西武池袋本店でストライキが続く中、セブン&アイは9月1日に「そごう・西武」を売却すると発表した。“池袋の顔”の休業で、街には思わぬ混乱が広がっている。

池袋駅前に響いたシュプレヒコール

31日正午過ぎ。デモ隊が、西武池袋本店前の看板に目を向けながら通り過ぎていく。

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「池袋の地に百貨店を残そう!」

東京・池袋駅前に響いたデモ隊のシュプレヒコール。大勢の人がカメラを構えて見守った。

31日朝、池袋駅前には異様な光景が広がっていた。

午前10時、本来なら西武池袋本店が開店する時間だが、ストライキのためシャッターは閉まったままだった。

そごう・西武の売却をめぐり、雇用などの懸念から反発する労働組合がストライキを決行したため、旗艦店の西武池袋本店は全館で臨時休業となったのだ。

池袋駅の地下通路の電光掲示板は、「臨時閉館のお知らせ」で埋め尽くされていた。

大手デパートでのストライキは、61年ぶりという異例の事態。閉ざされたシャッターの前では、貼り紙を撮影する多く人の姿が見られた。

臨時閉館の貼り紙を撮影する人の姿も…
臨時閉館の貼り紙を撮影する人の姿も…

常連客からは「やっぱり“池袋の顔”だから、西武があって池袋という感じなので、(今の姿を)なんとか残してほしい」という声が聞かれた。

“通り抜け”できず屋外を遠回り…

“池袋の顔”として親しまれ、1日あたりの売り上げは約4億8000万円に上る西武池袋本店。ストライキ決行の影響は、池袋を利用する様々な人に広がっていた。

「西武(百貨店)のエレベーターが使えないから、ちょっと困った」

こう話すのは8歳、5歳、1歳と3人の子どもを連れて池袋に来ていた家族。

駅から外に出る際、普段はベビーカーがあるため涼しいデパートのエレベーターを使っていたが、ストでデパート休業のため屋外を移動して遠回りすることになった。

母親は暑さの中、子どもを抱っこしながらエレベーターがある場所まで移動。「ちょっと遠いですし暑いですね」と苦笑いをこぼした。

西武百貨店は、駅構内を移動する人たちの通り道として使われている。

「西武がダメっていうので、こっちだったら通れるかな?と思って」

池袋駅西口から東口へと渡りたいという男性は、大通りをぐるっと大回りして迂回するという。

男性は「仕事50年やってるけど初めてだよ」と話した。

男性と同様、やはり迂回したという女性は、「ベビーカーがあるからプラス5分ぐらいですね。不便…開いててほしいです」と話す。

親会社は売却を決定

池袋が混乱する中、親会社のセブン&アイ・ホールディングスは、31日午前の臨時取締役会で「そごう・西武」をアメリカの投資ファンドに売却することを決議した。

この一報はデモ行進を終えた直後、労働組合の寺岡委員長にも伝えられた。

「残念という気持ちは残っています」
「残念という気持ちは残っています」

そごう・西武労働組合 寺岡泰博委員長は「われわれとしては、まだ時期尚早という気持ちがありますので、残念という気持ちは残っています」とコメントした。

ストライキは31日のみとされているが、今後も売却強行の波紋は広がりそうだ。

(「イット!」8月31日放送より)