かつての寝台特急「ブルートレイン」を遍路宿として生まれ変わらせたプロジェクトが、早くも困難な局面を迎えている。車体の移送から2年。4月8日に晴れて開業を迎えたが、待ち受けていたのは、厳しい現実だった。
「ブルートレイン」を遍路宿に
香川・観音寺市の、雲辺寺ロープウェイ駐車場に置かれた「ブルートレイン」。青い塗装が目を引く車両を見つめる男性は、香川・善通寺市の岸井正樹さん。
この記事の画像(9枚)岸井さんは、その道50年の大の鉄道ファン。中でも、小さいころから好きだったのが「ブルートレイン」。
そんな岸井さんが手掛けてきたのが、ブルートレインを遍路宿に生まれ変わらせるプロジェクト。2008年の引退後、鹿児島県で放置されていた車両を香川県に移送するなど、2021年4月から、観音寺市での開業に向けて準備を進めてきた。
岸井正樹さん:
いろいろな壁に当たって、どうしようかということが何度もあった。やっとできたという感じ
困難を乗り越え開業も…
多くの困難を乗り越え、4月8日に開業したのが、ブルートレイン「オハネフの宿」。
2年待ち焦がれていた瞬間だったが、待ち受けていたのは厳しい現実だった。
岸井正樹さん:
もう少し席が埋まると思った。単純に休み前だから来てくれるというのではない。読みが甘かった
開業から5日たつも、これまでに泊まったのは、わずか4人。ゴールデンウイークの宿泊予約も受け付けているが、問い合わせの連絡は一向に増えない。
岸井正樹さん:
土曜・日曜だが、来週はいない。宿を維持していくには不安要素。今からどれくらい来てくれるか、めちゃくちゃ不安
宿として存続させるには、月々の運営費に加え、電気や水回りの設備のリース代を支払う必要があるため、このまま予約が入らなければ、翌月の営業さえも難しくなるという。
岸井正樹さん:
少しでもたくさんの人に来てもらって、大切な車両なので見てもらって残していく、皆さんに協力してもらえたら
人生をかけた一大プロジェクト
宿泊料金は、1泊5,000円から。快適に利用してもらえるよう、オープン後も準備を進めている。岸井さんにとって、人生をかけた一大プロジェクト。このまま終わるわけにはいかない。
岸井正樹さん:
「もう駄目かな」と思うことが何度もあったが、「これは絶対せないかんことや」と思って、ずっとやってきた。まだ諦めていない。たくさん来ることを夢見てやっている。列車が末永く、いつまでも残るように、協力をお願いしたい
(岡山放送)