防衛費の増額をめぐって、閣内から不満の声が相次ぐ中、財源の一部として加熱式たばこの税率を引き上げる案が検討されていることが分かった。

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高市大臣「アポイントメントを何度も入れています」

岸田首相が防衛力の強化のための増税を検討していることに、閣内から公然と反対する意見を表明した高市経済安保相。

12日午後1時前、記者に囲まれた高市大臣は「全体像も私どもは知らせていただいてません。財源の合計額にしても別に私たち閣僚は伝えられておりません。報道で私は知っているだけ」とさらなる不満の声をあげた。

「(防衛力の)具体的に今どういうところが足りないんだと、どういう内容で国防力を強化しようとされているのかすら知らされておりませんので、先に財源論が出たので戸惑ったというのが実態ですね」

高市大臣は、こうした疑問を岸田首相に何度もぶつけようとしたという。

記者からの「岸田首相に大臣自身の意見を伝えたりしたのか?」という質問に対しては「まずアポイントメントを何度も入れていますが、岸田首相の日程が厳しいということでお会いできていません」と語った。

高市大臣は、岸田首相との個別の面会が難しい状況だと訴えた。

自身の一連の発言については「一定の覚悟を持って申し上げている」と話した。

“紙巻き”より税額が安い加熱式たばこの税金引き上げ?

こうした中、防衛力を強化する財源の一つとして浮上したのが“たばこ税の引き上げ”。

自民党内では紙巻きたばこよりも税額が安い加熱式たばこの税を引き上げる案が検討されていて、党関係者からは「たばこは税率を上げても有権者から批判が出ない貴重な項目。使い勝手がいい」という声が上がっている。

実はたばこは10月に一斉値上げしたばかり。

さらなる値上げの可能性に、「取りやすいとこから取るっていうのがあからさまなので、もういい加減、他に目を向けたらどうなのかなっていうところはあります。ほんとイヤな感じ」とたばこ店の店長は強く反対した。

お昼時の東京・新橋では喫煙所に長い行列ができていた。

そこで加熱式たばこを吸う人に話を聞いてみると「何でもかんでもたばこっていうのはどうかと思いますね」という不満の声や、「私はいいです。(たばこの値段が)上がっても仕方がないんじゃないんですか。財政が厳しいければ」という諦めの声など様々聞かれた。

一方で“非“喫煙者からは「吸わないので、いくら上がっても構わないとは思いますけど、国防費をたばこから出すのは何か違う気が…」と“防衛力の強化とタバコは無関係では?”といった疑問の声も聞かれた。

岸田首相は10日の会見で、「増税が目的ではない。防衛力の強化・維持が目的です」と防衛力強化の意義を強調。

政府与党内からは岸田首相に対し「増税の前に防衛力を強化する理由を国民に丁寧に説明すべき」という声が強まっている。

柳澤秀夫氏「“閣内不一致”に見える」

閣内でも足並みがそろっていない、何か岸田首相がまとめきれていないという印象が残ることについて、ジャーナリストの柳澤秀夫氏はこう話した。

ジャーナリスト・柳澤秀夫氏:
高市さんの発言を聞いていると、これはもう我々の目から見ると“閣内不一致”に見える。自民党の中から増税の前に防衛力を強化する理由を国民に丁寧に説明すべきだと言ったんですけど、これ自民党の中から出てきていることがあれっていう感じがするんです。これは、野党がずっと言ってきたことなんですよね。

これを(自民党の内部が)同じように言っているということは、目的は増税絡みの話じゃなくて、逆に政権内部で少し揺さぶりをかけ始めているのかなという見え方すらします。年明け通常国会が始まる前までの間に岸田政権がどうなるのかということも大きい。一つのポイントになってくるかもしれませんね。

(「イット!」 12月12日放送)