ロシア・モスクワの中心、ロシア大統領府が置かれている宮殿・クレムリン上空をとらえたとされる映像がSNSで公開されました。

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象徴的な丸い屋根の上空に現れたのは、ドローンのような物体。

クレムリンの屋根に接近するドローンのような物体
クレムリンの屋根に接近するドローンのような物体

屋根に近づいた次の瞬間、まぶしい光を放ち爆発しました。

突然、爆発した
突然、爆発した

燃えながら落下していく破片。

立ち上る白い煙 燃えながら落ちていく破片も
立ち上る白い煙 燃えながら落ちていく破片も

映像をよく見ると、丸いクレムリンの屋根の左側に人間のような 2つの白い影があります。

動いているようにも見えますが、人間だとすればなぜ 攻撃のタイミングで屋根にいたのでしょうか?

クレムリンの屋根に2つの人影のようなものが
クレムリンの屋根に2つの人影のようなものが

離れた場所から撮影された映像では、クレムリン付近から煙が立ちのぼっている様子が分かります。

ロシア大統領府は、ウクライナによるドローン2機の攻撃があったと発表。
ドローンは、軍および特殊部隊により、レーダー干渉システムで機体を無力化することに成功したといいます。

プーチン大統領は、当時不在でしたが、ロシア大統領府は、大統領を狙った暗殺未遂、「計画的なテロだ」として報復を示唆しています。

一方、フィンランド訪問中だったウクライナのゼレンスキー大統領は、「我々はプーチンやモスクワを攻撃しておらず、自国の領土で戦っている」関与を否定しました。

「自爆型攻撃ドローン」の可能性…一体“誰”が?

はたして、ロシアの中枢であるクレムリンが、本当に狙われたのでしょうか?

映像を見た軍事ジャーナリストの井上和彦氏は、「攻撃用のドローンの可能性はある」と話します。

軍事ジャーナリスト 井上和彦氏:
おそらく、「自爆型」のドローンだったのではないかなと思うんです。
例えば、爆弾を搭載して投下をするというようなところであれば、もうちょっと高い高度から落としてるような感じがするんです。

井上氏は、使われたのは“自爆型の攻撃用ドローン”で、ロシア大統領府の発表通り、自爆する前にロシア側が制御して、爆発させたと見ています。

では、ドローン攻撃を仕掛けたというのは、一体“誰”なのか。

井上氏は「ロシアの自作自演」「ウクライナによる攻撃」「ロシア国内での反体制勢力によるテロ」の3つの可能性を指摘します。

しかし、「リスクの高いクレムリン攻撃をロシアが自作自演する可能性は低い」とし、ウクライナ側の攻撃か、ロシア内部の反プーチン派が動いた可能性が高いといいます。

軍事ジャーナリスト 井上和彦氏:
5月9日というロシアにとっては、戦勝を祝う対ドイツの戦勝記念日の日。
この矢先にクレムリンが攻撃されると。これはモスクワにとって非常に、大きな痛手になると思うんです。

映像にあった屋根の“2つの人影”らしきものに関しては…。

軍事ジャーナリスト 井上和彦氏:
あれが本当に人だとするならば、2人の人影が、今回の攻撃に何らかの関与をしたというふうには、ちょっと考えにくい。

井上氏の推測に対して、筑波大学名誉教授の中村逸郎氏、フジテレビ解説委員の風間晋氏はそれぞれ違う見解を口にします。

筑波大学名誉教授 中村逸郎氏:
私の見立てでは、ロシア軍の中の対立が激しくなってきているのではないかと思います。特に4月29日以降、今回の戦闘で最前線で戦っている民間の軍事組織ワグネルの司令官であるプリゴジン氏が「もうこれ以上戦争することはできない。兵士が不足している。もう戦えない」と。そして、29日に「今ロシアは内部崩壊の危機にある」という事をプーチン大統領に訴えたんです。
その後、ロシア国内の貨物列車、インフラ設備が激しい攻撃を受けています。
実はコレは、プリゴジンたちが、自分たちの言うことを認めないその警告の意味で、ロシアに対して内部から攻撃を仕掛けてきて、そして今回のクレムリンへの攻撃に発展していったのではないかと思います。

Q.インフラへの攻撃というのは、あくまでも“内部対立”?
筑波大学名誉教授 中村逸郎氏:

ロシア軍の中の内部対立、反戦活動している人たちの協力があってこそ、こういう事ができるんだと思います。
ウクライナが自分の領土から、ロシア国内の領土まで入って攻撃するということは、防空システムもきちんとしているので、ウクライナ単独ではなかなかできにくい、やはりロシア国内の中に、反戦活動の人たちの協力者がいると考えられる訳なんです。
クレムリンへの攻撃というのはなかなか難しいわけで、ですからやはりロシア、プーチン政権の近いところ。側近の中で、ウクライナのロシアへの攻撃を協力している勢力がいるのではないかと思います。

さらにフジテレビ解説委員の風間氏は…。

フジテレビ解説委員 風間晋氏:
ロシア軍が厳しいということと同時に、ウクライナ軍が今月中に大攻勢をかけると。
そのときにウクライナ側にとって一番大切なのはNATO、西側諸国からの軍事支援が続くことです。ところがこういう、クレムリンあるいはプーチン大統領に対する攻撃を、ウクライナ側がやったということになると、NATO側の足並みが乱れることになりかねないので、ある意味それはロシア側にはありがたいことになる。
もうひとつ、ロシア側は報復をすると言っていますから、「プーチン大統領を狙ったのだから、俺たちはゼレンスキー大統領を標的にする」という言い訳につなげることができると言うわけです。今までは1年2カ月間、ロシア側はゼレンスキー大統領を直接狙った軍事力行使はやってないんですよ。
それが今、ロシア軍が極めて厳しい状況立たされている中、それを変えるためのひとつのきっかけとして、こういうものが利用される可能性は考えられます。

(めざまし8 5月4日放送)