柔らかい皮に包まれた上品な甘さの白あん。福岡土産を代表する銘菓のひとつ「博多通りもん」。福岡土産や贈答品として人気があるが、いま北九州など福岡都市圏以外では買えない状況が続いている。

観光客が大勢訪れるゴールデンウィークが迫るなか、県内のさまざまな店で購入することができた博多の銘菓が、いま思いもよらない事態に見舞われている。

「博多通りもん」が買えない小倉駅

小川奈都美リポーター:
JR小倉駅の土産専門店です。本来ならば、こちらに「博多通りもん」が並んでいるんですが、販売休止のお知らせが貼られています

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「博多通りもん」を製造・販売する明月堂は、北九州地区での販売を3月19日から休止。現在、福岡都市圏だけでの販売になっているため、店を訪れた人からは「博多通りもん」がないか、1日100件ほど問い合わせがあるという。

おみやげ街道 ビエラ 小倉店・久家真弓店長:
「博多通りもん」を求めてくるお客様が多くて、反応はやっぱり「さみしい」と

オンライン販売でも3月10日から取り扱いを休止中だ。販売再開時期については未定だという。なぜ手に入りにくくなっているのか。

その理由は、原料のタマゴ不足だ。高病原性鳥インフルエンザの全国的な感染拡大で、ニワトリ約1,704万羽が殺処分の対象になった。

採卵用のニワトリでは飼育数の11.6%を殺処分した。これによってタマゴの確保が困難になり、生産数の維持が難しくなっている。

来店客:
えっ、本当じゃん! そうなんだ。残念。福岡だと「博多通りもん」おいしいじゃないですか。会社に買って帰ろうかと思ったんですけど…

別の来店客:
子どもがいる家庭にも買って行っていたので、なくなったら、何を買っていいやらって感じですね

「博多の女」の生産数も半分に

タマゴ不足の影響は「博多通りもん」だけでなく、ほかの福岡銘菓にも及んでいる。

しっとり柔らかなバウムクーヘン。その中には優しい甘みの小豆ようかん。半世紀もの間、人々に愛されてきた「博多の女(ひと)」。ゴールデンウィーク期間中だけでも約1万5000箱を売り上げる定番の博多土産なのだが-。

二鶴堂佐賀工場・丸内寛子工場長:
お客様に食べていただきたいし、手に取っていただきたいんですけど、作ることができない

理由はやはりタマゴ不足。「博多の女」を生産する二鶴堂では、2月以降、必要な量の半分しかタマゴを確保できなくなった。そのため、「博多の女」の生産数も半分に減らさざるを得ない状況となっている。

4種類の味のうち、一部商品はネット販売を休止するなどし、詰め合わせボックスのみで販売している。

二鶴堂・橋本由紀子社長:
もともと、うちは観光土産品専門でやっていたので、お客様がお土産として買われるときに、その機会だけは守りたいということで、売り場を限定させていただいています

ショッピングセンターなどへの卸を制限する代わりに、駅や空港など観光客が多い土産店向けに商品を確保している。

タマゴを使わない商品の開発も

二鶴堂では、現在製造している全ての商品でタマゴを使用しているため、今後はタマゴを使わない商品の開発も検討している。

二鶴堂佐賀工場・丸内寛子工場長:
夏場、猛暑になると鶏が死んでしまって、またタマゴの量が減っていくっていう悪循環が起こり得る。1年たつとまた鳥インフルエンザがはやる時期が来てしまうので、そこでまた再来したら「どうなってくるんだろう」っていう不安はありますよね

土産需要が増えるゴールデンウィークまでもうあとわずか。
“タマゴショック”をどう乗り切るかの模索が続いている。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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