「備えない防災」、最近この言葉が浸透し始めている。防災に対して難しく構えるのではなく、日常生活の延長で考える取り組みだ。この備えない防災を実践する“ママ防災士”に、何をどのように備えれば良いのかを聞いた。

「非常時の持ち出し袋としても」普段使いのカバンに“防災グッズ”

まず福井県民に災害への備えを聞いてみると、聞こえてきたのは「非常食や救急グッズを買ったが、どこにあるか分からない」「災害のニュースを見ると防災グッズを用意しないとと思うが、買いにいくには至らない」といった声。

今回話を聞いたのは、福井県鯖江市の防災士、早瀬尚美さん(51)。市内の防災士でつくる「防災士ネットワークさばえ」に所属し、地域の子供たちの防災意識を高める活動や、防災マップの作製などを続けている。

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“ママ防災士” 早瀬尚美さん:
災害に備えるためと考えると難しい。普段持ち歩いている物、毎日必要な物を災害時に使えるようにすることが大事

普段使っているカバンを見せてもらった。中には鍵やエコバッグ、眼鏡など約20アイテムが入っていた。主なものは以下の5つ。

普段使っているカバンの中身
普段使っているカバンの中身

①笛とライト
危険な時や動けない時、自分の居場所を知らせるのに必要

②風呂敷
何にもでも使える。物を包んだりエコバッグにもなるほか、傷を覆ったりもできる

③ゴミ袋
傷病者やケガ人を触る時の感染予防に使える。ゴミ入れだけでなく手袋としても使えるので1枚あるといい

④携帯用ミニトイレ

⑤不安を落ち着かせるためのおやつ

早瀬さんは2人の中学生を育てながら働く、いわゆる“ママ防災士”だ。災害時でも使えるものを日常から備えるよう心掛けている。

このように、日常と非常時の時間(フェーズ)を切り離さない考え方を「フェーズフリー」という。別名「備えない防災」ともいわれ、2014年に防災の専門家が提唱した新しい考え方だ。

“ママ防災士” 早瀬尚美さん:
普段持ち歩いているカバンの中に、防災用の笛や簡易トイレを入れる。普段使いのカバンは、非常時の持ち出し袋としても役立つ

「逃げる過程」に沿い 日常生活の動線に防災グッズを

一方、水や大きいアイテムは持ち歩かない。

消費期限に気が付かず「捨てることになるともったいない」(早瀬さん)ことから、早瀬さんの家では、毎日通る階段にペットボトルのお茶を置いている。日常使いはもちろん、非常時にもすぐに持ち出せるようにしている。

“ママ防災士” 早瀬尚美さん:
いつでも目に見える所に置いておくと、慌てていてもすぐ取ることができる。命が一番なので、まずはさっと持って逃げられるというのが一つ。
車で逃げる想定をしているので、車にも乗せておく

車の中には、モバイルバッテリーやマスク、着ていない洋服を入れている。重要になるのはスニーカーだと話す。

“ママ防災士” 早瀬尚美さん:
雨が降っていても水の中でもスニーカーのような靴だと、一番安全に逃げられる。入れておくのがオススメ。
「まずカバンを持って、車に乗って、逃げる」という過程の中に、防災グッズを置いておくと安心して逃げられる

徐々に広がり始めている「備えない防災」という考え方。備えについての考え方を変えるだけで、災害時のリスクを下げる効果が期待されている。

(福井テレビ)