「為せば成る」。米沢織に代表される地場産業の創出など、江戸時代に米沢藩の財政危機を救った9代目藩主・上杉鷹山。250年たった今も米沢の地に残る上杉鷹山の教えを未来につなげる山形・米沢市の取り組みを追った。

今も米沢に残る“上杉鷹山の精神”

“上杉の城下町”として栄えた米沢市は、江戸時代に米沢藩の財政危機を救った9代目藩主・上杉鷹山の「改革精神」が根付く街だ。

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米沢市政策企画課の尾崎悠樹主査は「当時の民・住民を巻き込んだ取り組み、産業振興や自然に対する畏敬の念。そうしたことが我々の精神文化に生かされている」と話す。

コイやウコギをはじめとする食糧の自給自足化、米沢織に代表される地場産業の創出。藩の危機を救った持続可能な社会のための政策の数々は、250年たった今でも米沢に残っている。

米沢市内各地で見られる「草木塔」
米沢市内各地で見られる「草木塔」

その中のひとつ、当時の民衆の願いを今に伝える「草木塔」は自然の恵みに感謝し建てられたとされるもので、米沢市内各地で見ることができる。「自然保護」の精神は令和の時代になっても脈々と受け継がれていた。

米沢市社会教育文化課・原田悠人主任:
草木塔は基本的に民俗信仰・民衆の信仰と言われる。昔の米沢の人たちが考えていた精神が、現代に受け継がれてきていると言える

「人こそ宝」高校生も“意識”高める

2022年11月に行われた高校生の意見発表会では、米沢市内6つの高校がSDGsをテーマにした取り組みや考えを発表した。上杉鷹山も重視していた「人こそ宝」の教えを受け継ぎ、米沢を担っていく若い世代の意識の高まりを目指す。

発表の一場面:
高校校舎のエコロジーな改修を行っている。目的は温室効果ガスの排出抑制です。気温上昇によって、日本では生態系や農業への影響が考えられます

発表会に参加した生徒は「発表の機会はうれしいし、とても貴重な体験」「意見が活用されて、米沢市がより良い街になればいい」と未来を見据えた。

「為せば成る」の精神でSDGs進める

米沢市では大人を対象にしたより実践的な取り組みも進んでいる。官民の垣根を越えたSDGsのセミナーを開催し、自分たちができることへのヒントを探っている。

セミナーに参加した米沢市職員:
斬新なアイデアをやってみたい時、どうやって周りを巻き込んでいくか。コツや大切なことはあるのか

セミナー講師 ビジネスブレークスルー大学・谷中修吾教授:
パターンA・B・Cがある。パターンAを実現するアイデアとして松・竹・梅…。そのアイデアを順番に接続してロジックが固まるので、話が接続しやすくなる。丁寧にコミュニケーションしてあげる

セミナーの参加者たちは10月以降、新たな取り組み案をまとめ広く発信することにしている。

米沢牛の排せつ物を使ったバイオマス発電
米沢牛の排せつ物を使ったバイオマス発電

米沢市では、米沢牛の排せつ物を使ったバイオマス発電など、環境に優しい取り組みが進んでいる。このセミナーをきっかけに、参加者のアイデアが米沢に眠っている素材の掘り起こしや、新たな可能性の発見につながるかが注目されている。

米沢市政策企画課・尾崎悠樹主査:
今、米沢市が持っている資源を市民とともに生かしながら、今後も米沢市が住みよい街であるように、みんなで一緒にやっていく。SDGsも「為せば成る」の精神で進めていきたい

“強い意志で臨めば成し遂げられる”。上杉鷹山が残した「為せば成る」の教えは、令和の米沢でさらなる進化を遂げようとしている。

(さくらんぼテレビ)

さくらんぼテレビ
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