時間が経つほど味が出てくるおしゃれなリメイク家具。長野市の会社が手掛ける古民具や古材を再利用したレトロな家具が人気だ。社長の趣味が原点というリメイクの様子と販売好調の理由を取材した。

レトロな家具

タンスをリメイクしたチェスト
タンスをリメイクしたチェスト
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一枚板のテーブルに、和ダンス風のチェスト、ミシン台をリメイクしたテーブル。レトロ感あふれる家具が並んでいる。

長野市東和田の「和人(わじん)」。手がけているのは、社長の関光さん(68)だ。

和人・関光社長
和人・関光社長

和人・関光社長:
一言で言えば「和モダン」。昔の人が知恵を使って作られたものを再生して、大事にまた何年何十年と使っていただければ

家具はいずれも古民具や古材を再利用したもの。だが、関さんは家具職人ではない。本業は別にある。

趣味で作った陳列棚 ブティックに置いた

関さんは中野市出身。22歳から2年間、兄の経営する洋服の裁断工場に勤めた後、人脈を生かしアパレル業界へ。1982年、28歳で長野市栗田にブティックをオープン。今は3店舗を展開している。

趣味で古民具をリメイクした陳列棚をブティックに置いた
趣味で古民具をリメイクした陳列棚をブティックに置いた

子どもの頃から大工仕事が好きだった関さん。30年ほど前から趣味で古民具をリメイクし、陳列棚などとして「ブティック」に置くようになった。

和人・関光社長:
ディスプレーですから、あくまで洋服がメインな感じで置いてあったんですけどね

2010年、タンスをリメイクした棚を置いていたところー。

和人・関光社長:
何人かのお客さんに言われまして「これ譲ってくれない?」と、どうしようと。最終的にはお売りしたんですけど。3~4人ぐらいのお客さんに言われたときに「こういうのって売れるんだ」と

自身がリメイクした家具に手応えを感じ、都内の展示会などに出展。すると、旅館などから注文が相次ぐようになり2012年に「和人」を立ち上げた。

和人・関光社長:
「古くて新しい」って言われるんですよ、お客さんに。古さを残しながら、斬新に新しく生まれ変わっているというのが、お客さんの一番の印象なのかな

引き取らなければ焼却処分

倉庫に保管されている古民具
倉庫に保管されている古民具

古民具を保管する倉庫―。

和人・関光社長:
加工待ちです。これから加工に入る材料です

古民具や古材は、空き家や土蔵を整理した際に出たものを業者から引き取って調達している。倉庫には数百点がストックされていて、古くは明治時代のものも。捨てられてしまうものに再び光を当てる「SDGs」な取り組みとも言える。

和人・関光社長:
もったいないですよ。うちで引き取らないと全部焼却処分。古いものって作りがしっかりしているから、きれいにすると長く使えるんですよね

時間がたつほど、味が出てくる

古いタンスをリメイク
古いタンスをリメイク

古いタンスをリメイクする様子を見せてもらった。

洗浄したあと、まず全体をやすりがけして表面の汚れを取り除く。続いて、タンスの奥行きを10センチほどカット。現代の家でも使いやすいサイズに調整する。

和人・関光社長:
(昔の家具は今に比べると)大きいんです。タンスは着物が入っていましたからね

仕上げにオイルを塗り込む
仕上げにオイルを塗り込む

最後に、着色料を混ぜたオイルを塗り込む。木を保護するためだが、これがレトロ感を生み出す。

和人・関光社長:
時間がたてばたつほど、味が出てくる。ツヤ感とか、ビンテージ感が時間とともに表に出てくる。新材にはどうしても表現できない古さ

ものを大事にする時代に

「和人」のショールーム
「和人」のショールーム

家具は売り上げ好調だ。折からのレトロブームに加え、コロナ禍に入り「おうち時間」が長くなった影響で「家具を新調したい」という需要も増え、売り上げは以前のおよそ4倍。

工房はフル稼働状態で、2022年、ショールームも建てた。テレワーク需要で300台ほどを売り上げたというアンティークミシンをリメイクしたテーブル。(アンティークミシンテーブル9万9000円)

アンティークミシンをリメイクしたテーブル
アンティークミシンをリメイクしたテーブル

和人・関光社長:
引き出しとかは、そのまま昔のものを使って趣を出している。テレワークがはやった時に、パソコン作業をするときに座り心地がよくて(人気に)

リピーターも増加中で、今後は都市部への「2号店」の出店も見据えている。

リピーター:
机だったり、椅子だったりとか、買わせていただいている。アンティークのものは壊さないで、生かして、私たちの生活に合う家具なので、すごく魅力的

欄間を再利用したテーブル
欄間を再利用したテーブル

趣味から出発して人気拡大中のリメイク家具。関さんは、ものを大切にして使い続ける機運がもっと高まればと話している。

和人・関光社長:
ものを大事にしてきた時代と、使い捨ての時代があって、今もう一度ものを大事にする時代が見直されているのかな。見直されてほしいなと

(長野放送)

長野放送
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