愛媛・今治市にある創業70年の体操服メーカーが新たに手がけたのは、体操服用の生地から作るという洋服。「UWASA」と名づけられたブランドのポイントは「かっこよくて長く着られる」こと。老舗メーカーの「SDGs」への挑戦を取材した。

丈夫な体操服「もったいない」

体操服の生地でできたおしゃれウェアを着用する内木アナウンサー
体操服の生地でできたおしゃれウェアを着用する内木アナウンサー
この記事の画像(16枚)

内木敦也アナウンサーが着ているのは、体操服の生地でできたおしゃれウェア。街角で印象を聞いた。

内木敦也アナウンサー:
何の生地でできているかわかりますか?

洋服を見た人:
愛媛なので今治タオル?

内木敦也アナウンサー:
実は、体操服なんです!

洋服を見た人:
普段使いできそうなんで、はやりそうかなと思います

洋服を見た人:
全然カッコいいです

洋服を見た人:
見たことある感じがしました

洋服を見た人:
(体操服感というのは?)全くないですね

洗練された色合いは、素材の軽やかさとあいまって、モードでスポーティーな印象へと着る人を導いてくれる。そして、すべてのアイテムは、性別の区別なく着られるユニセックス。この服のブランドは、2022年の秋にデビューしたその名も「UWASA」。

手がけるのは今治市に本社を置く創業70年の「丸鷹産業」で、主に学校用の体操服を糸から生地を編み上げて縫製し、西日本を中心に、年間約20万着を販売している。老舗企業が初めて挑戦するアパレルブランドの決断の理由を聞いた。

丸鷹産業・西口幸徳社長:
これから10年先、20年先を考えたときに人口は減ってくるということは、1人当たりの消費量も減っていく。そうなることがわかってますから、今の間に丸鷹としても丸鷹の強みを生かした新しい商品ができないかということで考えたのが今回の企画です

70年培ってきた技術にはこんな側面も。

丸鷹産業・矢野祐作さん:
自分と姉が2人いるんですけど、うちの母親は、兄弟が中学校のときに着ていた体操服をいまだに着て、家の草むしりとか犬の散歩に(体操服を)履いて出ていくっていうのがありまして、そういう意味でいうと、3年間しか着られない体操服はすごいもったいない

丈夫な体操服なのに着る期間が限られるのはもったいない。それなら、もっと長く着られる洋服が作り出せないか。

体操服の生地に新たなアパレルの可能性

パタンナーの伊藤さおりさん
パタンナーの伊藤さおりさん

パタンナーの伊藤さおりさん、体操服の型紙、いわば設計図を起こす担当。今回、「UWASA」を立ち上げ、実際に生地を縫う縫製工場とのやり取りでは、これまで体操服ばかりを作ってきた中では、面食らう場面もあったという。

丸鷹産業 製造部パタンナー・伊藤さおりさん:
ふだんしたことないデザイン、例えばTシャツとかでもファスナーを外につけるっていう。普通は内側に(ファスナーの)端が見えないようにつけるんですけど、外づけになるのでデザイン的におしゃれなんです。しかし、体操服ではないので「これ、間違っているんじゃない」みたいなことはありました。工場から1回質問が返ってきて「合ってます」みたいな

若い世代に向けインフルエンサーが紹介

この日は、「UWASA」の新商品のPRについてオンラインでミーティング。

丸鷹産業・西口幸徳社長:
いかにエンドユーザ―さんに「UWASA」というブランドを知ってもらうか

UWASAディレクター・藪本守さん:
「UWASA」のアカウントも、そんなにたくさんの人にまだいけてないんですけど、実際は「のんちゃん」と「なほちゃん」ところのインスタグラマーさんの方のサイトからも告知しているので、「のんちゃん」で大体10万人のフォロワーさんがいるので、約10%の1万人くらいまでには、告知は広まっていますというところですね

ブランドをプロデュースするのは、東京で自らもアパレルブランドを運営する藪本守さん。若い世代に注目してもらうため、SNSで多くのフォロワーを持つインフルエンサーに紹介してもらおうという。

美容鍼灸(しんきゅう)師やタレント活動もする「のんちゃん」こと藤原望未さんは、10万人以上ものフォロワーを持つインフルエンサー。ヘアメイクアップアーティストの「なほちゃん」こと邦木奈帆さんと、彼女たちなりの目線で新商品のルームウェアをインスタグラムのライブで紹介してもらった。

インスタライブで紹介する「のんちゃん」こと藤原望未さん
インスタライブで紹介する「のんちゃん」こと藤原望未さん

インフルエンサー・藤原望未さん:
今回はユニセックスのカップルでも、メンズでも、レディースでも着てもらえるルームウェアを作りました。体操服と同じような生地になってまして、着心地よくて、かわいくて、洗いやすくて、しわになりにくい

インフルエンサー・邦木奈帆さん:
完璧です!

インフルエンサー・藤原望未さん:
ちょっとオーバーサイズだったり、ダボっと感を出しているところが、ちょっとルーズ感があるので、家で着てても全然苦しくないし

ルームウェア紹介のもようはこれまでに3万6,000以上もの視聴数を獲得した。

UWASAディレクター・藪本守さん:
(体操服の生地は)普通のアパレルで使わないなっていう特徴的なものがあったんですよね。すごくうまく展開したら、今まで作ったことのないアパレルができるんじゃないかなっていう可能性を感じたのが、すごいきっかけになりました

どうせやるなら目指すのは世界

「UWASA」の春夏の商品のサンプルを手にしながら打ち合わせ。次なるアイテムは何と「体操服でデニム」。

UWASAディレクター・藪本守さん:
今、社長が着てる生地がこれなんですけど、デニムっぽく見えてる体操服みたいな。これが次の新作になっていく

あえて体操服生地の裏側を表地に使うことで、デニムの風合いを表現し、縫製もデニムが特産の岡山の工場でするというこだわり。

丸鷹産業・西口幸徳社長:
藪本さんとお話したときに、どうせやるんやったら世界を目指したい。十分可能性あるよということで、(UWASAを)世界的に知名度のあるブランドにしたいというのはあります

歴史が育んだ技術は、視点を変えたら強みに。ずっと着られる丈夫な生地で、おしゃれもずっと。今治発の職人技が放つファクトリーブランドは、世界に羽ばたく。

(テレビ愛媛)

テレビ愛媛
テレビ愛媛

愛媛の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。