秋の訪れを感じる中、今「ブドウ」が旬を迎えている。
特定のカルチャーをより深く味わう「沼から来た。」では今回、「ブドウ」の沼にハマった専門家が、その底知れない魅力をたっぷり紹介する。
甘いシャインマスカットの見分け方から、緑の次はブラック!?で超大粒な“黒いシャインマスカット”、超貴重な古木限定の巨峰まで登場。
あなたも“ブドウ沼”にハマってみませんか。
“ブドウマニア”が選ぶ新世代のシャインマスカット
オススメを紹介してくれる“ブドウ沼の住人”は、豊洲市場ドットコム青果バイヤー八尾昌輝さん。
「果物が苦手」から一転、家でもブドウを栽培しているという。
この記事の画像(15枚)ブドウといえば今「シャインマスカット」がトレンドだ。
以前より買いやすい価格のものも増えてきていると八尾さんは語る。
「生産者が増えており、品質によっては安い物も出てきていますが、品質が良いものの価格はさほど変わっていません。今、ブドウ業界のトレンドは“次世代のシャインマスカット”で、個性あふれるブドウが次々登場しているのです」
そんなシャインマスカットの中でも特に八尾さんがオススメするシャインマスカットが2つある。
(1)「ブラックシャインマスカット 富士の輝」
山梨県の「志村葡萄研究所」の志村富男さんが開発した今、話題の新品種「ブラックシャインマスカット 富士の輝」だ。
黒色と特大のハート型の粒が特徴で、甘みが非常に強いという。
「1房2万9800円と高額ながら全国にファンがいる逸品。色は黒から赤と作る人によって多少違いますが、作る農家も増えているので楽しみな品種ですね」
このブラックシャインマスカットは「美和姫(みわひめ)」というシャインマスカットとつながりがあるという。
「『美和姫』は、実は『富士の輝』と同じ種類のブドウを掛け合わせて作られた品種なのですが、色など、見た目、かなり違います。
両親が一緒のきょうだいでも個性が違うんです。ブドウの場合は、色の違いがはっきり出るので面白いです。もちろん味も違います」
ちなみに「美和姫」という名前は、志村さんの娘の「美和」さんの名前が由来だそうで、他にも開発した品種に、家族にちなんだ名前を付けているという。
(2)「サンシャインレッド」
ブドウ生産量1位の山梨県で、いま最も熱い新品種の「サンシャインレッド」。
きれいな赤い色と、食べてビックリな花のような香り、濃厚な甘さが特徴だ。
去年「甲斐ベリー7」と品種登録されていたが、今年から「サンシャインレッド」という愛称が決定。
作る農家が増えてくるので、今押さえておきたい品種だと八尾さんは言う。
「“花のような香り”といわれていますが、個人的には紅茶のような香りという印象も。私も初めて食べた時ビックリしました!」
このように“次世代のシャインマスカット”が続々登場しているが、スーパーで買う時に甘いもの見分ける方法があるといい、その方法を八尾さんに教えてもらった。
甘いシャインマスカットの見分けるポイントは「色」
シャインマスカットは、きれいな緑色が特徴とされているが、甘さを求めるなら実は「黄色」っぽい粒の方が、甘い傾向にあるのだという。
「黄色い方が熟度が高まっているので甘い傾向にありますが、緑の方もパリッとしていて食感が良く、香りも強いです。お好みのシャインマスカットの楽しみ方を見つけてもらえればと思います」
そして、スーパーで買ったシャインマスカットをよりおいしく食べるにもポイントがあるという。
“ブドウマニア”が教える買ったブドウのおいしい食べ方
スーパーなどで買った場合、その日のうちに、冷蔵せず食べるのがオススメとのこと。
「ブドウは追熟しないので買った当日が新鮮でベスト。冷蔵庫は乾燥して房落ちしやすくなるので当日なら常温が良いです。
日を置く場合は傷む可能性があるので、冷気が直接当たらないようラップなどで包んで冷蔵庫保存。
乾燥に十分注意すれば、ブドウの糖分はスイカと同じで冷たくても感じやすいので、冷やして食べても大丈夫です」
続いては、沼の住人も衝撃を受けた“イチオシブドウ”3選を紹介していく。
(1)ブドウの王様「巨峰」
長野県の「秀果園」にある「お母さんの樹」と呼ばれる超貴重な古木から取れた巨峰だ。
通常、収穫できる巨峰は樹齢35年ほど。
しかし、この巨峰は68年と長く実を結び続けており、非常にまれだという。
「昔から親しまれてきた黒ブドウらしい香りが特徴。特に秀果園さんこだわりの“種ありの巨峰”は、種周りが苦みや渋みが甘味に深みを与えてくれる。
さらに68年という古い木なので深く根が張っている分、土の栄養がより吸い上げられて、奥深い味わいなんです」
(2)「マニキュアフィンガー」
マニキュアを塗った指のように見えることから名付けられた、ユニークな形のブドウ「マニキュアフィンガー」。
甘さと酸味のバランスが良く、ジューシーな味わいとなっている。
「シャキシャキ食感で、酸味を感じるさっぱりした味わい。
細長いブドウの品種は、他にもあり、色や味わいもそれぞれ違うので見つけたらぜひ食べてほしいブドウです」
(3)「美夕果(みゆか)」
長野県で新品種を多く生み出している飯塚さんの、オリジナル品種の次世代シャインマスカット「美夕果(みゆか)」。
夕日をイメージした美しい赤色が特徴で、その香りと味わいには衝撃を受けるという。
「ブドウのおいしさである甘さはとにかく抜群ですが、絶妙な酸味・苦味が入り混じることで、より濃厚で後を引く、一度食べたら忘れられないおいしさです。
育種の技術と栽培技術、すべてが揃って生まれた逸品ですね」
まだまだ底が知れない“ブドウ沼”。
今後もどんな新しいブドウが出てくるのか、目が離せない。
(ノンストップ!『沼から来た。』より 2023年9月28日放送)