秋田県内では連日クマによる人身被害や食害が相次いでいる。県内有数のブドウの産地・横手市では、ブドウがクマに食い荒らされる被害が起きた。狙われたのは今が旬の高級品種のシャインマスカット。農家は対策に追われている。
高級ブドウに“クマの魔の手”
県内有数のブドウの産地・横手市大沢にある小川豊治ぶどう園では、シャインマスカットを中心に20種類以上のブドウを栽培している。9月の初めごろから収穫が始まったが、今秋は手放しでは収穫を喜べない状況だ。
この記事の画像(6枚)小川豊治ぶどう園・小川智洋さん:
朝起きたら地域の人と「おはよう、何房食べられた」「うち50房。お前もか」と会話する。大変です
クマにブドウを食い荒らされているのだ。ぶどう園では、ブドウが1日に50房食べられる被害が。しかも1週間ほど毎日続いた。被害額は少なくない。
一番被害を受けたのは高級品種のシャインマスカット。クマに引っ張られたため、枝が垂れ下がってしまった。引っかき傷も見られる。
小川豊治ぶどう園・小川智洋さん:
食害が甚大でして、こんなにブドウの袋が食い散らかされている、こんなにブドウがなくなっている、というのが何日も続くというのが自分の中では初めて
農家も「電気柵」で対策
被害に悩まされるぶどう園が設置しているのは…。
ーーこれは何ですか?
小川豊治ぶどう園・小川智洋さん:
クマ対策の電気柵です。畑の周囲に張り巡らせています
園の周辺にクマを捕獲するおりを設置したところ、おりの付近に設置したカメラがブドウを食べに来たクマを捉えた。
そして電気柵を設置すると、クマはぶどう園の中に入らなかった。その後、おりではクマ1頭が捕獲され、駆除されたという。
小川豊治ぶどう園・小川智洋さん:
電気柵を設置した後に被害は大幅に減ったので、効いているんだなと感じる
横手市農林整備課によると、周辺では同じような被害が5件ほど報告されている。
小川豊治ぶどう園・小川智洋さん:
僕たちはどこまでも受け身で、食われて困った、来ないようにするにはどうすればいいだろう、自分たちに一体何ができるのかと感じる。山内地区の猟友会が親身になってアドバイスをくれる。プロの意見を聞きながら対策をすることが、僕にできることだと思う
かつてないほどに増えているクマの目撃情報と被害。旬の味覚を多くの人に届けるため、農家の苦悩は続いている。
(秋田テレビ)