青森県の今別町で8月26日、観測史上最高の33.7℃を記録。

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27日には、東京都心の最高気温が32.4℃となり、真夏日の連続記録を53日に更新するなど、異常な暑さが続いています。

それに伴い、農作物や家畜にも被害が。今後、全国の食卓に影響が出る恐れが高まっています。

果物や野菜への影響

農作物などに深刻な被害を及ぼしているという、今年の“異常な暑さ”。
秋田県にある「吉田果樹園」では、高温で梨の実に水分がいかず、大きなサイズに育っていないといいます。

また、山形市の卸売市場では、野菜の入荷量が例年の5割ほどに減少。

山形丸果中央青果 渡辺友男 野菜部長:
キュウリの方も、暑さの影響で変形・尻細り・曲がり果が多くなってしまって、正品率が落ちている。インゲンはほとんど(市場に)出ていない状態ですね。

異常な暑さの影響は、牛、豚、鶏にも…

異常な暑さの影響は、北海道の畜産や酪農にも及んでいます。
8月27日までに、北海道全体で39日連続で真夏日を観測するなど厳しい暑さが続く中、北海道池田町で畜産業を営む「大塚牧場」では、暑さの影響で子牛が体調を崩すことが増えたといいます。

大塚牧場 大塚保江さん:
いつもより呼吸が荒い。普段はもっとゆっくり。体全体で呼吸しているなっていうふうに見える。

普段と異なる様子の子牛。発熱しているかどうか確認すると、体温は39.4度でした。
大塚さんによると、38.8度から39.3度ぐらいまでが平熱だといいます。

大塚牧場 大塚保江さん:
微熱の域にこれからいくだろうって、ギリギリの世界。これから悪化してくる。
これぐらいから処置してやらないと、重症になる。(今年の暑さは)異常だよね、今までになかったから(対策が)分からない。去年まではそんなこと考えなかった。考えなくてよかった。扇風機さえ回しておけば。

さらに、北海道豊頃町にある、乳牛・約1600頭を飼育する牧場「Jリード」では、暑さによって死んでしまう牛までいるといいます。

Jリード 井下英透代表:
正直言うと1日1頭以上はいます。例年だと、この暑さによって死ぬということは基本的にはそんなにはないんですけれども、今回はそういうのもかなり出てきています。

さらに、暑さで牛の食欲が落ち、乳量も減少。

Jリード 井下英透代表:
20%ぐらい減産になっていまして。猛烈な痛手です。もう本当にもう厳しいですね。

暑さで家畜が多数死亡

北海道農政部によると、2023年6月1日~8月15日までに、暑さで死亡した家畜の数は、鶏2905羽、豚2頭、肉牛8頭、乳牛27頭。北陸の新潟でも22日時点の速報値で、鶏4568羽が暑さで死んでしまっています。

北里大学獣医学部 鍋西久准教授は、今後も家畜が死ぬ数が増えるのではないかと指摘します。

北里大学獣医学部 鍋西久 准教授:
今後も気温が高い予報がでておりますので、家畜の死亡頭数は増えるのではないかと思います。また、夏の暑熱の影響というのは、秋、冬になって出てくることもありますので、涼しくなってからも注意が必要です。

家畜に深刻なダメージ

また、死んでしまう以外にも、暑さで家畜が「エサを食べなくなる」など、様々な影響が。

鶏は、暑さでエサを食べる量が少なくなると、産む卵の数が少なくなったり、産まなくなってしまうということもあるといいます。産まれた卵も小さく、重量が軽かったり、卵の殻が薄くなって割れやすくなるなどの影響が出ており、鳥インフルエンザの影響で価格が高騰する中、さらに卵の価格が上がる可能性があります。

また、豚は汗をかいて体温調節することが難しいため熱が体内にこもり熱中症に。
エサを食べなくなり、発育が悪くなるので、飼育日数が伸びて、出荷時期に遅れが出てしまう可能性も。

肉牛は、体調を崩したり熱中症になることで、出荷前にエサを食べなくなると、肉の色が黒くなり、味にも影響が出て商品価値も下がってしまいます。
「めざまし8」が取材した牧場では、食欲減退で体が大きくならず、出荷額が1頭あたり約5万円減、10%弱下がってしまいました。

乳牛も暑さの影響で牛乳の生産量が低下。取材した牧場では、生産量が2割ほど減少し、1日あたり40~50万円の損失になっているそうです。
乳牛は30℃台が何日も続くと、エサを食べなくなり、乳の量が極端に落ち、乳の脂肪分も落ちて質も悪化。エサを食べずに乳を出すと、痩せてガリガリになってしまいます。

北里大学獣医学部 鍋西久 准教授:
実はコロナの影響で、牛乳が余るという状態があったと思います。飼料価格や資材の高騰の影響で廃業によって、これまでに無いスピードで酪農家の数というのは減少しています。それに輪をかけて、今年の猛暑の影響が出てきますので。
夏休み明けで、来月から学校給食が始まります。そういうことを考えると、今後牛乳が不足するという可能性はあると思います。

私たちの生活にも影響が…

家畜への被害が拡大すると、私たちの生活にも影響が出てしまう恐れが。
卵や肉、牛乳、乳製品などは、価格上昇の可能性があります。牛乳や乳製品はいままでは本州が暑くて不足しても、涼しい北海道から調達が出来ていたのが、今年は北海道でも牛乳不足になる可能性があるといいます。

特にクリスマスシーズンにバター不足などで、乳製品の値上げにつながる可能性があるそうです。

では被害を抑えるために、どんな対策が取られているのでしょうか?

取材した牧場では、牛の首にネッククーラーをまいて暑さ対策をしていました。サーモカメラで見てみると、体は真っ赤ですが、首の部分は青く体温が下がっています。

他にも水をかけたり、扇風機で風を送るなどの対応をしているものの、天井につける大きな扇風機が足りず、業者に問い合わせても生産が間に合っていないといいます。
さらに、エサの資料代高騰、電気代高騰もあり、苦しい状況が続いています。

(めざまし8 8月28日放送)