秋田と青森にまたがる「白神山地」が世界自然遺産に登録されてから30年。地元が誇る世界遺産を秋田・藤里町の子どもたちはどのように学んでいるのか、取材した。

子どもたちの白神山地への思い

藤里小学校と藤里中学校が統合し、2023年春、義務教育学校として産声を上げた藤里町の藤里学園。

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校舎からは世界遺産・白神山地を望むことができ、子どもたちはその雄大さ、偉大さを実感しながら学校生活を送っている。

児童たちは白神山地について「藤里町のシンボルのようなすごくいいところ」「木の1本1本が大きくて、自然界の王者みたい」「クマの爪痕とかがあってすごい」と話す。一方で、世界自然遺産が目の前にそびえることを当たり前に感じている児童・生徒も少なくない。

藤里学園・佐藤政彦校長:
当たり前のものであって、あまり意識せずに児童は生活している。そこで、本校の学びの特色である「町づくり学」で、白神山地を核とした自然や環境について学びを進めている

小学4年生から白神山地を学ぶ授業

学校では、4年生から白神山地の学習を始める。

この日、学んだことを物語にして発表するため、一生懸命、練習に励む子どもたちの姿があった。舞台は、統合されてから初めての学園祭だ。練習に熱が入る。

6月のブナの原生林「岳岱」散策の様子
6月のブナの原生林「岳岱」散策の様子

4年生はこれまで、教室での授業に加え、6月にはブナの原生林「岳岱」を散策した。現在は白神山地をモチーフにしたベンチを製作中だ。

児童は「練習は順調。緊張はちょっとする」と話す。
本番に向けて心がけたいことを聞くと「モリアオガエルの卵やクマの絵を指さすときに、大きく体を動かすこと」「声が大きくはっきり聞こえるようにしたい」「町や白神山地を知らない人に説明したい」と意欲的だ。

物語で表現された白神山地

そして迎えた本番の日。

オープニングを飾ったのは、白神山地をテーマに30年近く前に作られた曲「白神讃歌」。児童・生徒全員で披露した。歌詞のフレーズは、当時の藤里中学校の卒業生が考案。長年、中学校で歌い継がれてきた。小学校にあたる前期課程の児童は、この日が初披露。

その後、各学年の発表に移り、いよいよ4年生の出番だ。
物語では、色彩豊かな妖精が、人間に白神山地に生息する生き物や豊かな水などの魅力を伝える様子が描かれている。

妖精:
この写真がどこか分かりますか

人間:
森?山?あ!白神山地だ

妖精:
そう白神山地だね。貴重な生態系が保たれたことから、1993年12月に世界自然遺産に登録されたんだよ。日本で初めての世界自然遺産なんだよ

ダンスなども交えて地元に広がる豊かな自然を表現した児童たちは、「緊張した」「白神山地の良さをたくさん知ってほしくて詳しく説明した」「10月にもう1回岳岱に行くので、自然のことをいっぱい知りたい」「雨のときに起きる現象がとてもきれいだと聞いたので、それを見てみたい」と話し、達成感を感じながら、今後も意欲的に学習に取り組むことを誓っていた。

世界自然遺産登録から30年。白神山地の魅力は、未来を担う次世代にしっかりと受け継がれている。

(秋田テレビ)

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