4日朝、秋田・美郷町の作業小屋に親子とみられるクマ3頭が侵入し、4日午後7時半時点でも居座り続けていた。警察や猟友会などが周囲を取り囲み、駆除に向け協議を続けたが、日没を迎え4日の駆除を断念した。
シャッター閉めクマ閉じ込める
クマが居座ったのは、美郷町土崎上野乙の畳の製造・販売などを手掛ける斉藤製畳の作業小屋。
この記事の画像(8枚)畳店の経営者などによると、4日午前7時20分ごろ、クマ3頭が小屋西側の入り口から入るのを、小屋で作業をしていた家族が目撃した。経営者と家族は建物の外に逃げ出し無事で、シャッターを閉めてクマを中に閉じ込めた。
小屋に侵入する直前に撮影された写真には、複数のクマが草むらを勢いよく駆け抜ける様子が写し出されている。居座っているクマは、1頭が体長約1メートル、残る2頭が体長約50センチで親子とみられている。
日没で猟銃が使用できなくなり断念
通報を受けた警察のほか、県自然保護課、猟友会、町役場の職員などが駆け付け、クマが建物の外に出ないよう周りを取り囲んだ。
しかし、クマは小屋の奥に隠れているうえ、何度か人を威嚇するような動きも見せたということで、クマとのにらみ合いが続いた。
午後3時過ぎ、クマを小屋の外に追い出して駆除するため、逃走経路をふさぐためのバリケードが設置された。
クマを小屋から追い出すためか、壁をたたく警察官。その後もクマは建物の中に居座り続け、結局猟銃が使用できなくなる日没が近づいたため、4日の駆除を諦めた。
警察が小屋の周辺の警戒を続けている。
住宅集合地域で猟銃の使用を慎重に
人身被害・目撃件数ともに過去最多を更新している。
クマが居座った状況を含めて、田口慧一記者に解説してもらう。
実は、クマが工場に入る5分ほど前には、北西にある町立こども園の職員が、クマ3頭が道路から園の敷地に入り、駐車場と園庭を抜けて隣の民家の方へ歩いていく姿を目撃している。
幸い園児が登園する前のことで、直ちに休園の措置が取られ、予定していたイモ掘りは中止に。近隣の小学校でも保護者の車で下校する措置が取られるなど、周辺に影響も出た。
クマが居座った小屋の隣には民家があるほか、周辺は役場やこども園などもある住宅集合地域で、麻酔銃や猟銃の使用には法律に基づいた慎重さが求められた。
当初、関係者はクマを誘導して山に追い払う作戦を考えたが、危険性が高いといことで断念。その後、麻酔銃を使い小屋の中のクマを不動化することも考えたが、建物の中であり、発砲の許可が警察から下りずこれも断念。
午後3時ごろになり、外に追い出したクマを猟銃を使って駆除する作戦を試みたが、結局外に追い出せず、4日は日没を迎え、対応は5日に持ち越しとなった。
小屋にはおりが設置され、4日は居座っているクマの状況を見守るという。
(秋田テレビ)