まもなくやってくる桜のシーズン!日に日に膨らむつぼみに、期待も膨らみますが…
代表的な桜「ソメイヨシノ」は全国的に、虫の被害や、木の老化、病気など桜に迫る数々の脅威が。
そんな中、期待がかかる「花がソメイヨシノよりも大きい、色が少し濃い」と言われる“次世代の桜”も登場しています。
春の桜に今何が?シーズン直前に起こる異変、そして未来の桜のカタチを取材しました。
■関西の桜の開花は来週以降か
高知市や岐阜市、名古屋市などで開花の知らせが届いた桜。関西では、いつ開花するのでしょうか?
ソメイヨシノの標本木がある大阪城・西の丸庭園で、桜の開花を四半世紀に渡って観測し続ける気象予報士の片平さんに聞きました。
標本木で5輪から6輪咲くと「開花」と判断される桜。片平さんが念入りにチェックしますが、18日は1輪も咲いておらず…。大阪では「開花までまだ1週間ほどかかりそうだ」ということです。
では関西の他の地域で桜の花と出会えるのはいつになるのでしょうか。
【片平敦気象予報士】「早い所では、関西も来週月曜か火曜ぐらいには、開花というところが出てくると思います。これから先も春は高めの気温。いつもの年よりも3、4日は早い桜の開花に」
和歌山から順に来週にも開花が始まり、再来週あたりが見頃になる見通しとのこと。桜の季節は着実に近づいています。
しかし今、その桜をめぐってある問題が…!
■ソメイヨシノを食い荒らす厄介者 クビアカツヤカミキリ
日本で広く知られる「ソメイヨシノ」。
江戸時代末期に染井村(現・東京・豊島区)の植木商人が交配して作り出したといわれ、花つきがよく成長も早いため、古来、和歌にも詠われて主流だった「ヤマザクラ」に代わって、広まりました。
そして戦後、復興のシンボルとして全国的に植えられ、気象庁が開花予想に使う「標本木」も全国58地点のうち、48地点がソメイヨシノを対象としています。
ただ、「接ぎ木」などでしか増やせないので、日本のソメイヨシノは全て同じDNAを持っているとされています。
そんなソメイヨシノに迫るのが、ソメイヨシノを食い荒らす厄介者「クビアカツヤカミキリ」。2012年に国内で初めて確認され、特定外来生物に指定されています。
■1年間で生息域が2キロ拡大 幼虫の食害で枯れてしまう
その被害を見せてもらうと…。
【大阪府立環境農林水産総合研究所 山本優一主査】「こういう所とか食べてますね…。かなり幼虫の食害が進んだ状況だったということです」
クビアカツヤカミキリは、ソメイヨシノなどの幹に数百個から1000個もの卵を産み付けます。孵化した幼虫が内部を食い荒らし、木が枯れてしまうのです。
この施設内でも、食害によってソメイヨシノを伐採せざるを得なくなり、桜の木が並んでいた景色もこの通り…。
さらに、1年間で生息域がおよそ2キロ拡大するともいわれていて、関西各地では被害が広がっています。
【大阪府立環境農林水産総合研究所 山本優一主査】「かなり厄介なタイプの害虫。完全に抑え込むというのは、なかなか現状難しいところ…」
■モジャモジャと生えた細い枝「てんぐ巣病」が流行
さらに、ソメイヨシノに忍び寄るのは虫だけではありません。桜の名所・丹波篠山では、ある伝染病が流行っています。
桜の名所として知られ、市内におよそ1万本の桜がある兵庫県丹波篠山市。
その大半がソメイヨシノで、伝染病にむしばまれている木に案内してもらうと…。
【ささやま桜協会桜守 吉良勉理事】「垂れてますでしょ。1カ所から固まってブワッと枝が出るので“てんぐ巣病”という名前がついています」
異常に発達し、モジャモジャと生えた細い枝。まるで、てんぐが休むための巣のように見えることから「てんぐ巣病」と名付けられた木の伝染病です。
「てんぐ巣病」は、タフリナ菌というカビの一種が引き起こすもので、感染した枝は、異常な細胞分裂を起こして花が咲かなくなり、放置しておくと枯れ落ちることもあります。
また、感染した枝からは、別の病原菌も侵入しやすくなるそうです。
【ささやま桜協会桜守 吉良勉理事】「木材を腐らせる菌ですね、腐朽菌と言います。それが入ると、ずっと(木の下へと)枯れていってしまう。木全体がパーになってしまう」
■感染広がる「てんぐ巣病」 次なる一手は“世代交代”
桜にとって致命的な「てんぐ巣病」。
特に、ソメイヨシノは、全ての個体が同一の“遺伝的特徴を持つ”ため、爆発的に感染が拡大してしまいます。
丹波篠山市では、クラウドファンディングなどを活用して、感染した枝を切るなどの対策を取っていますが、追い付かず…“次なる一手”を投じました。
【ささやま桜協会桜守 吉良勉理事】「『ジンダイアケボノ』という桜です。病気や虫に強い品種を選んで、実験的な形で植えさせていただいた」
丹波篠山市では、「ソメイヨシノだけでは桜の景色を維持できない」と判断し、別の品種の桜を植えました。
■色は少し濃い 形や大きさはソメイヨシノに似てる「ジンダイアケボノ」
その「次世代の桜」として期待される「ジンダイアケボノ」とはどんな品種なのでしょうか。
京都府宇治市の植物園を訪ねました。
【宇治市植物公園 柳明宏さん】「ピンク色のつぼみが出てきているのがジンダイアケボノです。花がソメイヨシノより大きく、色が濃い」
東京の神代植物公園で発見されたことにちなんで名付けられたという「ジンダイアケボノ」。
花の色は少し濃いものの、形や大きさがソメイヨシノに似ています。さらに…。
【宇治市植物公園 柳明宏さん】「ソメイヨシノが戦後50年とかで、植えられて弱ってきていて、ジンダイアケボノの方が病気に強く、代替えになる傾向にある」
「てんぐ巣病」などに耐性があり、戦後一斉に植えられて多くが“高齢化”しているソメイヨシノの「後継」として注目されているのです。
■桜の“世代交代”で桜の見ごろは卒業の時期に?
桜と言えば「ジンダイアケボノ」そんな新たな未来が来るかもしれません。
しかし、「世代交代」によってこんな影響も…。
【宇治市植物公園 柳明宏さん】「ソメイヨシノ(の開花時期)が4月で、ジンダイアケボノはちょっと早い。『桜は3月の終わりから(見ごろ)』ということになる」
(Q.入学式では見られなくなる?)
【宇治市植物公園 柳明宏さん】「そうですね。この辺だと入学式ではなく、卒業式・卒園式の時期にきれいになるか」
時代とともに移り変わる日本の桜。近い将来、また少し違ったカタチで私たちを楽しませてくれる日が来るかもしれません。
(関西テレビ「newsランナー」2026年3月18日放送)