第5回ワールドベースボールクラシック(WBC)で3大会ぶりの世界制覇に向けて順当に勝ち進んでいる日本代表。16日の準々決勝ではイタリアに9-3で快勝。次戦・準決勝は3月21日にフロリダでメキシコvsプエルトリコの勝者とで行われる。

1次R打率.429と大活躍だったヌートバー

1次ラウンドでは大谷翔平(28)が大活躍。「打者」として、4試合で12打数6安打(打率5割)、1本塁打、8打点、7四球、1盗塁。3二塁打。「投手」としては、初戦の中国戦に先発し、4回を被安打1、無四死球、5奪三振で無失点と好投。グループBの最優秀選手(MVP)に選出された。

大谷は、イタリア戦でも先発投手として4回2/3を被安打4、5奪三振、2失点と粘投。打者としても意表を突くセーフティーバントヒットで攻撃の口火を切り、文字通り“投打”で日本を準決勝進出に導いた。

WBC開幕前からの期待を裏切らない大活躍を見せている大谷。一方、そんな大谷に負けず劣らず、今大会で強烈な存在感を放っているのがアメリカ生まれの侍、ラーズ・ヌートバー(25)だ。

10日の1次ラウンド・韓国戦では、反撃の口火を切るタイムリーヒットを放つと、センターの守備では連日のスーパープレー。その躍動ぶりに韓国との試合中、ツイッターの世界トレンド1位には「ヌートバー」の5文字が急浮上した。

1次ラウンド4試合で打率.429、出塁率.579と大活躍を見せたヌートバー。彼の全力プレーと愛されるキャラクターは“日本中の心”を一瞬にして掴んだ。

ヌートバー少年が書いた手紙

なぜ彼はここまで愛されるのか?今回、幼少期のヌートバーを知る人物への独自に取材。「愛される」原点が見つけることができた。

高校日本代表としてアメリカ遠征時にヌートバー家に宿泊した船橋悠さん
高校日本代表としてアメリカ遠征時にヌートバー家に宿泊した船橋悠さん
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話をしてくれたのは、高校日本代表としてアメリカ遠征を経験した船橋悠さん。

左:船橋さん 右:ヌートバー少年(当時9歳)(写真:船橋さん提供)
左:船橋さん 右:ヌートバー少年(当時9歳)(写真:船橋さん提供)

この時、船橋さんがホームステイしていたのが、当時9歳だったヌートバー少年の自宅だった。

試合前の一コマ。ヌートバー少年(右から二人目)もチームの輪に加わっている。(写真:船橋さん提供)
試合前の一コマ。ヌートバー少年(右から二人目)もチームの輪に加わっている。(写真:船橋さん提供)

「試合前にみんなで外野でストレッチとかキャッチボールしているところに入ってくるんですよ(笑)真剣にストレッチしてるのに背中押してくるみたいな。持ち前の愛嬌(あいきょう)というか人の懐に入るところは、当時9歳の彼を見ていて、『この子、天才だな』と思っていた。スゴイ人間性だと思う」

ヌートバー少年と船橋さん(左)(写真:船橋さん提供)
ヌートバー少年と船橋さん(左)(写真:船橋さん提供)

WBCでも合流してすぐにチームに溶け込んだコミュケーション能力の高さは9歳の時から既に見せていた。さらに――。

「帰国するタイミングで手紙を本人からいただきまして」

ヌートバー少年が書いた手紙は、英語でとても丁寧に書かれていた。

9歳のヌートバー少年が帰国する船橋さんに書いた手紙(船橋さん提供)
9歳のヌートバー少年が帰国する船橋さんに書いた手紙(船橋さん提供)

Hey Funabashikun Thankyou
for coming I really had a
great time with you. I really 
hoped you could stay longer.
It was great having you. I
hope I see you again. Please 
visit again.

                         Love,Lars

「最初はFunabashikunから始まっています(笑) 『来てくれてありがとう、船橋くんを迎えることができてすごくいい時間だった。もっと一緒にいてほしい。また会える時を楽しみにしています。また来てください』と。僕としても感慨深いというかすごいなと改めて思います」

一文字一文字丁寧に書かれた手紙一つにも誰からも愛される人柄が表れていた。

母「日本の野球にすごく憧れていた」

そして、高校日本代表メンバーと過ごした時間。

高校日本代表メンバーとヌートバー少年。若き日の斎藤佑樹や田中将大の姿も見える(写真:船橋さん提供)
高校日本代表メンバーとヌートバー少年。若き日の斎藤佑樹や田中将大の姿も見える(写真:船橋さん提供)

この経験が「日の丸への憧れの原点」になったという。

ヌートバーの母・久美子さん
ヌートバーの母・久美子さん

ヌートバーの母・久美子さん:
小さい頃から日本の野球にすごく憧れていたので、自分がまさか日本代表としてプレーするなんて本当に思ってもいなかったので、すごい思いだと思います、きっと。

ヌートバー本人も大会前、日本代表への思いを口にしていた。

ラーズ・ヌートバー:
控えめな表現でもとても名誉なことだよ。本当に本当に興奮している。
特別な存在ではないけれど、一生懸命プレーして最高のプレイヤーになろうと思っている。
侍ジャパンはそんな私を受け入れてくれたらうれしい。

1次ラウンド初戦から全5試合に先発出場しているヌートバーはその言葉通り、常に全力プレーでチームを鼓舞している。イタリア戦でも先頭打者として、見事な流し打ちでヒットを放ち、試合開始早々から日本を勢いづけた。いまや、侍ジャパン“不動のトップバッター”となったヌートバーが、走・攻・守で日本チームに勇気を与え、“王座奪還”へと導いてくれるだろう。

『S-PARK』 旬なネタをどこよりも詳しく!
3月18日(土)24時35分から
3月19日(日)23時15分から
フジテレビ系列で放送

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