暑い日が続くこの時期にぴったりの身も心も肝も冷える新潟県五泉市のひんやりスポットを巡った。背筋が凍る鍾乳洞や驚きの見た目で人気のかき氷など…暑い夏にこそ解明したい2つの謎に迫る。

驚きの涼しさ!?ひんやりスポット“大沢鍾乳洞”に潜入!

新潟県五泉市と田上町をつなぐ大沢峠。五泉市教育委員会の猪俣暁広さんの案内で山道を歩くこと15分。突如、大きなくぼみが現れた。

よく見ると、奥へと続く穴が空いている。これが『大沢鍾乳洞』の入り口だ。

大沢鍾乳洞の入り口
大沢鍾乳洞の入り口
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今から約110年前の大正時代、柔らかく加工のしやすい砂岩がよく採れたことで繁栄を築いた大沢峠。

大沢鍾乳洞は当時、採石のため山を削っていたときに偶然発見されたという。

着替えを済ませ、万全の準備で潜入した。なお、鍾乳洞内には灯りが一切なく、暗闇のため懐中電灯やライト付きのヘルメットなどの準備が必要だ。

大人1人通るのがやっとの大きさの穴から入り、階段を降りた先は驚くほど涼しく、外の世界とは季節が違うような感覚になる。

大沢鍾乳洞
大沢鍾乳洞

鍾乳洞内の気温は10℃前後で、夏の時期は屋外に比べ20℃ほど低くなっている。

大沢鍾乳洞の長さは145.9m、高さは17m。鍾乳洞内ではコウモリが飛び交い、「キーキー」という不気味な鳴き声が鳴り響く。

暗闇の中に広がる神秘的な世界「鍾乳洞のロマン感じて」

猪俣さんは大沢鍾乳洞の成り立ちについて「鍾乳洞とはそもそも石灰岩が雨に溶けてできるものだが、この大沢鍾乳洞は石灰質で、砂でできた砂岩という岩。これが雨で溶かされて何万年も時間をかけて空洞状になった」と話す。

鍾乳石
鍾乳石

通常、鍾乳洞は5億年~2億5000万年前の古生代にできたものが多いが、大沢鍾乳洞は約500万年前の新生代にできたもの。

比較的新しい鍾乳洞のため、まだ鍾乳石がつららのように長く伸びておらず、これは全国的にも珍しいという。

とは言え、鍾乳洞は波のような模様のフローストーンや平たい形のカーテンなど、数多くの鍾乳石で構成されており、自然が作り出した神秘的な世界が味わえる。

フローストーン
フローストーン

また、壁には100年近く前の落書きも残されていたほか、地下水が滴りできた“金明水”と呼ばれる謎の水たまりも。365日24時間水が滴り続けているのに、あふれないのが不思議だ…。

この異様な雰囲気に遭遇した見物客は「暗闇の中、背筋も凍るし、体も冷えて良い思い出なった」と話す。

金明水
金明水

そして、鍾乳洞の終着点には祠が。かつて砂岩の石切場として栄えた大沢峠。事故なく安全に作業できることを祈って祀られたのかもしれない。

猪俣さんは「大沢鍾乳洞は五泉市の天然記念物にも指定されている。鍾乳洞自体も何万年もかけてでき上がったものなので、すごくロマンがあるところを感じてもらえれば」と夏のお出かけの参考にしてほしいと話す。

タコやパプリカ…まるでフレンチの前菜!?注目の変わり種かき氷

続いて謎を求めやってきたのは、同じ五泉市の市街地。ここでは一風変わったかき氷が注目されているという。

多い日は1日に200個近いかき氷を提供するという『割烹・仕出し伊藤屋』。

伊藤屋の人気メニュー『ティラミス』
伊藤屋の人気メニュー『ティラミス』

一度の来店で2~3杯食べる客も多く、毎日食べに来るというファンは「毎日同じかき氷を食べても全然飽きない。色々な種類があるし本当においしい」と太鼓判を押す。

人気メニューはマスカルポーネチーズがたっぷりとかかった『ティラミス』のかき氷。

一方で、一風変わったものというのが、自家製のマリネ液で漬けたタコやパプリカが乗ったかき氷。その名も『エスニックの風薫るタコのセビーチェ仕立て』。

『エスニックの風薫るタコのセビーチェ仕立て』
『エスニックの風薫るタコのセビーチェ仕立て』

かき氷の上にタコのマリネのほか、ルッコラやパクチーが乗っていて、まるでフレンチの前菜のよう…かき氷と言うには、思わず目を疑う見た目をしている。

伊藤屋では、こうした変わり種のかき氷を数多く開発。キャベツや紅ショウガが乗った『お好み焼きかき氷』などその数は50種類に上る。

洋食料理人の経験を生かして作るかき氷「新しい世界を見たい方に」

以前は、主に洋食を手がける料理人をしていたという店主の伊藤彰規さん。実家の割烹料理店を継ぐ際に、何かその経験を生かしたいと変わり種のかき氷を始めたという。

伊藤さんの料理人としてのこだわりは強く、ソースの浸透具合に合わせて刃の回転数や角度を変えて氷を削っているという。

店主 伊藤彰規さん
店主 伊藤彰規さん

使用しているのは1台100万円以上する新潟県内メーカーのかき氷機で、刃は金物の町・三条などの職人が手がけたものだ。

そして、ふわふわの食感になるよう削られた氷にかけるのは、県産トマトを使った濃厚なトマトソースとバジルソース。

また、二層になっている氷の間に、新潟市南区白根産のモモを入れることで、フルーツの甘み楽しめるようになっている。

氷の間にはモモ
氷の間にはモモ

伊藤さんは「食材の食感や香りを一杯で楽しんでもらえるように工夫しながら、個性立てて作り上げる」と話す。

歯応えのあるタコとパプリカのシャキシャキとした食感、そしてトマトソースの風味が豊かで、かき氷の概念を超えた一杯だ。

伊藤さんは「未知なる扉を開けて新しい世界を見たい方、普段と違うものを食べたい方におすすめ。今後は、日本文化であるかき氷を世界に発信していきたい」と意気込む。

新潟の謎多きスポットを巡り、暑い時期を涼しく楽しく乗り越えてはいかがだろうか。

(NST新潟総合テレビ)

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