3月22日から開幕する世界フィギュアスケート選手権。

会場となるさいたまスーパーアリーナのメインリンクで21日、出場する女子代表の坂本花織、三原舞依、渡辺倫果らの公式練習が行われた。

公式練習を行う坂本花織
公式練習を行う坂本花織
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坂本は、フリーを曲かけ。後半のジャンプに乱れこそあったものの、その後、中野コーチと話し合いながら修正。得意の3回転フリップ+3回転トゥループの連続ジャンプも鮮やかに決めた。

ショートプログラムに向け、状態を上げていきたいところ。

公式練習を行う三原舞依
公式練習を行う三原舞依

「観客席の1番上からリンクを見る」のがルーティンの三原は、今大会もさいたまスーパーアリーナの5階席まで足を運び、リンクを感慨深そうに見つめた。

6年ぶりに世界選手権のリンクへ降り立ち、ショートを曲かけ。ジャンプやスピンはスルーしたものの、情感溢れるステップを丁寧に確かめた。

公式練習を行う渡辺倫果
公式練習を行う渡辺倫果

そして、状態の良さを見せたのが初代表の渡辺。ショートの曲をかけた練習では、冒頭にトリプルアクセルを着氷。

今季課題としていた、“ショートのトリプルアクセル”。世界選手権に向けて、しっかり調整してきたようだ。

自分への“ご褒美”に連覇をあげたい

連覇を狙う坂本は、4大会連続4度目の出場だ。前回大会では世界女王に輝いている。

今大会は坂本にとって「連覇」に挑む大会でもあり、2019年に悔しい思いをした「リベンジ」の大会でもある。

公式練習を終えた後、今の心境を「去年は初めて優勝することができて、今年も出られるのはすごく嬉しい。去年よりも良い演技をして成績を残せたらと思っています。

4年前、このさいたまスーパーアリーナで世界選手権が行われた時、すごく悔しい思いをしたので、その4年前のリベンジと2連覇をかけて頑張りたい」と闘志を燃やした。

――今年もこの場所に帰ってきましたが、いかがですか?

4年間で何回かさいたまスーパーアリーナでの試合はあったんですけど、世界選手権となると雰囲気が全然違う。またこの場に帰ってきたんだなと思いました。

――世界選手権に向けてどんな調整をしてきましたか?

ショートが今シーズン不安だったので、ショートの不安をなくせるようにずっと練習していたので、それを発揮できたら。フリーは練習でノーミスできるようになってきたので、ショートよりは自信がある。

――改めて意気込みを教えてください。

4年前のフリーですごく悔しい思いをしたので、その悔しさを晴らせるように、この世界選手権を全力で戦い抜いて、本当のパーフェクトがしたい。連覇できたらすごく嬉しいと思うので、自分へのご褒美に“連覇”をあげられるように頑張りたい。

この4年でいろいろな経験を積んでの世界選手権なので、4年前とは違う気持ちで今は挑めていると思います。見ているみなさんが安心して見られるように、自分も思いっきりできたら。

集大成として完璧なショート・フリーを

三原にとって、6年ぶりの舞台となった世界選手権。

2017年に出場した際は、ショートで出遅れるもフリーの『シンデレラ』の演技で感動を呼び、総合5位まで巻き返した。

今シーズンはコンスタントに試合に出場し、その中でもGPシリーズ2戦、GPファイナルで優勝し、全日本選手権では2位表彰台にのぼり、代表を手にした。

公式練習を終えた後、三原は「始める前からワクワクしています。試合の日になったらもっと緊張すると思うんですけど、それもしっかり受け止めて、自分らしく最初から最後まで集中して、世界選手権という舞台を楽しんで、最後まで笑顔で終えられたら。(日本での開催に)短い移動で会場に来れたのは、自分の体にとって良かった。

ファンの方々とかもすごく温かく見守ってくださって、観客席にヨーロッパの試合を見に来てくださるファンの方もいて、すごく嬉しくて。そんな舞台を1秒1秒、楽しんでいけたらと思っています」とファンの姿もしっかりと目に焼き付けていた。

――今はどんな思いですか?

今日も一番上の座席までのぼって、上からリンクを見た時にワールドのマークと鶴や桜のマークが見えて、すごく感動した。「感動」「感謝」の思いもあって、今までのいろいろなことを考えて、「本当に嬉しい」という言葉に尽きると思います。

――世界選手権に向けてどんな練習に取り組んできましたか。

今シーズン、ほぼラストの試合で一緒に戦ってきた演技の、いろいろな課題が合わさった“最強のプログラムにしたい”と思っていて。今シーズンはいろいろな課題を一つ一つ見つけて、それを克服して、試合で乗り越えてきた。その集大成として完璧なショート・フリーを一つ一つ大切に、楽しんで滑りたい。

――一番のポイントは?

プログラム全体を通して、ショート・フリーも呼吸を大切にしながら、一番上の座席に届くような表現をしたいですし、集中力を最後まで切らさずに、思い切って滑りたい。

――どんなことを目標に滑りますか?

本当に嬉しい舞台なので、最初から最後まで全力で、今までやってきたことを信じて、この舞台を楽しんで滑りたい。

“魔物”に弱い気持ちを見せないように強気で

初出場の渡辺は、今シーズン一気に注目を集めた。

武器となるトリプルアクセルへ挑戦し続ける理由を「自分のプライドが挑戦を止めることを許さない」と語っていた。

公式練習を終えた渡辺は、「今シーズン最後の、最高峰の大会になる。ショート、フリーともにノーミスでそろえることが最大の目標になります。楽しみな気持ちも緊張もありますが、自分を見失わずに落ち着いてやることがカギになると思っています」と意気込んだ。

――会場での練習はいかがでしたか。

懐かしい気持ちもありつつ、この舞台に来れていることを嬉しく思いながら、良い練習ができたと思います。思い入れのあるリンクに帰って来れた、ということが大きい。

――アクセルの調子はどうですか。

どちらかと言うとアクセル以外のものを中心に、アクセルにこだわりつつ、それ以外を積極的に練習していて。アクセルの感触は良い感じになっていると思いますが、アクセルに“こだわりすぎず、こだわっていければ”いいかなと思います。

――ショートの振付を変えていかがですか。

アクセルの軌道もわかるようになってきて、その後の軌道も少しずつわかってきた。

――「チャレンジすることをプライドが許さない」と言っていましたが、初の世界選手権もそういった気持ちでしょうか。

これが最高峰の戦いになるので、弱気な姿だと“魔物”に取りつかれる、足元をすくわれると思うので。その“魔物”に弱い姿を見せないように強い気持ちで、落ち着いて、初心を忘れずに頑張っていければいいと思います。私はチャレンジャーです。

女子ショートプログラムは大会初日、3月22日(水)に行われる。

世界フィギュアスケート選手権
■3月22日(水)午後6時30分~8時54分
女子ショート・ペアショート
■3月23日(木)午後6時30分~9時54分
男子ショート・ペアフリー
■3月24日(金)午後6時30分~9時52分
女子フリー・リズムダンス
■3月25日(土)午後6時30分~9時30分
(※午後6時30分~7時 関東ローカル)
男子フリー・フリーダンス
■3月26日(日)
深夜0時30分~1時30分※関東地区ほか
エキシビション
■3月28日(火)
深夜3時10分~4時10分※関東地区ほか
ペア&アイスダンス
https://www.fujitv.co.jp/sports/skate/world/index.html

フィギュアスケート取材班
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