北九州市の旦過市場に誕生した「タンガレンガ広場」。大火からの復興の第一歩として、賑わいづくりの場となって誕生したこの広場は、ここ数カ月で大きく変化した場所だ。
甘く香ばしいタレがたっぷりと塗られ、丁寧に焼かれた美味しそうなウナギなど、露店が立ち並ぶ。
2度の大火に見舞われた北九州市の旦過市場。復興への一歩を踏み出した。

店は全焼…タンガレンガ広場で再出発

2022年4月、旦過市場で起きた火災。

赤木希アナウンサー:
火災が発生した旦過市場上空です。現在も燃えているのが確認できます

そして、それから半年もたたない2022年8月にも火災が発生。

岸本貴博記者:
現場からは、まだ煙が上がっていて、消防が建物の上からホースで水をかけているのが確認できます

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2度の大規模火災に見舞われた旦過市場。多くの人の日常が奪われた。

「武藤本家」5代目・内藤清伸さん
「武藤本家」5代目・内藤清伸さん

ウナギと活魚を扱う「武藤本家」5代目の内藤清伸さんもその1人だ。

旦過市場2度目の火災で店は全焼。その後は、市場内の空きスペースで間借り営業をしていたが、間借りした場所ではウナギを焼くことが不可能なため、焼くことができるタンガレンガ広場への出店を決めた。

内藤清伸さん:
包丁も買ってるし、何カ月ぶりかにおろした。8月10日に最後に焼いて以来

オープンの前日、内藤さんは、テントで最後の準備にとりかかっていた。そこに訪れたのは、先代の奥さん、武藤美智子さんだった。

武藤美智子さん:
こんな遅いんかね? 火がつくの。仰がんからやね

新たな焼き場が心配なのか、気になるところを見つけては内藤さんに声を掛ける。

内藤清伸さん:
言い合ってますからね(笑)

先代の妻・武藤美智子さん
先代の妻・武藤美智子さん

武藤美智子さん:
いやちょっとね、口が少ないんよ。だからね、もう少し必要なことは、お互い話さないといけないでしょ。けんかする必要はないんやから、商売していく以上はね。(内藤さんを指して)黙っとる方なんよ。私は、これなんよ(べらべらしゃべる)

ぶつかることもあるが、それも信頼があってこそ。お店への思いは同じだ。

武藤美智子さん:
(内藤さんは焼くの)上手よ。だいたい器用なの、上手なんですね

内藤清伸さん:
上手なんですよ(笑)

初めて扱う焼き場。数時間にわたるチェックを終えた。

「旦過市場を盛り上げたい」

そして迎えた営業開始当日。「武藤本家」の再スタートだ。

常連客:
待ってました。ありがとうございます

内藤清伸さん:
いま、やっと一串焼いたばかりだから。これから本番

長袖を脱ぎながら、照れ笑いする内藤さん。

子ども連れの客:
おいしそうな匂いするから食べてみようって。頑張ってほしいです

静岡県の浜名湖から直送したウナギをじっくり焼き、100年受け継いできた秘伝のタレを絡ませると、香ばしい香りが市場に広がる。焼きたてのウナギが売れていく。ウナギを焼く内藤さんも思わず笑顔になる。

内藤清伸さん:
実際買ってもらったら、うれしかったですね。オープンするためにみんなが協力してくれたんで、自分たちも頑張って旦過市場を盛り上げられるように、自分らも元気に営業していきたいなと思ってます

北九州市は、今回のタンガレンガ広場とは別に、火災の跡地の一部に上下水道や電気、都市ガスを備えたプレハブの仮設店舗を2023年4月に建設する予定だ。
旦過市場は、復旧から復興へと一歩ずつ歩み始めている。

(テレビ西日本)

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