政府が大きな決断を下した。盛山文科相は12日午後3時すぎから会見を開き、旧統一教会について、宗教法人法に基づく解散命令を裁判所に請求すると表明した。

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盛山正仁文科相:
宗教法人・世界平和統一家庭連合に対し、解散命令請求を行うことについて、解散命令請求は相当であるとの全会一致のご意見でした。あす以降、準備ができ次第、速やかに東京地方裁判所に対し、解散命令請求を行いたいと考えております

盛山文科相は、12日の宗教法人審議会で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する解散命令請求が正式に了承されたと発表した。

盛山正仁文科相:
旧統一教会の行為は、財産的利得を目的として、献金の獲得や物品販売にあたり、多くのかたがたを不安や困惑に陥れ、その親族を含む多くのかたがたに財産的・精神的犠牲を余儀なくさせて、その生活の平穏を害するものでした

旧統一教会は、安倍晋三元首相の銃撃事件後、山上徹也被告の逮捕によって高額献金の問題などが改めて注目された。

文部科学省は、2022年11月以降、7回にわたり質問権を行使。組織運営や献金などについて報告を求めてきたが、教団側は全体の2割にあたる100項目以上を回答しなかった。

盛山正仁文科相は、解散命令請求を行う理由として、「長期間にわたり、信者に正常な判断が妨げられる状態で、献金をさせた」、「多くの人に多額の損害を被らせ、生活の平穏を害する行為を行った」、「旧統一教会の行為は、不当行為に該当する」と説明した。

解散命令が出ると宗教法人格を失い、税制上の優遇がなくなる。

元2世信者「2世たちの救済が必要」

元2世信者で、バーチャル・ユーチューバーとして旧統一教会の問題について発信している男性は、今回の決定について…

旧統一教会元2世信者Vチューバー もるすこちゃん:
まずは一安心しています。この解散請求というものを一つの目標としてこれまで活動してきたので。信者は借金をしてでも献金をしてきた。自己破産をしている人たちがたくさんいます。私の親も自己破産しています。教団側がお金集めをやりづらくなってしまえば、信者たちに対するそういう献金の圧力とか金銭的な被害が減る方向になると思う

こう述べた上で、「解散命令請求はあくまでスタートライン。経済的に困窮している2世たちの救済が必要だ」と述べた。

教団に「焦り」と鈴木エイト氏は指摘

一方の教団側には「焦りがみえる」と、長年、旧統一教会の問題を取材してきたジャーナリストの鈴木エイトさんは指摘する。

ジャーナリスト 鈴木エイトさん:
「解散命令請求をしないでください」という“嘆願書”を国に出しましょうと呼びかけをしているんですね

教団は、解散命令請求に反対する信者から約5万3,500人分の直筆の嘆願書が集まり、11日に文化庁に郵送したと発表した。

鈴木エイトさんは、教団側が用意した「嘆願書のひな形」を入手。そこには「自筆で自分の気持ちを書いてください」などと信者への指示が書かれていた。

ジャーナリスト 鈴木エイトさん:
内容まで指示されていて、組織性を感じるんですね、解散命令請求の要件とされている「組織性」が、逆にこういう所でうかがえるのかなっていう感じもするので、ちょっと逆効果になるような可能性も高いと思いますね

解散命令は13日、東京地方裁判所に請求される。 教団側はこの決定を受け、「日本政府がこのような重大な決断を下したことは痛恨の極みです。国から解散命令を受けるような教団ではないと確信しております。今後は裁判において、私たちの法的な主張を行っていく予定です」とコメントを発表した。

解散命令について「裁判所の判断にかかっている」

関西テレビ「newsランナー」コメンテーターの菊地幸夫弁護士は、解散命令のポイントについて次のように話した。

菊地幸夫弁護士:
ポイントは宗教法人法にある解散命令の要件です。法令に違反して公共の利益に反する行為が明確であったという条項をおそらく使うのでしょうが、ふわっとした内容の条項ですので、それに該当するかどうかは裁判所の判断にかかっていると思います。 必ずしもすぐ解散命令が出るとは限らず、時間がかかると思います。今も被害がゼロではないのかもしれませんが、霊感商法などが一番問題になったのが少し前のことであるとも考えられ、今の教団に対して解散命令が適当なのかどうか、その辺も裁判所はよく考えると思います。結果を注目したいです

(関西テレビ「newsランナー」 2023年10月12日放送)

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