世界中が震撼したロシア軍のウクライナ侵攻から丸1年が経過した。
福井市に住むイリーナ・クシニリェンコさんはロシア国境に近いスムイ州出身で、ふるさとは廃墟と化したという。「人の人生をめちゃくちゃにするなんておかしい…」。イリーナさんが“人生最悪の1年”について語った。

福井に避難するも消えない恐怖心

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イリーナさんのふるさとはロシア国境から約60kmのスムイ州。軍事侵攻が始まってから数時間後には、ロシア軍がふるさとを攻撃してきたという。
2022年3月、イリーナさんは福井テレビの取材に、祖国にいる大切な家族への思いを涙ながらに訴えた。

2022年3月の取材時
2022年3月の取材時

イリーナさん:
なんでそこまでひどい思いをしなくちゃいけないですか?私の妹、妹の子ども、家族…早く助けてほしいです、早く助けてほしい…

廃墟となった地元スムイ州には、妹のビクトリアさん家族が住んでいた。ビクトリアさんと長男は侵攻から約1カ月後、命からがらウクライナを脱出し、50時間かけて福井へと避難してきた。

2023年2月、妹のビクトリアさんを取材すると「福井には慣れました」と日本語で話した。日常会話を理解するまでになり、読み書きの練習をしている。県内の企業で仕事も始めた。

ただ軍事侵攻の恐怖心は消えない。攻撃が始まってから1カ月余り、毎日のようにロシアの攻撃を知らせるサイレンが鳴り、地下室に身をひそめる生活を余儀なくされた。そのため、今でも雷が鳴ると砲撃音を思い出し、耳をふさぎ、体は硬直してしまうという。

心が休まる日はない1年

ウクライナには夫や父親をはじめ、親戚、友人が残っている。イリーナさんは必ず毎日連絡をとり、生存確認を続けている。

イリーナさん:
毎日サイレン鳴ったり、停電は当たり前。ウクライナは今、氷点下13度。毎日死亡している人がいる

イリーナさんとビクトリアさんは、氷点下の世界で祖国防衛を続けている家族に防寒用の下着などを送った。
2人は平和な福井で暮らしている。ただ心が休まる日はない。これ以上、ウクライナに残る人たちの血が流れないよう、一日も早い軍事侵攻の終結を願っている。

イリーナさん:
この1年間は長いようで短かった。福井に家族が来て幸せなはずなのに、こんなつらい1年は初めて。毎日ウクライナのことを考える、朝から夜まで。違う国に行って人を殺して…人の人生ぐちゃぐちゃにして、おかしいです

(福井テレビ)

福井テレビ
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