香川を代表する二大聖地・「金刀比羅宮(ことひらぐう)」と「善通寺」が、神社と寺の垣根を越えて初めて連携することになった。にぎわい創出へ期待が寄せられている。

5000部限定の「共同御朱印」

連日多くの人が訪れる、琴平町の金刀比羅宮で授与される5,000部限定の御朱印。隣町、善通寺市の総本山善通寺と共同で作った。

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金刀比羅宮の参拝者も「寺と神社のコラボはすごい。総本山善通寺にも)行ってみたい」と興味を示した。善通寺でも、共同の御朱印が5,000部限定で授与されている。

8月31日、双方のトップが一緒に会見を開き、共同の御朱印をきっかけに、さまざまな事業で連携する方針を示した。

金刀比羅宮・琴陵泰裕宮司:
神社同士のコラボは過去に数度あったが、寺の善通寺と神社の金刀比羅宮が手を取り合ったコラボは史上初

総本山善通寺・菅智潤法主:
お大師さん(弘法大師空海)が引き合わせた思いがする。これを契機に新たな活動ができる

二大聖地の距離を縮めた「新型コロナ」

「こんぴらさん」として親しまれ、全国から参拝者が訪れる金刀比羅宮。一方、弘法大師空海の誕生地とされ、真言宗の一派の総本山である善通寺も、四国霊場の特別な場所だ。

信仰の二大聖地は6kmほどの近い距離にあるが、明治以降の宗教政策もあり、神社と寺として一定の距離感を保ってきた。それを縮めたのが新型コロナだ。

金刀比羅宮・琴陵泰裕宮司:
コロナから回復している時期に、二大信仰の聖地が広域観光の観点から結び付きを強め、お互いがお互いの共生を盛り上げる。コロナで苦しんだ人の安らぎの地になりたい

街道のにぎわいの創出に期待高まる

実は二大聖地の結びつきは、江戸時代には自然なことだった。

せとうち観光専門職短期大学・谷崎友紀講師:
大阪から船に乗り、丸亀港に来て、そこからこんぴら参詣をすることがはやり始めた。行きか帰りか善通寺に寄り、人によっては1泊した。中讃地域は面的に広がる形で名所化していたと思う

江戸時代の旅に詳しい専門家は、連携に期待を寄せている。

せとうち観光専門職短期大学・谷崎友紀講師:
近代になり鉄道ができ、旅人が街道を通らなくなり、こんぴらさん、善通寺に直接行くようになった。今、2者が一緒にやりましょうとなり、昔のような面的な広がりを持つにぎわいが創出されるといい

令和の新たな連携によって、いにしえの街道のにぎわいが戻ろうとしている。

(岡山放送)

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