2018年7月の西日本豪雨から、もうすぐ5年。今でも広島県内各地に災害の傷跡が残る中、4年ぶりに復活した祭りがある。広島市安芸区阿戸町の「ほたる祭り」だ。困難を乗り越え、地域がにぎわいを取り戻した。

西日本豪雨で姿を消したホタル

広島市安芸区を流れる熊野川は広島市内では有名なホタル見物の名所だった。

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しかし、2018年7月6日に起きた西日本豪雨によって大きな被害がもたらされた。熊野川の護岸が崩れ、一部で川が決壊。5年がたった今でも、護岸の復旧工事は続いている。

災害後、川が荒れてしまったことでホタルを見ることはほとんどできなくなってしまった。新型コロナの感染拡大の影響も加わり、「ほたる祭り」の開催はますます難しくなった。地域の結びつきが希薄になり、地元に元気がなくなってしまう…。この事態に、立ち上がったのが地元の有志たちだ。いなくなったホタルの代わりに、思いついたのは「竹あかり」。

山の所有者から許可をもらって竹を切り出し、竹の中に明かりをともす「竹あかり」を作った。祭りを復活させたいという地域の人々の思いが込められている。

広島市安芸区阿戸町の有志が作った「竹あかり」
広島市安芸区阿戸町の有志が作った「竹あかり」

災害とコロナ禍を乗り越え4年ぶり復活

そして2023年6月10日、待望の「ほたる祭り」が復活。広島市安芸区阿戸町で4年ぶりに開催された祭りには、約500人が集まった。

大人も子どももみんな、楽しそう。

子どもたち:
久しぶりです。地元って感じがします

(Q:ホタル楽しみ?)
子どもたち:
めちゃくちゃ楽しみです

かき氷やお好み焼きなどの屋台が並び、すべてが手作りのイベントである。

広島名物・お好み焼きの屋台
広島名物・お好み焼きの屋台

竹あかりとホタルの光が共演

祭りの会場には竹あかりも組み立てられた。斜めにカットされた竹の筒が、大きなハート型に並んでいる。

大きなハートの形に並べられた竹
大きなハートの形に並べられた竹

やがて辺りが暗くなり始めると…闇を照らす竹あかりを囲み、記念撮影をする人の姿も。

一方、会場の横を穏やかに流れる熊野川。その川辺に、1つ、2つと光っては消え、また光る…。ホタルだ。以前より数は少ないものの、ホタルが戻ってきた。

4年ぶりのにぎわいを見守る竹あかりのタワー。大小さまざまな穴からこぼれる明かりは、どこかホタルの光に似ている。

西日本豪雨災害、そしてコロナ禍。この5年間に数々の苦難があった。それらを乗り越えて、以前の暮らしが少しずつ戻り始めている。

(テレビ新広島)

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