10月10日は“ジュージュー”と焼ける時の音にかけて「お好み焼の日」とされている。
東京・大阪・広島の男女1010人に聞いたオタフクソースの調査では、東京と広島は約6割、大阪では半数近くが「お好み焼きはお店でたべる」と回答した。

せっかくお店で食べるなら、こだわりが詰まった、おいしいお好み焼きを食べたい。
そして世の中には、意外な方向に進化を遂げちゃったお好み焼き店も多く存在する。
想像よりも“ナナメ上”に変化を遂げたものに注目する「ナナメ上調査団」では「お好み焼き店」に注目。
「メニュー数にこだわるお好み焼き店」「超特大&小さすぎるお好み焼き」、「まきで焼くお好み焼き店」まで、ナナメ上なお好み焼き店を取材した。
まずは、こだわりお好み焼きのお店から。
こだわりお好み焼き3選
大阪・心斎橋などにある「ぷれじでんと千房(ちぼう)」には、とことん素材にこだわった絶品お好み焼きがあるという。

それが「ぷれじでんと焼」。
車エビや北海道産のホタテなどの魚介類に加え、国産黒毛和牛のステーキを混ぜ込んだ一品だ。

値段3500円と、少し高めだが、凝縮されたそれぞれの素材のうま味が口いっぱいに広がる、一度は食べてみたい味わいとなっている。
次は、石川・金沢市にある「お好み焼き・鉄板バル メレンゲ」。
この店のこだわりは生地だ。

店長の黒田翔太さんは「小麦粉を一切使わずに、メレンゲと長芋をたくさん使って生地を作っているのが一番のこだわりです」と話す。

メレンゲで作ることにより、まるでパンケーキのような焼き上がりになり、ふんわり、とろける食感を実現。おいしい、かつヘルシーと女性に大人気の一品だ。
そして、京都市にある創業50年の「壹錢洋食(いっせんようしょく)」。

店名にもなっている「壹錢洋食」という名のお好み焼き一品のみを食事メニューとして提供する、こだわりの店だ。

九条ネギ、牛肉、こんにゃく、ちくわなど計10種類の具材が使用されている。
甘口と辛口の2種類のソースと、半熟状態の卵が絡み合う一度食べたらやみつきになる一品だ。
こだわりのお好み焼きが登場する中、こだわり方が“ナナメ上”に進化したお店もあった。
メニュー数にこだわるお好み焼き店
大阪・富田林市にある「大門お好み焼道場」。
店内はカウンター10席のみ。その前に鉄板が並ぶ、少しスナック的な雰囲気の店だ。

店内に入るとまず目に飛び込んでくるのは、壁一面にあるのは大量のお好み焼きメニュー。

さらに、注目すべきはそのメニューの名前。
一般的な“ねぎ焼”や“焼きそば”もあるが、「河内のダンプカー」「チューして嫌われろ」に「三角関係焼」「大根役者」など、全く想像もつかないメニューばかり。

お店のママ・谷田美鈴さん(75)に、店の名物だという「白雪姫」を作ってもらうと、出てきたのは、真っ白い雪のようなもので覆われたお好み焼き。
実は雪に見立てているのは、わさびが入った山芋だという。

調査員が実際に食べてみると「山芋がホクホクしていておいしいです」とのこと。
なぜ、こんなにもメニューの数があるのか。
いくつあるのか聞くと、谷田さんは「お客さんが来て一つずつ読んどったけど、途中までで『もうええわ』って言って…なくしたメニュー、新しく作ったメニュー、いっぱいあるからわからん。そんなん、数えたことないから」と笑う。

そこで調査員が気合を入れて数えてみると、お好み焼きメニューだけで286品も。

そこに飲み物や一品料理などを合わせると、450品以上もあった。
これはさすがに多過ぎなのではないかと思うが、谷田さんはメニュー数を増やしたのは「人を呼ぶため」だったと語る。
「田舎で普通のお好み焼きでは無理や。だから一つずつ作っていったんや」
全ては、お客さんに足を運んでもらうため。
数を増やして、メニュー名を工夫して、今年で51年が経ったというが、忘れているメニューもあるといい、「わからへんわ、こんなん」と笑う谷田さん。

どんなお好み焼きが出てくるのか、ドキドキも味わえるお好み焼店。
興味がある方はぜひ、行ってみてもいいかもしれない。
続いては、大きさにこだわるお好み焼き店。
超特大&小さすぎるお好み焼き
岡山市にある創業58年の「みゆき」は、超特大のお好み焼きが名物の有名店。

そのあまりの大きさに、お客さんでは焼くことができないようで、御年80歳の店主・惣田妙子さんにお願いすると、豪快にクルりとお好み焼きをひっくり返す。

具材には、キャベツ一玉、生卵2個、天かす、紅ショウガ、焼いた豚バラ、そして麺3玉を使用している。
直径約38センチあり、総重量約1.6キロの超特大モダン焼きが完成する。

まさに桁違いな大きさなのだが、値段は850円とコスパは抜群。
調査員も「ソースがめちゃくちゃおいしいです。キャベツのシャキシャキ感もおいしいです」と実際に食べてみた。
そんな大きすぎるお好み焼きがある一方、小さすぎるお好み焼きも。
大阪・道頓堀にある「お好み焼き・鉄板焼き ぼんくら家」では、直径約5センチほどの「ぷち焼き」が人気。

その小ささは、普通のお好み焼きと比べると一目瞭然で、かなり小さい。

店長の谷次郁哉さんは「いろんな種類のお好み焼きを食べてもらうのと、女性にも食べやすいサイズにしています」と話す。
メニューは、6個セットと9個セットがあり、明太子マヨ、チーズなど10種類のトッピングから選ぶことができる。
一度にいろんな種類のお好み焼きを味わいたい方はぜひ。
続いては、焼き方にこだわるお好み焼き店。
まきで焼くお好み焼き
神戸市・和田岬にある創業64年の「高砂(たかさご)」。
カウンター席とテーブル席がある、一見よくあるお店に見えるが、実はここ、地元では知らない人がいないほどの人気店だという。

その人気の秘密は焼き方にあり、鉄板の下をのぞいてみると燃えさかる炎を発見。

実はこの店はガスではなく“まき”で火をおこし、その熱でお好み焼きを焼いているのだ。
店主の谷喜代子さん(76)に、まきで焼いている理由をたずねると「昔はガスがそんな普及してなかったんちゃうかな?店をするのに、まきでやりだして、それからずっと引き継いでいる。もう途中で変えられへん。(まきの良さは)早く焼ける。それと香ばしく焼ける」と話す。

三代目の谷さんは、創業時から続くこのやり方を守り続けているという。
そんなお店の1番人気は「豚玉焼」。

具材はキャベツ・豚バラ肉・ネギのみというシンプルかつ、王道のお好み焼きだが、そのお味は「生地がちょうどいい柔らかさで、ふわっとしてておいしいです」と調査員。
焼くのは、店主の谷さんひとり。
忙しい時には、営業時間の午前11時から午後7時まで休憩はない。
ずっと、まきの火加減を見ながら、すぐそばで焼き続けている。

しかもまきでたいているため、夏はとにかく暑いようで「暑いどころじゃない。表現できひんくらい(暑い)」と話す。

さらに、一度火を消すと、また一から火を起こさないといけないため、常にまきを燃やしているそうで「年中暑い…」と嘆く谷さん。
それでも通ってくれるお客さんのために、まきで焼くことにだわり続けているという。
食欲の秋、みなさんもナナメ上なお好み焼きを味わってみるのは。
(ノンストップ!『ナナメ上調査団』より 2023年10月10日放送)