キャラクターのグッズがハズレなしで当たる人気の「一番くじ」を巡り、大阪の公式店で不正な販売が数年前から行われていたことが分かった。運営会社は「法的な問題はないと考えている」とコメントしているが、これに対し不正があった現場に居合わせた客の1人は、「憤りしか感じない」と話している。

景品表示法に詳しい弁護士は、実際のサービスより有利であると消費者に誤認させる「有利誤認」の可能性があると指摘。一体、何があったのか。

数年前から”ラストワン賞”提供せず

不正な販売があったのは、全国展開している「一番くじ公式ショップ」の大阪日本橋店。一番くじは、キャラクターのグッズが当たるハズレなしのくじ引きで、フィギュアなどが当たる通常の賞のほかに、最後に残ったくじを引くともらえるラストワン賞がある。

公式ショップを全国に展開しているほか、各地のコンビニや書店、ホビーショップなどでも販売されていて、人気商品が販売された際にはSNSで関連ワードがトレンド入りするなど、幅広い世代に人気を集めている。

営業を終了した大阪日本橋店(大阪市浪速区)
営業を終了した大阪日本橋店(大阪市浪速区)
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公式ショップを運営するバンダイナムコアミューズメントによると、大阪日本橋店では数年前から一部の商品で、特定の賞が引かれたあと、残ったくじ券を新しいくじ券セットの中に混ぜて販売し、本来渡すべきだったラストワン賞を提供していなかったということだ。

1箱あたり80枚のはずのくじが、112枚に増えていた

2022年7月に大阪日本橋店で不正が行われた瞬間に居合わせたという、30代の男性に話を聞くことができた。

男性は、ドラゴンボールの人気キャラクターのフィギュアが当たる一番くじを目当てに、知人らとともに大阪日本橋店を訪れた。くじは1回850円(税込)。1箱=1ロットにくじは80枚入っていて、1人当たりの購入上限は20枚だ。

営業を終了した大阪日本橋店
営業を終了した大阪日本橋店

男性は知人らと一緒にくじ券を購入。1人目、2人目、3人目はそれぞれ上限いっぱいの20枚を購入し、4人目の時点でくじは残り20枚となったはずだった。確実に「ラストワン賞」が当たると確信した4人目の客がくじを20枚購入し、いざ引いたところ、ロットの中に明らかにくじが20枚以上入っていることに気付いた。

男性が知人らとともに店員を問いつめると、前のロットに残っていた32枚のくじを新ロットに混入したと釈明したという。前ロットのくじの混入は、事前告知されずに行われていた。

なぜ不正販売を?売れない事態避けるためか

こうした不正販売による問題点は次の通りだ。

(1)本来提供されるはずだったラストワン賞が4人目の客に提供されなかった
(2)1ロットあたりのくじの数が80枚から112枚に増え、上位賞が当たる確率が下がった

なぜこのような販売が行われたのか。運営会社は「担当者が誤った認識のもとに販売していた」と説明しているが、詳しい説明を避けている。

一方で現場に居合わせた男性は、「くじが売れなくなる事態を避けるためではないか」と話している。男性によると、各上位賞の相当価格の相場は次の通りだった。

<A賞>6000円
<B賞>8000円
<C賞>8000円
<D賞>2万円
<E賞>2万円
<ラストワン賞>6000円

前ロットに残っていたくじは残り32枚で、A賞~E賞はすべて当てられており、相当価格が数十円程度の下位賞とラストワン賞しか残っていなかった。「一番くじ」は、どの賞がすでに当てられているのか、客が分かるシステムとなっている。

くじは1枚あたり850円。つまり、下位賞とラストワン賞のみの32枚では、誰もくじを引きたがらないのだ。このままではくじが売れなくなってしまうと危惧した店舗側が、不正販売に踏み切ったのではないかと男性は話している。

運営会社が謝罪も…客「明らかに店側に悪意がある」

運営会社によると、提供されなかったラストワン賞の景品は、横領や転売はされていないということだ。

運営会社は大阪日本橋店の営業を終了するとともに、「法的な問題はないものと考えておりますが、お客様の期待と信頼を裏切る販売行為であると認識しております」とコメントして、レシートを持っている客には、返品や返金などの対応にも応じている。

バンダイナムコアミューズメントの謝罪文
バンダイナムコアミューズメントの謝罪文

一方で現場に居合わせた男性は、この運営会社の「法的な問題はない」とのコメントに対し、憤りを覚えたという。

現場に居合わせた男性:
明らかに店側に悪意がある。1ロット80枚だと思って引いたくじが112枚となっていたのには憤りを感じている。せめて「法的に問題があるので改善する」と言ってもらえればよかった。きちんとした対応をしてほしい

この問題について、景品表示法に詳しい川村哲二弁護士は、本来提供されるべきだったラストワン賞が提供されていなかったのは、少なくとも景品表示法の不当表示(有利誤認表示)に当たる可能性があると指摘している。

多くのファンをかかえる「一番くじ」。今後も公正公平な運営が求められそうだ。

(関西テレビ記者 竹下洋平)