福岡・大任町が建設を担う田川地区8市町村の「広域ごみ処理施設」の情報開示をめぐり、330億円とされる総工費の積算根拠などを田川市が求めたところ、大任町がこれを拒否した問題。隣り合う自治体のトップ同士の対立する「異例の事態」となっている。

怒りの田川市・村上市長「行政がゆがめられてはならない」

田川市・村上卓哉市長:
他の自治体の介入によって田川市の行政が、ゆがめられてはならない。この時点で、はっきりすべきことは、はっきりしておく

福岡・田川市の村上卓哉市長
福岡・田川市の村上卓哉市長
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田川市の村上卓哉市長(52)は、非公開の理由を示した大任町の書類を公開しようとしたところ、永原町長から脅しともとれる圧力を受けたとして、9月13日付で永原町長を強要未遂の疑いで刑事告訴した。

左:大任町・永原譲二町長 右:田川市・村上卓哉市長
左:大任町・永原譲二町長 右:田川市・村上卓哉市長

田川市・村上卓哉市長:
田川市民の生活に直結するものを盾にとって、大任町長が自身の思いを遂げようとする、そういう行為は間違いなくあったわけでございます

大任町・永原町長は「うそ言いよる」

刑事告訴されたのは田川市の隣町、人口5千人余りの大任町のトップ、永原譲二町長(70)だ。

今回の問題については2023年7月、永原町長は全員協議会で、「私は情報開示をするなとは一言も言っていません。村上市長がうそ言いよる」と発言していた。

村上市長に対して「うそ言いよる」と発言
村上市長に対して「うそ言いよる」と発言

村上市長は、圧力の証拠としてその際の話し合いの音声を録音し、公開した。

公開された録音データの内容は…

公開されたデータには、「ここまで言って市長がね、『文書を出す』と言うたら、これはあんたが勝手に出すき、俺は出したら困る。信義を守れと言って出したら後は全てが、もう俺方はあんた方と協力せんから、全てにおいて、当然されてもしょうがないよ。こんなんしよると村上さん、自分の首絞めて、もう4年間、持たんばい」という永原町長の音声が録音されていた。

村上市長が録音した永原町長の音声2
村上市長が録音した永原町長の音声2

この音声について、渦中の大任町の永原町長が9月16日、テレビ西日本の報道情報番組「福岡NEWSファイル CUBE」に出演し、次のように語った。

番組MC:
この音声は、永原町長でよい?

永原町長:
よいです。この流れもよいと思います

永原町長は”圧力"を否定
永原町長は”圧力"を否定

そして永原町長は、改めて村上市長への「圧力」を否定した。

 
 

永原町長:
トップが、AからBに代わろうと、行政間の約束事は、当然、引き継いでもらわないといけないわけですよ。こういう「行政間の申し合わせを一方は守ってくれ、一方は破棄するとかっていうことをすると今後、信頼関係の構築ができなくなるよ」ということは、私は村上市長に対して、先輩として諭した意味で。この会議を1時間程度やっています

永原町長「村上市長と"対談の場を持ちたい"」

さらに、2021年9月、公文書の開示請求は町民に限るとした条例改正に関して問われるた永原町長は、「2021年の9月議会の執行部提案で、(情報公開請求者を)「何人」もから「町民」に変えた。これはいろいろ理由がありましたから。いろいろな環境整備ができた、2023年9月から元に戻す議案を出すようにしている」と語った。

情報公開請求者を「何人」もから「町民」に変えたと発言する永原町長
情報公開請求者を「何人」もから「町民」に変えたと発言する永原町長

永原町長は、議会からの声もあり環境が整ったとして、誰でも請求が可能となる条例の改正案を9月の議会に提案する方針を明らかにした。また、司法の場で争う意向も示している一方で、永原町長は、村上市長と「対談の場を持ちたい」とも番組では発言した。

村上市長と対談の場を持ちたいと発言する永原市長
村上市長と対談の場を持ちたいと発言する永原市長

双方の言い分が真っ向から対立し、泥沼の様相を見せている今回の問題。捜査当局の今後の判断も注目される。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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