昭和のゲームに夢中になった世代なら、誰もがゲームセンターにあった「テーブル型ゲーム機」が欲しいと思ったのではないだろうか。そんな夢のゲームが、令和の今なんと個人用として発売される。

(出典:徳力精工)
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業務用ゲーム機などを昭和から手掛けている徳力精工(東京・府中市)が、現代の仕様に合わせたオリジナルのテーブル型ゲーム機「TAKUYA」を開発し、4月11日から予約サイトで受注をスタートするのだ。なお限定50台としており、その後の販売は未定だという。

(出典:徳力精工)
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徳力精工によると、テーブル型のゲーム機は1976年に大手ゲームメーカーが喫茶店向けに開発。当時、海外では立ったままゲームをするアップライト型が主流で、テーブル型は世界初だったという。

そんな往年のテーブル型ゲーム機には丸みのあるブラウン管が使われていたが、「TAKUYA」は薄くフラットな液晶画面を使用。見た目やサイズ感は当時のままだが、筐体の材質は木材から金属に変更し、高さの調整機能も搭載している。

(出典:徳力精工)
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また「JAMMAコネクタ対応アーケード基板」が搭載でき、従来のテーブル型ゲーム機と同じように、レトロゲームの電子回路基板を使うことができる。さらに「TAKUYA」は、家庭用ゲーム機を接続して遊ぶこともできるとのことだ。
(搭載可能なコンシューマ機種については販売店に要確認)

(出典:徳力精工)
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本体サイズは幅86cm×奥行68cm×高さ51~69cmで、重さは約60kg。価格は画像と同じ2レバー仕様が41万9375円 (税込)からとなっている(1レバー仕様は税込40万5625円〜)。

硬貨に反応するコインセレクターや、2P用のコントロールパネルなど様々なオプションも用意されており、先行10台は特典としてゲームセンターでよく見るイス1脚とシリアルナンバー入りのドッグタグが付いてくる。

ゲームチェア(出典:徳力精工)
ゲームチェア(出典:徳力精工)

もうTAKUYAのようなゲーム機を作る会社は他にない

価格もサイズも本格的だが「TAKUYA」はどんなユーザー向けなのか? そもそもなぜレトロなテーブル型ゲーム機を令和の時代に作ろうと思ったのか? 徳力精工株式会社の担当者に聞いてみた。


――そもそも「TAKUYA」は個人向けの製品なの?それとも業務向け?

ベースは個人向けです。


――レトロゲームの基板は別売り?

基板は弊社で取り扱いしません。


――レトロゲームの基板は、いくらするの?

中古市場になります。だいたい\10000円~です。


――「TAKUYA」で遊ぶには専門知識がいるのでは?どんなユーザーを想定している?

専門的知識は必要ありませんが、アーケード基板をお持ちでないとプレイできません。コンシューマ接続ユニットをオプションで用意する予定です。こちらを使えば家庭用ゲーム機との接続が可能です。ユーザー設定はレトロゲーム好きな方になります。

(出典:徳力精工)
(出典:徳力精工)

――「TAKUYA」のようなレトロなゲーム機を作る会社はどのくらいあるの?

私共の把握しているかぎりありません。


――では、レトロゲームの基板を作っている会社は?

私共の把握しているかぎりありません。


――「TAKUYA」という名前の由来を教えて。

弊社の「匠」の技術、テーブルを表す「卓」、生産地である弊社の横須賀工場(YOKOSUKA)から、実際には「TKY」という表記にしたかったのですが、かなわずという「TAKUYA」名称になりました。

「インストカード」というゲームの説明書を入れるカギ付き収納ボックス付き(出典:徳力精工)
「インストカード」というゲームの説明書を入れるカギ付き収納ボックス付き(出典:徳力精工)

あえて不便な昔のゲーム機を知ってもらう

――なぜ「TAKUYA」を開発した?

アミューズメント業界に長く川上の立場から関わってきた弊社として、ゲーム文化スタートとなるテーブル筐体を改めて知ってもらいたいという想いが一番です。スマホゲーム全盛の今だからあえて不便な昔のゲーム機を知ってもらうことで日本のモノづくりとは、その技術とは、残して伝えていく、ことが中小企業としてできる大切なことではないかという想いで事業としてというよりも企業CSR(企業の社会的責任)活動として今回の開発に至りました。


――開発で苦労した点は? 

当時のテーブル筐体にどこまで近づけるかが一番のポイントでした。当時の資料が社内には乏しく実際にレトロゲームセンターなどに通い、目測での寸法を測ったりネットで当時の画像などを漁りながらの作業です。


――昭和のゲーム事情を知らない若い社員もいたのでは?

当時を知らない社員は多くいますがテーブル筐体自体の認識がある社員ばかりでしたので、昨今のレトロブームも相まって比較的スムーズに進行しました。

(出典:徳力精工)
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レトロゲームファンのために作られたゲーム機「TAKUYA」。気軽に購入できる価格とは言えなさそうだが、どんな人が手に入れるのか? 売れ行きにも注目が集まりそうだ。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。