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フジテレビのスポーツニュース番組「S-PARK」では、毎年プロ野球選手100人に独自の調査を行い、打撃や投球など各部門のNo.1を選出してきた。

今年も「バットコントロール」「パワーヒッター」「走塁」「守備」「スピードボール」「変化球」の6部門で調査、第3弾は球界屈指のスピードスターがしのぎを削る走塁部門No.1を選ぶ。

昨年(2021年)の「走塁部門」の結果を見ると、3位がロッテ・荻野貴司(10票)、2位が西武・若林楽人(11票)、そして1位がロッテ・和田康士朗(17票)とTOP3をパ・リーグの選手が独占した。

盗塁、スタート、スライディングなど様々な技術が必要となる走塁。今シーズン、セ・リーグは30盗塁の阪神・近本光司が2年ぶり3度目、パ・リーグは44盗塁のロッテ・髙部瑛斗が初めて、それぞれ盗塁王を獲得した。この2人から1位が選ばれるのか?それとも盗塁数以外で評価されたダークホースが誕生するのか?

2022走塁部門・第5位

第5位(4票)は、昨シーズン史上4人目となるルーキーで盗塁王を獲得した阪神・中野拓夢(26)。

「スタートと判断がいいですよね」
(DeNA・山﨑康晃投手)

「ランナーに出すとすごく厄介だなと」
(ヤクルト・石川雅規投手)

昨シーズンは135試合に出場して30盗塁。盗塁成功率は驚異の.938(30/32)で盗塁王としては史上1位タイの確率だった。今シーズンは135試合に出場して23盗塁、盗塁成功率.767(23/30)で盗塁数ランキング4位。プロ2年目はやや数字を落としたものの、見事に2年連続のランクインを果たした。
 

2022走塁部門・第4位

第4位(7票)は、不動の1番バッターとしてリーグ連覇に貢献したヤクルト・塩見泰隆(29)。

「その当たりで三塁まで行く?っていうのが…」
(ヤクルト・長岡秀樹内野手)

「常に次の塁を狙っている走塁は守っていてすごく嫌」
(巨人・中田 翔内野手)

「ただ単に速いんじゃなくてベースランニングが上手い」
(中日・大野雄大投手)

 

「猪って言ってもうり坊ぐらいのが大学のサブグラウンドに出るんで、追いかけてましたね。野性味のある選手なので(笑)」
(阪神・青柳晃洋投手)

大学時代のチームメートが明かした仰天エピソードは、塩見であればなんとなく納得できる。

昨シーズンは140試合に出場して21盗塁、盗塁成功率.808(21/26)で盗塁数ランキングは阪神・中野、近本に続く3位。今シーズンは130試合に出場して24盗塁、盗塁成功率.774(24/31)で盗塁数ランキングは阪神・近本に次いで、中日・岡林勇希と並ぶ2位となり、昨年の第9位(4票)から大きく順位を上げた。
 

2022走塁部門・第3位

第3位(12票)は、セ・リーグの盗塁王、阪神・近本光司(28)。

「上手いですよね。スタートの切り方とかも」
(ヤクルト・塩見泰隆外野手)

「走らないときも威圧感を感じました」
(中日・木下拓哉捕手)

昨シーズンは140試合に出場して24盗塁、盗塁成功率.774(24/31)、盗塁数ランキングはチームメートの中野に続き2位。今シーズンは132試合に出場して30盗塁、盗塁成功率.857(30/35)。プロ4年目で3度目の盗塁王に輝き、この「走塁部門」では、'19年の第3位(14票)、'20年の第3位(10票)、'21年の第5位(8票)に続き4年連続のランクインとなった。

「内野ゴロで帰ってきたときのスタート(がすごかった)」
チームメートの阪神・湯京己浅投手がうなったのは、今年7月16日の甲子園での中日戦の走塁。阪神が1点を追う9回裏1アウト3塁、中日の内野陣が極端な前進守備を敷く中、5番・糸原健斗が打ったショート正面のゴロの間に本塁に突入。間一髪タッチをかいくぐり同点のホームインとなった。これぞプロの技、という“神走塁”だった。
 

2022走塁部門・第2位

第2位(20票)は、この部門で'19年'20年とNo.1に2度輝いているソフトバンク・周東佑京(26)。

「躊躇せずに一歩目が踏み出せる選手、憧れますね」
(巨人・丸 佳浩外野手)

「リードもアホみたいにデカいし、どうやって刺すねんと」
(西武・森友哉捕手)

昨シーズンは70試合に出場して21盗塁、盗塁成功率.808(21/26)、盗塁数ランキングはリーグ2位。今シーズンは80試合に出場して22盗塁、盗塁成功率.846(22/26)。NPBで育成出身選手初の盗塁王であり、連続試合盗塁記録の世界記録保持者(13試合)でもある周東の快足は健在。この部門では'19年の第1位(32票)、'20年の第1位(63票)、'21年の第8位(5票)とランクインの常連がTOP3に返り咲いた。

「普通の送りバントでもセーフティバントになってしまう」
(ロッテ・安田尚憲内野手)

プロでも12秒以下であれば“俊足”と言われる三塁打到達タイム。周東が叩き出した今シーズンのパ・リーグNo.1タイムは…10.72秒

その快足は今年8月9日、ZOZOマリンでのロッテ戦。1塁ランナーの周東は、エンドランで打球がライト前に抜けると一気にホームを落とし入れてしまう。その驚きの速さにツイッターで「#周東は一塁でも得点圏」がトレンド入りした。
 

2022走塁部門・第1位

多くの韋駄天たちを押さえて今年の走塁部門No.1(23票)に輝いたのは、昨年のNo.1和田康士朗…ではなく同じロッテ・髙部瑛斗(24)。

「飛び跳ねて走ってるような感じ」
(日本ハム・近藤健介外野手)

「レベルが違うのかなっていうぐらい速く感じた」
(広島・栗林良吏投手)

2019年ドラフト3位で入団した髙部は、プロ1年目は5試合に出場して盗塁0、2年目の昨シーズンは33試合に出場して4盗塁だったが、3年目の今シーズンからレギュラーに定着。5月13日のオリックス戦では1試合3盗塁をマークするなど、137試合に出場して44盗塁、盗塁成功率.815(44/54)で、2位のソフトバンク・周東(22盗塁)にダブルスコアの大差を付けて断トツのパ・リーグ盗塁王となった若き韋駄天。

「せこいぐらい速いですね」
(楽天・島内宏明外野手)

今年9月23日、PayPayドームでのソフトバンク戦。3塁ランナーの髙部は、打ち損じの内野フライでホームに生還。その俊足を持ってすれば“異次元の犠牲フライ”が実現してしまう。

「人が帰ってこられないようなところもホームに帰ってくるのが髙部さんだと思うので、本当にすごい走力」
(ロッテ・山口航輝外野手)
 

野球を始めたきっかけは「徒競走でビリになった罰

“走塁部門No.1”の称号が刻まれた盾を受け取って笑顔を見せた髙部選手。

飛躍的に記録を伸ばした今シーズンについては「試合に出続けことで経験や行く勇気が出たのかなと」と昨シーズンと比較して変わった点を語った。

そんな髙部に野球を始めた経緯を聞くと「『運動会の100メートル走でビリになったら罰として野球をやれ』と言われて、ビリになったから野球を始めた」と明かす。

さらに詳しく聞くと「本当に運動をするのが好きじゃなくて、それで勉強もできなかったので、父が何かやれっていうことになって。いろいろあったんですけど…良かったと思います」と教えてくれた。

運動会でビリだった少年時代から、球界屈指のスピードスターに上り詰めた髙部瑛斗。“走るのが苦手”な少年たちにも夢を与えてくれる「100人分の1位・走塁部門」No.1獲得となった。
 

S-PARK恒例の「プロ野球100人分の1位」企画。11月27日(日)には「守備」No.1を、12月3日(土)には「スピードボール」No.1を決定する。