福岡・大任町が公共工事の入札結果を2021年7月から非公表にしている問題。3月14日、大任町の永原譲二町長(69)は、町発注の公共工事の入札結果を4月分から公表再開することを明らかにした。

公表再開の理由

そもそも落札業者名や金額など、入札結果の情報は公正な競争のため法律で公表が義務付けられている。ところが大任町は「反社会勢力などから町民の命を守るため」として非公表としていた。

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大任町では、以前から反社会勢力が受注業者に対し、不当な要求をする例がエスカレートしていたのだ。そこで町は、2021年に町内の土木建築業者16社からの要望に応じるかたちで入札結果の非公表に踏み切っていた。

国や県からは「違法」との指摘があったが、町長は「反社会勢力などから町民の命を守るためで犯罪の予防だ」などと説明していた。これまでと一転、公表することにした理由を問われた永原町長は…。

永原譲二町長(3月14日・記者会見):
指定暴力団の組長ら3人が暴力行為法違反容疑で逮捕されたから

暴力団組員らを逮捕

町長の会見の1週間前。

毛利拓也記者(3月10日):
太州会の組事務所に家宅捜索が入ります

警察は大任町の土木建築業者の男性を脅した疑いで福岡・田川市に拠点を構える指定暴力団太州会系の組長ら3人を逮捕した。警察によると、太州会系の組長・井上直樹容疑者(57)ら3人は、2022年11月、大任町の商業施設で会社経営の男性(当時52)に対し「覚悟しとけよ、殺すぞ」などと脅した疑いが持たれている。町はこれで町民の不安を拭うことができたとしているのだ。

永原譲二町長(3月14日・記者会見):
(入札した)業社の方々に、例えば“反社”の方々が「お前のところは、なんぼで仕事をしよろうが」といっぱい声が掛かってきている。業社の方々から「なんで“反社”の人が、入札結果を知ってるんですか?」と苦情が来た。そういう状況の中で圧力が激しくなって、それでそういう状況(=入札非公開)になった

反社会的勢力が近い町の現状をどう思うかとの質問に…。

永原譲二町長(3月14日・記者会見):
感想で言いますけど、いろんな地域があると思いますので、ここは特に産炭地域ですから、いろんなものがあって、地域環境があると思います

非公表としてきた約1年8カ月分は

大任町を巡っては、2021年9月に、情報公開条例を改正して請求できる人を「何人(なんびと)」から、1年以上大任町に住んでいる町民のみに狭めていた。

記者:
過去の分は?過去の分はどこまで、さかのぼる?

永原譲二町長(3月14日・記者会見):
今は、今回の法違反というマスコミの皆さんが言ってる入札契約適正化法に基づくことの記者会見ですから、情報公開というのは、これとは問題がすり替わっていると思いますので、今は入札契約適正化法の質問をして下さい

今回、暴力団組員らが逮捕されたことをきっかけに入札結果は今後、町役場の掲示板で公表されるが、これまで非公表としてきた約1年8カ月分については、別途検討するとして、公表するかどうか明言を避けた。

(テレビ西日本)

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