育った食材ばかり。

菅原咲子アナウンサーがいただいた。まずはお肉から…。赤身が舌の上でとろけ、そしてやわらかい。脂の甘味もしっかりありながら、赤身のうまみも感じられて最高においしい。

また、2回以上味や食感の変化をつけるのも「かまし飯」のルール。

ローストビーフ丼は、三種町のリンゴを使った特製のたれで食べてもよし、比内地鶏の温泉卵やレモンで味を変えてもよし、変幻自在の一品だ。

道の駅ふたつい レストランチーフ・高橋啓太さん:
白神ブランドの食材はまだ県内外に広まっていないが、種類が豊富だと思っている。道の駅なので、県外もしくは訪日外国人にも食べてもらえるよう広めていきたい

廃棄されていた羊毛で「手作りサウナハット」

地元の住民によって、ユニークな白神グッズも生まれている。

藤里町の手芸愛好家でつくる「白神の里 手作り工房」のメンバーが作っているのは、“サウナハット”。

ヒツジの飼育が盛んな藤里町。町営放牧場でこれまで廃棄されていたヒツジの毛でサウナハットを作り、白神山地の麓・藤里町の特産品にしようと一念発起。「シラカミサウナハット」と名付け商品化した。

100度近くにもなる高温から頭や髪を守り、のぼせるのを防ぐため、サウナブームの今、注目のアイテムだ。

材料となる羊毛を町に湧き出す温泉で洗い、色を付け、毛並みを整えて加工できる状態にする。すべてが手作業で、1個を仕上げるのに10日~2週間はかかる。

「世界自然遺産のパワーが感じられる」と全国のサウナ好きから人気のシラカミサウナハットは、メンバー1人が1カ月当たり2個作らなければ間に合わないほど注文が相次いでいる。

情報発信は「インスタグラム」 おしゃれな写真が話題

作品をより多くの人に知ってもらおうと力を入れているのが、インスタグラムでの情報発信だ。

メンバーが「シラカミサウナハット」とおしゃれな服を身にまとい、モデル顔負けのポーズでフレームに収まる写真の数々は、話題を呼んでいる。

白神の里 手作り工房・伊藤絹子さん:
インスタグラムやネットで見てもらって、シラカミサウナハットを知ってもらえるように、より良いものを作って発信していきたい

白神山地の恵みは、周辺の地域に活気を与え続けている。

(秋田テレビ)

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