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フジテレビのスポーツニュース番組「S-PARK」では、毎年プロ野球選手100人に独自の調査を行い、打撃や投球など各部門のNo.1を選出してきた。

今年も「バットコントロール」「パワーヒッター」「走塁」「守備」「スピードボール」「変化球」の6部門で調査、第1弾はプロの技術が凝縮されたバットコントロール部門No.1を選ぶ。

過去5年のバットコントロール部門No.1を振り返ると、'17'18は秋山翔吾(当時:西武)、'19は森友哉(西武)、'20は近藤健介(日本ハム)、'20'21は吉田正尚(オリックス)と日本を代表するバットマンが受賞してきたのが分かる。
はたして今年のバットコントロールNo.1の栄誉は誰の手に渡るのか?
 

2022バットコントロール部門・第4位

第4位(9票)は、この部門で6年連続のTOP5入り、そして2020年にはNo.1に輝いた日本ハムのヒットメーカー・近藤健介(29)。

今シーズンは99試合に出場、規定打席には到達しなかったが(396打席)打率3割2厘。8月9日、自身29歳の誕生日に放った史上2人目のバースデーサヨナラホームランは印象的だった。来年開催されるWBC。侍ジャパンのメンバーにも度々選出されており、先日の強化試合では流石の存在感を見せた。

「技術の高さを感じる」
(日本ハム・松本 剛外野手)

「できれば対戦したくない」
(西武・髙橋光成投手)

「どこに放っても打たれる」
(西武・森友哉捕手)

対チーム別成績で3割8分1厘とパ・リーグのチームで最も高かったのが西武ライオンズ戦。今回、近藤の全9票のうち5票が西武からの投票だったが、その西武バッテリー2人も白旗を上げた。
 

2022バットコントロール部門・第4位

同じく第4位(9票)は、三冠王・村上宗隆(ヤクルト)と最後まで首位打者争いを演じた中日のヒットメーカー・大島洋平(37)。

今シーズンは109試合に出場し、セ・リーグ2位の打率3割1分4厘。8月には、打って、打って、打ちまくり、史上7人目、1試合6安打の離れ技を披露した。

「簡単にヒット打ってるなと」
(阪神・佐藤輝明内野手)

「本当に衰え知らず」
(中日・大野雄大投手)

「詰まってもレフトの前に落とせる技術っていうのはすごいなと感じます」
(阪神・梅野隆太郎捕手)
 

2022バットコントロール部門・第3位

第3位(14票)は、この部門のディフェンディングチャンピオン、オリックスの主砲・吉田正尚(29)がランクイン。

プロ7年目の今シーズン、打率はパ・リーグ2位の3割3分5厘、出塁率はリーグTOPの4割4分7厘で「最高出塁率」のタイトルを獲得した。

「さすがの一言しか言えない」
(DeNA・今永昇太投手)

「バットコントロールに関してはズバ抜けて1位」
(ロッテ・髙部瑛斗外野手)

吉田正尚といえば、日本シリーズでも見せた豪快な一発に目が行きがちだが、打率はプロ7年目でなんと6年連続の3割超え。さらにそのスゴサを裏付けるのが…

「穴がない。どう崩していいかが分からない」
(ソフトバンク・東浜巨投手)

「ミスが少ないっていうか、あまり三振しない」
(楽天・鈴木大地内野手)

吉田の三振数は、'20年が29個、'21年が26個、'22年が41個と3年連続でパ・リーグ最少

さらに、“振ったバットにボールが当たる割合”を示すコンタクト率は、リーグ平均の77.6%を大きく上回る86.0%と“空振りしない男”だ。(データ提供:データスタジアム)
 

2022バットコントロール部門・第2位

その吉田正尚を抑えた第2位(15票)は、“令和初の三冠王”もうなるバットコントロール、広島が誇る天才バッター・西川龍馬(27)が選ばれた。

「本当に調子が良いとどんな球でもヒットにする。技術がすごく詰まっていると思います」
(ヤクルト・村上宗隆内野手)

西川の代名詞は…

「そのボールをそこに打つの?みたいな」
(巨人・岡本和真内野手)

「どうやってそれをヒットにしているのかな?って」
(ヤクルト・田口麗斗投手)

「そんな球も打っちゃうの?って」
(DeNA・桑原将志外野手)

「よくそんな球ヒットゾーンに落とすなと」
(広島・菊池涼介内野手)

思わず「そんな球打っちゃうの??」と言いたくなる“変態打ち”

ワンバウンド“しそう”なボール球をものの見事にはじき返せば…、“しそう”じゃなくて、本当にワンバウンドした球をも打ち返す。代名詞の“変態打ち”は今季も飛び出した。
 

2022バットコントロール部門・第1位

ここまで球界屈指のヒットメーカーがランクインする中、この猛者たちを抑え、今年のバットコントロール部門No.1(18票)に輝いたのは、日本ハム・松本 剛(29)。

前代未聞、その活躍に選手たちも首をかしげるNo.1。プロ11年目でついに覚醒した。

「そんなに去年まで打ってた?ってくらい」
(ソフトバンク・松田宣浩内野手)

「なにがあそこまで変わったのか正直わからない」
(日本ハム・上沢直之投手)

「おかしいですよ、あの人。去年ファームで一緒にやってたのに…(笑)」
(日本ハム・清宮幸太郎内野手)
 

松本は昨シーズン、47試合出場で打率2割6分1厘。そして今シーズンは117試合出場で打率3割4分7厘。13年の歴史があるこのバットコントロール部門。前年の出場が100試合に満たない選手がNo.1に輝くのは史上初のこと。

【パ・リーグ ボールゾーン打率】※データ提供:データスタジアム
1位:2割8分3厘/松本 剛(日本ハム)
2位:2割1分5厘/吉田正尚(オリックス)
3位:2割0分1厘/柳田悠岐(ソフトバンク)

今シーズン首位打者に輝いた松本だが、実はストライクゾーンを外れたボール球をヒットにした確率も、2位の吉田正尚を大きく突き放しパ・リーグTOPとなっている。

さらに、選手たちを驚かせたのが…

「見ていてヒットゾーンに飛びそうな感じがする」
(ソフトバンク・柳田悠岐外野手)

「とにかくヒットゾーンに飛ぶ」
(日本ハム・杉谷拳士内野手)

ヒットゾーンに飛ばすのが本当に上手だなと」
(ソフトバンク・甲斐拓也捕手)

ただボールをバットに当てるだけでなく、打ち返したボールをヒットになるコースに飛ばす技術。それこそが、松本のバットコントロールのスゴさなのだという。

近藤健介(日本ハム)は「当てる当てないというよりはヒットゾーンに飛ばす技術。運じゃなくて、ボテボテの当たりだったり、打ち損じ(の打球)がヒットゾーンにいくというのは、やっぱり軌道がいい証拠。そこを全て合わせてバットコントロールかなと思う」と松本の技術を分析する。

ストライクゾーンであろうが、ボールゾーンであろうが、ヒットゾーンに打ち返すことのできる“匠の技術”を習得した松本だからこそ、あの吉田正尚の3割3分5厘を“1分2厘”も上回る3割4分7厘という高打率で首位打者をとることができたのだろう。
 

「自分を信じてやり続ける。それが一番大事」

“バットコントロール部門No.1”の栄誉に「めちゃめちゃうれしいですね」と満面の笑みを見せた松本に「今シーズン自身の中で変わった部分」を質問すると、

「気持ち的な部分もすごく大きいと思いますし、(新庄監督が)『思いっきりいって良い』っていうのを常々言ってくれていたので、ヒットを打てる球が来たら打ちに行く、それが良い方向に出たと思います」とBIGBOSS(新庄剛志監督)のアドバイスがあったことを明かした。

さらに、今シーズンの“ベストヒット”を挙げてもらうと…

「開幕戦のボテボテの内野安打ですかね」

「もちろんきれいなヒットも打ちたいですし、かっこいいヒットも打ちたいんですけど、いかに泥臭いヒットを多く積み重ねられるかが大事だと思っているので、そういう意味では大きな一本だったと思っています」

自分を信じてやり続ける。それが一番大事だと今も思っています」

己を信じ、バットを振り続けて11年、その努力がついに大輪の花を咲かせた。
 

S-PARK恒例の「プロ野球100人分の1位」企画。11月26日(土)には「走塁」No.1を、27日(日)には「守備」No.1を決定する。