自民党総裁選「裏」の争点

 
 
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えこ贔屓で嘘つきな人と、無責任で行動しない人、どちらが好きかと聞かれたらどう答えるか?
困りますね。

でもこれが明後日公示の自民党総裁選の「裏」争点なのだ。

石破さんはキャッチフレーズを「正直、公正」と発表した。
僕は正直で公正だ、安倍さんはそうじゃない、正直でなく嘘つきだ、公正でなくえこ贔屓だ、ということか?

と、誰でも思いますね。

「金足農業のようにさわやかに」

 
 

だから石破支持を表明した参院竹下派のトップ、吉田参院幹事長が、「個人的なことでの攻撃は非常に嫌悪感がある」とこれを痛烈に批判。
石破さんはいったんこのキャッチフレーズを引っ込めることを示唆したが、結局引っ込めず。
たぶん周りにそのまま行け、と言われたのだろう。

吉田さんはその後「金足農業のようにさわやかに戦おう」と、石破さんを激励したのだが、悪い冗談にしか聞こえなかった。
だってホントにさわやかな金足農業の選手に対して失礼ですよ。

まあこのように石破さんの「正直、公正」はあまり評判が良くない。

人格攻撃合戦?

しかしこれに対抗する安倍首相のキャッチフレーズ「責任、実行」というのもいただけない。
僕は責任を果たし、実行します、これまでもしてきました、でも石破さんは無責任で行動しない人ですよ、ということでしょ?

これは石破さんは可哀想かも。
石破さんはまだ首相ではないのだから、責任も実行もやるチャンスがないだけだ。首相になればできるかもしれないよ。

2人とも政策論争をしたい、と言っているが、「公正、正直」と「責任、実行」のキャッチフレーズ対決、悪く言うと人格攻撃合戦の方がはるかに面白いので、国民は政策論争に関心がない。
 

安倍さんの弱みは”判官びいき”

 
 

ということで2つのキャッチフレーズを比べてみた。

実は安倍さんが責任をもって政策を実行してきたことは、野党議員の中にも認めている人がいるし、ある程度客観的事実だ。
一方の公正、正直は、モリカケのことをさすのだろうが、これは野党はじめ一部の人たちが熱狂的に騒いでいるが、あくまで感情論である。

だからこのキャッチフレーズ対決は安倍さんの勝ち。
ただ石破さんが勝てないまでも健闘するとすれば、判官びいきに火がついた時だろう。
日本人は強すぎる人が嫌いなんです。

つまり2人とも、勝ちたければ、相手に対しもう少し優しくなった方がいいということですね。

(執筆:フジテレビ 解説委員 平井文夫)

平井文夫
平井文夫

言わねばならぬことを言う。神は細部に宿る。
フジテレビ報道局上席解説委員。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て現職。