2月10日からアメリカ・コロラドスプリングスで行われる四大陸フィギュアスケート選手権。

アフリカ・アジア・アメリカ・オセアニアの4つの大陸の選手が出場資格を持つ大会だ。

日本からは2022年末の全日本選手権での代表選考会を経て、男女シングル各3名、ペア1組、アイスダンスから2組が代表して選出された。

男子代表の一人、島田高志郎はこの大会を「新たな一歩であり、自分への挑戦の試合」だと語る。

初めての四大陸選手権となる島田は、「さらにこれから上を目指す」とさらなる飛躍を誓った。

コーチからの信頼を得た全日本

2022年の全日本選手権で2位となった島田高志郎。

“憧れ”のステファン・ランビエールコーチに指導を受けるため、2017年に15歳で単身スイスに渡った。

世界ジュニアに2度出場するなどジュニア時代は実績を残してきたがシニア転向後、ケガなどで奮わない時期が続いた。

身長176センチと日本人離れしたスタイルで魅せる、豊かな表現力には定評がある。

「いい演技がしたい」という思いで挑んでいる今シーズンは、GPシリーズ2戦に出場。イギリス大会のフリーで自己ベストを更新し、4位に入るなど好調のまま全日本を迎えた。

その全日本で島田は大きな転機を迎える。

ショートプログラムで4回転2本を着氷させ87.69点で2位につけると、フリーでは冒頭の4回転で手をつくミスがあったものの、崩れることなく164.87点を記録。

フリーの演技後、島田は天を仰いだ
フリーの演技後、島田は天を仰いだ
この記事の画像(7枚)

演技後に島田は感極まったように天を仰いだ。

自己ベストの252.56点を記録し、初の2位表彰台にのぼった。

その夜、翌日の早朝にはスイスに戻るランビエールコーチと話をしたという島田。

「一人の人間として、一人の男として自立した。自分がやるべきことが明確にわかっているのが伝わったからすごく安心した」と言われたという。

ステファン・ランビエールコーチと抱き合う島田
ステファン・ランビエールコーチと抱き合う島田

6シーズン目となるランビエールコーチの信頼をつかんだ全日本で、島田は目標としていた四大陸の代表を手にした。

全日本後の会見でも島田は、コーチとの練習について「一人の人間として育てていただいていると感じている。スケートに関しては自分が持っている感性をどんどん引きのばしてもらえる環境や、スケートに対する愛や情熱を毎日一緒にコーチしてくださっています」と語った。

“完璧な演技ができる”を思い描けるように

全日本で優勝した宇野昌磨もランビエールコーチに師事している。

島田は表彰台で宇野の隣に立てたことを「昌磨くんの背中を追い続けながら練習してきたので、まだまだ点数やトップスケーターとしてほんまに遠い存在なんですけど、表彰台の横に立てたのはうれしいものがあります」と喜ぶ。

全日本選手権(2022年)の表彰式
全日本選手権(2022年)の表彰式

宇野も全日本後の会見で島田について聞かれると、島田が満足のいく結果を得られるように応援していることに加えて「同じチームになる前から一緒にゲームをしていた。スケートという共通点はありますけど、ゲーム友達という感じ」と話す。

そして、「表彰台で隣に一緒に乗ったときはすごく感慨深いものがありました」と振り返った。

全日本選手権を振り返る島田高志郎
全日本選手権を振り返る島田高志郎

島田は全日本で結果を残すことができた要因をこう語る。

「大会を通してずっとスイッチのオン・オフの切り替えや、今回の試合に向けての心構え“心技体”がすごくそろっている感じがした。それも周りの方々のサポートのおかげ。あまり失敗を恐れず、本当に失敗する気がしなかったというか、“完璧な演技ができる”とまで思い描いていた。

試合の数がどんどん増えていくにつれて良くなった点、改善すべき点がすごく明確になって、そこに真剣に一つ一つ向き合いながら生活していったことが、本当に小さなことの積み重ねですが、こういった結果になったのかなと思います」

上を目指して、でも自分らしく

そんな島田は、新年を地元・愛媛で迎えた。瀬戸大橋で初日の出を初めて見に行ったという。

去年最高の形で2022年を終え、迎えた2023年。拠点のスイスに戻る直前、神社に参拝した島田は絵馬に「皆が健康で過ごせますように…」と書いた。

絵馬に書いたのは「皆が健康で過ごせますように…」
絵馬に書いたのは「皆が健康で過ごせますように…」

そう書いた理由を「結局、健康が一番です。健康じゃないと何も出来ないので」と語る。

自身にとって「新たな一歩であり、自分への挑戦の試合」と位置づけている四大陸。

2022年の全日本選手権
2022年の全日本選手権

「四大陸選手権に出ること自体初めての経験。自分がそのときにどんな気持ちで、どんな状態で試合に臨んでいるか分かりませんが、そのときできる最大限、そのときできる最大のコンディションをしっかり考えて臨みたい。

全日本の結果も踏まえてさらにこれから上を目指さないといけない。今までの試合の経験からもいろいろ学んできたので、その経験を活かして自分らしくいたいなというのが目標。全日本は250点を超えられたので、次は260点を目指して演技したい」

誰よりもケガのつらさを知り、ケガに振り回されてきた“苦労人”の島田が、シニアでの初めてのチャンピオンシップに挑む。

四大陸フィギュアスケート選手権2023
フジテレビ(※関東地区ほか)にて3夜連続放送

■男女ショート
2月10日(金)深夜1時35分~3時35分
■ペアショート&リズムダンス&女子フリー
2月11日(土)深夜1時45分~3時45分
■ペアフリー&男子フリー
2月12日(日)深夜0時30分~2時30分
https://www.fujitv.co.jp/sports/skate/four-continents/index.html

フィギュアスケート取材班
フィギュアスケート取材班