威嚇しているのに可愛さが上回ってしまう…。そんなアリクイたちの姿が話題となっている。
Twitterユーザー・はなまるかけだしうどん(@kakedashiudon)さんが投稿したのは、伊豆シャボテン動物公園(静岡県)で暮らしている「ミナミコアリクイ」を撮影した様子。
アリクイたちはどれも、直立して両手を広げた“仁王立ち”のような格好をしている。実はこの体勢は威嚇のポーズなのだとか。だだ、つぶらな瞳やふさふさの毛並みで、迫力や怖さよりもほっこりとした印象を受けてしまう。
威嚇と可愛さのギャップに、投稿を見た人からは「一瞬おもちゃかと思ってしまいました」「カワイイしかない」といった反応が寄せられ、4万以上のいいねを集めている。(10月28日時点)
投稿で威嚇していたのは“4兄弟”だった
ほのぼのとした光景だが、威嚇はどんな時にするのだろう。投稿では複数が同じような体勢をしていたが、珍しいことなのだろうか。伊豆シャボテン動物公園の飼育員に生態を聞いた。
――ミナミコアリクイはどんな動物?
有毛目オオアリクイ科コアリクイ属で、南米北中部に分布しています。体長は頭からお尻までが50cmほどあり、尻尾自体も50cmほどあります。体重はそれぞれですが、4.5kg~9kgほど。(特徴や生態について)口吻が細長く歯がありません。太く大きな爪を持ち、朽木や硬い蟻塚をほり、長い舌でアリなどを主に食べます。嗅覚、聴覚が優れていて、長く筋肉質な尾を持ち、樹上の移動も得意です。
――威嚇をしているアリクイたちはどんな関係?
ミナミコアリクイファミリーの子どもたちです。投稿に写っているのは、長男のコン(3歳)、次男のトト(2歳)、三男のケイ(2歳)、四男のイク(1歳)になります。性格はコンが甘えん坊。トトがやんちゃで好奇心が旺盛。ケイがマイペースで我が道を行くタイプ。イクがごはんの時間が一番好きです。
※このほか、伊豆シャボテン動物公園では父親のドン(推定13歳)、母親のココア(9歳)、次女のつむ(約8カ月)も暮らしている。また、別の動物園では長女のアンが暮らしている。
――なぜ、威嚇のポーズをしていると思う?
(本来の威嚇は)本気で怒った時や興奮した時に行い、拒絶的な印象が強いです。ただ、今回のケースは仲の良い兄弟たちなので、お互いのコミュニケーションや遊びでとったのではないかと思います。遊びでじゃれながらプロレス技のようなこともするので、融和的な威嚇だと思います。
1日の3分の2が睡眠…テンションで威嚇を相手にしないことも
――複数が同時に威嚇するのは珍しいこと?
複数が同時にするのは珍しいです。この子たちは睡眠時間が長めで、2匹は起きていても、もう2匹は寝ているなどサイクルが違っていたりします。1匹だけがテンションが上がって威嚇しても、相手にしなかったりするので、みんなが起きて活動的になっていたのかもしれません。
――ミナミコアリクイのコミュニケーション手段は?
ミナミコアリクイは小さい時は親を呼ぶために叫ぶことがありますが、成長すると声を出せなくなります。そのため、鼻息や匂い、時には舐め合ったりしてコミュニケーションをとります。お互いに絡み合い、取っ組み合いのように戯れ合うのも感情表現だと思います。
――伊豆シャボテン動物公園のファミリーは日常をどう過ごしている?
睡眠時間が長い動物ですので、主に寝ていることが多いです。季節で違いますが、1日の3分の2、15~17時間ほど寝ています。テンションの上下はあり、午後のご飯の時間は起きていたりします。寒いのが苦手なので、室内で過ごすことが多いです。
鳴き声は出なくても感情が豊かな動物
――ミナミコアリクイの伝えたい魅力、面白い生態などを教えて。
鳴き声や音を発することはできませんが、感情がとても豊かな動物だと思います。ベストを着ているかのような愛らしい姿や、変わった生態や食性なども魅力です。当園では以前からミナミコアリクイの飼育繁殖や、認知度の向上に力を入れておりますので、これからも魅力を伝える為に様々な発信を続けていきます。
――注目を集めたことの受け止めを聞かせて。
元気に遊んでいる兄弟の姿が話題となり、嬉しい限りです。ミナミコアリクイは魅力ある動物なので多くの方に知っていただけるのは嬉しいですね。
全てのミナミコアリクイが威嚇のポーズをしている奇跡の空間
— はなまるかけだしうどん (@kakedashiudon) October 24, 2022
📸20220917#伊豆シャボテン動物公園#ミナミコアリクイ pic.twitter.com/04o7mlE8Ei
話題の投稿に写っていたのは、仲の良い4兄弟だった。同じような体勢になったのも、兄弟で通じるところがあったのかもしれない。これからもすくすくと成長を続けていくだろう。