「モシモシ!コンニチハ!Can You Speak English?汚染水放出について話したい」

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「モシモシ、誰が汚染水を排出していいと言ったんだ」

福島第一原発の処理水が海に放出されたことを受け、今、相次いでいる迷惑電話。

「モシモシ?お兄ちゃん、バカ!バカヤロー!」

発信元のほとんどが中国の国番号「86」から始まっているということです。
福島県内では、処理水が放出された8月24日から、多くの飲食店で迷惑電話が鳴りやまない事態に。

福島でラーメン店などを経営 山本さん:
(経営する)11店舗中4店舗が被害に遭っていて、4店舗合わせると1000件超えで、福島市のラーメン店が一番ひどくて、(先週の)金曜日だけでおそらく800数件ぐらいはずっとかかっている感じですね。

福島県などで複数のラーメン店を経営する会社には、中国の国番号からの迷惑電話が1000件以上あったといいます。福島市内にある別のラーメン店の迷惑電話の音声を聞くと…。

ラーメン店「お電話ありがとうございます」
“中国”からの電話「(早口の中国語)チャイニーズピーピル!バカ!」

しばらく中国語で話した後、「バカ」という言葉とともに、電話を切ります。
再び電話がかかってくると、今度は中国語で「なんで汚染水を海に流すんだ!」と批判。

福島市内のラーメン店にかかってきた迷惑電話
福島市内のラーメン店にかかってきた迷惑電話

福島市内ラーメン店 店長:
夜の営業が5時半から始まって、だんだん頻度が上がってきまして。最終的に1分間に1回くらい。電話切ったら、また、すぐ鳴るような状態がずっと続いたという感じ。

ひっきりなしに電話が鳴るため、現在は電話をつないでいないといいます。

福島市の木幡浩市長は、自身のフェイスブックで「福島市役所では、確認できているものだけで、2日間で約200件。小中学校にもかなり来ているようです」と、迷惑電話が相次いでいることを投稿。

福島市 木幡 浩市長のフェイスブック
福島市 木幡 浩市長のフェイスブック

福島市内の公共機関・宿泊施設にまで広がっているといいます。

SNSで拡散か?次々と投稿される迷惑電話動画

処理水放出に反発している中国では、この日本に迷惑電話をかける様子がSNSに次々と投稿されていました。

福島県内の飲食店に電話をかけているとみられる動画では、男性はスマートフォンで地図のようなものを見ながら、お店に電話をしています。

地図を見ながら電話をかける様子も
地図を見ながら電話をかける様子も

別の動画では、食事をしながら片手間で電話をする男性も。

食事をしながら電話も
食事をしながら電話も

“中国”からの迷惑電話「ちょっと聞きたいんだけど、なんで汚染水を海に流すんだ?海に排出されたら(日本に)行けなくなってしまう。人間の言葉で話してよ」

北京の日本大使館は、「商店であれば経済的損失、医療機関であれば人命に関わる」として、こうした嫌がらせは犯罪行為にあたると指摘したうえで、中国側に厳正に対処するよう求めました。

在中国日本大使館のSNSより
在中国日本大使館のSNSより

迷惑電話の目的は何なのでしょうか?
「めざまし8」の取材班が、福島県のラーメン店にかかってきた「86」から始まるある電話番号に電話をかけてみると、すぐに電話を切られてしまいました。

めざまし8が電話をかけるも、すぐに切られてしまった
めざまし8が電話をかけるも、すぐに切られてしまった

その後、取材から得た情報を元に、「86」から始まる電話番号25件にかけましたが、誰も回答することはありませんでした。

福島だけではなく東京でも被害 公共施設にも

そして、迷惑電話は、福島県だけでなく東京にも。
東京・江東区にあるバーでは、24日以降、連日迷惑電話が鳴りやまないといいます。

バー運営会社代表:
60件以上は、着信が埋まっているような状態で。全部861っていうふうになっていましたね。当店はバーラウンジになりますので、特にそのお魚だとか、福島県産のお取り扱いというのはございません。

福島県産の商品の取り扱いもなく、迷惑電話の理由が分からないといいます。

バー運営会社代表:
本日の着信履歴なんですけれども、14時41分、13時12分、11時35分です。11時12分、こういった形でずっと鳴り続けているような…。

バーの電話には中国の番号から多数の着信履歴
バーの電話には中国の番号から多数の着信履歴

取材中にも電話がかかってきました。
受話器を取り、「お電話ありがとうございます」と言ったときには、電話は切れていました。電話番号には、中国の国番号「86」が…。

着信履歴には中国の国番号を示す「86」が
着信履歴には中国の国番号を示す「86」が

バー運営会社代表:
当店にお電話いただいたところで、何か変わるわけではないので、どういった意図をもって、こういうふうにされているのか、非常に悩ましいです。

さらに、東京・江戸川区の公共施設にも、不審な電話がかかってきていると言います。

江戸川区総合文化センター事業担当者:
訳の分からない言葉で怒鳴られたり、子供の笑い声ですとか、機械音で日本語で、「こんにちは」「もしもし」あとは、「処理水をたれながすな、ばか」とか罵詈雑言もありました。こちらでは、何語かわからないですが。怒っていたり、笑っていたり。
(迷惑電話の(合間合間で本当のお客様からの番号も入ってきてたんですけど、当初は。ただもう回線全部埋めるぐらいの、短いスパンでかけてくるようになってきたので。

こちらも発信元のほとんどが中国の国番号「86」。留守番電話に残っている音声の中には「バカ、シネー」と笑いながら叫ぶ声も。

留守番電話には罵詈雑言も
留守番電話には罵詈雑言も

業務に支障が出るため、代表電話にかかってくる電話は現在、留守番電話にしているといいます。

実際、どのくらいのペースで迷惑電話があるのか。試しに留守番電話を解除してみると、受話器を置いてすぐに電話が鳴りました。

留守番電話を解除後、すぐに着信
留守番電話を解除後、すぐに着信

音声「オハヨー…」

電話に出ると、「オハヨー」といったあとに、聞き慣れない言葉が続きます。

江戸川区総合文化センター事業担当者:
今は、NTTさんにも電話止められないかってご相談している。いつまで、続くかわからないので、とても心配な状態です。

そんな中、環境省は27日、周辺海域のトリチウム濃度が検出できる最小の数値を下回り、「不検出」だったと発表しました。

全ての処理水を放出するには30年程度かかるとされていますが、今後、処理水を巡って各国との関係はどうなっていくのでしょうか?

(めざまし8 8月28日放送)