山形・大江町が始めた「ノーマイカーデー」。CO2の排出量を減らす意識を町全体に広げるため、まず役場が小さな行動をスタートさせた。

月1回の「ノーマイカーデー」

午前8時の大江町役場。職員の駐車場は普段だとほぼ満車だということだが、取材に訪れた日は、始業時間近くになっても数台しかとまっていなかった。

車が数台しか止まっていない大江町役場の駐車場
車が数台しか止まっていない大江町役場の駐車場
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大江町の職員に話を聞くと、普段は車通勤だが、この日は電車で出勤したという。公共交通機関で出勤した他の職員も「JR左沢線で。電車の時刻に合わせて早起きしているので、頭もスッキリ感はあるかな」「バスで来ました。CO2の排出削減ができるところでSDGsに協力ができるかなと」と話す。

2023年4月から大江町役場が始めた月1回の「ノーマイカーデー」。職員を対象に、徒歩や自転車・公共交通機関などでの出勤を呼びかけ、CO2の排出量を減らしていく。

政策推進課 ノーマイカーデー担当・逸見崇史さん:
大江町は脱炭素社会の実現ということで、2050年までにCO2の排出量を実質ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ宣言」をしていて、役場としてノーマイカーデーの取り組みを始めました

職員対象のノーマイカーデーの内容や目標値を国に申請した大江町役場は2023年6月、車社会の東北の町・村役場としては初めて「エコ通勤優良事業所」に登録された。「優良事業所」に与えられるマークは名刺や広報に使えるため、SDGs活動に積極的な企業・自治体であることを広くPRできるメリットがある。

政策推進課 ノーマイカーデー担当・逸見崇史さん:
実施者数6割以上を目標として取り組んでいる。数値が近づけている月があることについては非常に進歩している。得るものが大きかったと思う。

「町民の手本に」体と心の準備にも

「基本的に晴れた日は自転車通勤しています」と話すのは、この取り組みをきっかけにノーマイカーデー以外の日も自転車通勤を始めた、総務課の小林克志さん。

これまで約2kmの短い距離を車通勤していた小林さん。役場職員として町民の手本にもなればと、ほぼ毎日続けている。そして、車通勤では気付かなかったある効果も実感している。

自転車通勤を始めた総務課・小林克志さん:
出勤する前のウォーミングアップのような、体と心の準備にもなる。自転車で来ることによって朝から活動的になれる

町民へどう広げる?特典設ける地域も

役場内で広がるノーマイカー通勤。導入からまもなく半年となるが、町が次に目指すのは「町民への広がり」。

政策推進課 ノーマイカーデー担当・逸見崇史さん:
商店街さんとの連携・特典などで地域経済がまわるように、何かタイアップできたらいいなと考えている

取り組みを推進するため、ノーマイカーデーに特典を設けている自治体もある。

例えば秋田市は、居酒屋やレストランなどに協賛を募り、実施した市民に「飲食代の割引」や「生ビール1杯無料」などのサービスを提供している。大江町の場合、“具体的な広がり”をどう作るかが今後の課題となっている。

政策推進課 ノーマイカーデー担当・逸見崇史さん:
SDGsでゼロカーボンの取り組みをしているが、将来の子どもたちにより良い地域を残していくためにも、できることは率先してやっていく。そして地域の子どもたちや、将来住んでもらう人に伝えていかなくてはならないと思う

自転車通勤を始めた総務課・小林克志さん:
自分一人がすることは本当に微々たるものだとは思うが、みなさんにつながっていって、CO2の排出量が減ったり、JR・町営バスなど公共交通機関の利用促進にもつながればと思う

(さくらんぼテレビ)

さくらんぼテレビ
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