小学生にモノづくりの魅力を伝えようと、体験講座を開いている静岡・三島市の発明クラブが、ゆで卵を投げるというユニークなコンテストを開催した。勝敗を分けるのは、柔軟な発想から生まれるアイデアだ。
柔軟な発想とアイデアを
8月23日、三島市の会場に小学生たちが集まっていた。

4年生から6年生までの28人が参加したこのコンテスト。その名も「たまご投げコンテスト!」だ。

ルールは大きく4つ。

・ゆで卵を好きな投げ方でできる限り遠くまで投げる
・ゆで卵が割れたら記録はなし
・参加者は新聞紙1枚とのりやホチキスなどを使い、卵が割れない工夫をする
・ゆで卵が床に落下した地点までの距離を競う
新聞紙1枚で卵を守る容器、つまり緩衝材を作り、遠くまで割れずに投げられるのかを競うコンテストだ。
限られた道具で卵が割れないためにどんな緩衝材を作るか、どんな投げ方をするか、柔軟な発想とアイデアが勝敗のカギとなる。
指導員:
アイデアは悪くない。ただ、この包み込みで投げるのが難しいの。どう投げるかが重要

主催した三島市少年少女発明クラブは、月2回の体験講座を開き、今回のコンテストは年1回の特別講座だ。県東部のメーカーに勤務していた人たちが指導員を務め、子供たちにモノづくりの楽しさを伝えている。
指導員:
学校ではない環境で、何か人から物を教えてもらって学んでもらいたい。今回は与えられた課題をどう解決するか、創造やチャレンジを学んでほしい

失敗から学びいかすこと
コンテスト前日。親子で作戦会議をしていたのは、小学5年生の市川璃乃さん。

母・恵美さん:
どんな感じにしてみようか?どうやって考えている?
璃乃さん:
蛇腹で下のほうを押したり、新聞紙を丸めて周りの方にやったりとか
母・恵美さん:
クッションみたいな感じになるといいね
璃乃さんは「蛇腹作戦」と題し、卵を包む新聞紙を山折りと谷折りで繰り返し折ることで、強度とクッション性を高めようと考えた。

母・恵美さん:
どうやったら強いかね?蛇腹
璃乃さん:
二重にする。でも結構弱そうだよ。蛇腹がない側面を強くしたい。新聞紙が薄いので、強くなりづらいなと思った

試作品第1号が完成し投げてみると…

飛距離は十分だったものの、落下した時の音からは衝撃の大きさを感じた。
璃乃さん:
結構割れたね。落ちたところが割れた

思った通りにはいかないことを学び、 本番に向けて試作品を何度も作り、試行錯誤を重ねる。
母・恵美さん:
教科書と同じようにやってもうまくいかないこともあるので、いろいろな体験をして自分で手を加えて失敗して、じゃあどうしようかって考えるというのをやらせてくれる

璃乃さん:
いろいろなことを工夫してがんばります!目指すは優勝!

個性豊かなアイデアでいざ勝負!
本番当日、各チームが、それぞれ持ち寄ったアイデアを生かしながら、緩衝材を作っていく。

新聞紙を細かく刻み、クッション代わりにしたチームもあれば…

卵はむき出しのまま、細長い棒で立体的なブーメランを作ったチームなど、アイデアは様々だ。

璃乃さんは チームメイトが提案した新聞紙で箱を作るアイデアと、蛇腹をクッション代わりにする自分のアイデアを合わせて作った。

優勝を飾ったのは、11m53cmを記録したチームだった。卵を包んだ新聞紙の隙間に小さく丸めた新聞紙を詰めるアイデアで、見事 卵は一度も割れなかった。

優勝した参加者:
新聞紙をバネみたいにしたら、全然 割れなかった

璃乃さんは惜しくも優勝を逃したが、2回投げたうち1回は割れず、5m46cmの記録を残した。

市川璃乃さん:
ペアの子もいろいろと言ってくれたので、そのおかげもあると思う。楽しかったし、おもしろかった

指導員・羽田光明さん:
それぞれのチームで作るもの、作り方、思想が変わっていたと思う。初めてのことのわりに、みんなチャレンジしているなと
失敗と成功を繰り返し、工夫することを学んだ今回のコンテスト。

アイデアを武器に、子供たちが新しいことに挑戦していくきっかけを与えてくれたのかもしれない。
ちなみに、コンテストで使ったゆで卵は、子供たちが家に持ち帰って食べたそうだ。
(テレビ静岡)